終末期ケア(1507)ー2 "BPSDのとらえ方とケア 落ち着きなく歩き回る①" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星行動・心理症状(BPSD)の
      とらえ方とケア



スター落ち着きなく歩きまわる①

認知症の人にみられる行動症状のひとつに
家のなかや外を歩きまわることがあります。

歩行機能自体に障害がなくても、
場合によっては転倒や交通事故などに
つながる可能性もある危険な行動です。

要因として、見当識障害(時間・場所・
人を認識する能力の低下)や判断力障害、
不安、焦燥などさまざまです。

また、認知症の種類によって症状も異なり
ます。





「徘徊」とは目的もなく、ただうろつき回る

 こととされています。


・確かに、認知症の人がそのように見える行動

 をされることがあります。


・周囲の人々は転倒や道迷いなどが心配になる

 でしょうが、ご本人にとっては理由も目的も

 あるため、基本的にそれを止めるのは困難

 です。




花認知症のなかでも、

 アルツハイマー型認知症に

 代表的な症状


・認知症の中でもっとも多いアルツハイマー型

 認知症の方の徘徊は、とくに注意が必要

 です。


・アルツハイマー型認知症では、初期から

 徘徊の症状がみられることがあり、中期以降

 は顕著に現れます。


・時間や場所、人についての見当識が低下し、

 建物や風景、目的地との位置関係などが

 認識できない(街並失認・道順障害)ため、

 よく知っているはずの場所でも道に迷い

 やすいです。


・また、「今どこにいるのか」「自宅はどっち

 なのか」がわからないことから不安や焦燥が

 加わり、予想以上に遠くまで行ってしまう

 こともあります。






花レビー小体型認知症による

 歩きまわる行為は

 せん妄・幻視によって生じる


レビー小体型認知症では、いわゆる徘徊とは

 異なりますが、せん妄や幻視によって

 家の中を歩き回ることがあります。


・実際には存在しないものがリアルに見える

 幻視は、夜間に現れることが多いです。


・また、レム睡眠行動障害によって、

 睡眠中に大声を上げる、暴れるなどの行動

 がみられることもあります。







花血管性認知症や前頭側頭型

 認知症の歩きまわりの特徴

 

・脳梗塞や脳出血などによって起こる脳血管性

 認知症の方に多くみられるのは、夜間せん妄

 による夜中の徘徊です。


・夜間せん妄は、夜になると注意力や思考力が

 低下して、幻覚や妄想、見当識障害など

 さまざまな症状を引き起こします。


・また、脳血管性認知症の方は不安を覚え

 やすい傾向にあり、ストレスなどによって

 不安がより強まると徘徊につながることが

 あります。


前頭側頭型認知症(ピック病)の方には、

 同じルートを早足で何回も歩き続ける周徊

 (常同的周遊)がみられることがあります。


・初期では道に迷うことはほとんどなく、

 時間が立つと戻ってくることが多いです。


・しかし、脱抑制とよばれる症状によって

 信号無視や万引き、周囲の人を押しのける

 などの行動を起こすことがあるため注意が

 必要です。









スター夕方~夜間に徘徊が

 悪化しやすい理由とは?


・徘徊などの行動・心理症状は、夕方~夜間に

 悪化しやすく、「夕暮れ症候群」などと

 呼ばれることもあります。 

 




・この夕暮れ症候群の原因のひとつが、

 体内時計の乱れ(概日リズムの乱れ)です。


・認知症の方は、概日リズムを司る視交叉

 上核(しこうさじょうかく)の神経細胞が

 減少します。


・この病理的な原因に、不安・焦燥などの

 心理要因や環境要因などが加わると、

 さらに概日リズムが乱れることになります。


・環境的な要因とは、施設への入所や引っ越し

 寝室の模様替えなどの環境の変化です。


・また、閉じこもりによって日中に太陽の光を

 浴びないこと、昼間に寝ていて活動量が

 少ないことなども要因になります。


夕方~夜間の徘徊を悪化させないためには、

 心理的、環境的な要因をできるだけ減らして

 昼夜逆転の生活を改善することが大切です。








参考資料

 認知症ケア
 アイデアノート
    編著 石川県こころの病院

 



     次回は、

     "行動・心理症状(BPSD)の  
        とらえ方とケア
         落ち着きなく
            歩き回る②"
 
       
            

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