・また、認知症とよく似た状態(うつ、
せん妄)や、認知症の状態を引き起こす身体の
病気もいろいろあるため(甲状腺機能低下症
など)、早期に適切な診断を受けることは
大切です。
❷認知症の検査・診断
・症状の経過から認知症が疑われる際には、
認知機能ばかりでなく、運動や感覚などを
含め脳神経系全体の異常を把握するための
診察(“神経学的診察”といいます)を行い
ます。
認知機能検査
・記憶、注意、計算、言語などの認知機能を
調べるための検査です。診察時には
長谷川式簡易知能評価スケール、
ミニメンタルステート検査(MMSE)など
の簡易検査を行いますが、症状に応じて、
さらに詳しい検査を計画します。
血液検査
・甲状腺ホルモンなどのホルモンの異常、
ある種のビタミンなどの栄養素の異常、
肝臓病などによる代謝の異常、梅毒などの
感染症などによって、認知機能の低下を
きたすことがあります。
それらを血液検査によってチェックします。
画像検査
・脳の状態(かたち)をチェックするために、
頭部CT、MRI検査などで異常(萎縮や
脳梗塞・出血など)の有無をみます。
・また、脳の機能を調べるために、
SPECT検査で脳の血流を、PET検査で
脳の代謝の異常を調べます。
・また、PET検査でアミロイドの蓄積をみる
検査もあります。
ただし、PET検査は全て保険適用外です。
脳脊髄液検査
・脳炎などが疑われる場合などは腰椎穿刺
(腰から針をさします)を行い、脳脊髄液を
検査します。
・また、脳脊髄液中に含まれるアミロイドβの
測定はアルツハイマー病の診断に有用です。
❸認知症の4大原因疾患
アルツハイマー型認知症
・認知症の原因としては最も多いといわれて
おり、長い年月をかけて脳に、アミロイドβ
リン酸化タウというタンパク質がたまり
認知症をきたすと考えられています。
・記憶障害(もの忘れ)から始まることが多い
ですが、失語(音として聞こえていても話が
わかりにくい、物の名前がわかないなど)や
失認(視力は問題ないのに、目で見えた情報
を形として把握し難い)、失行(手足の動き
は問題ないのに、今までできていた動作を
行えない)などが目立つこともあります。
血管性認知症
・脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって
一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡ら
なくなり認知症をきたすものをいいます。
・脳血管障害を起こした場所により症状は
異なりますが、麻痺などの身体の症状を伴う
ことが少なくありません。
レビー小体型認知症
・脳にαシヌクレインというタンパク質が
たまり、認知症をきたすと考えられて
います。
・記憶障害などの認知機能障害が変動しやすい
ことのほか、ありありとした幻視(実際には
ないものが見える)や転びやすい、歩き
にくいなどのパーキンソン症状、睡眠中に
夢をみて叫んだりするなどの症状を伴うこと
があります。
・どの症状が先に出てくるかはそれぞれです。
前頭側頭型認知症
・脳の前頭葉と側頭葉が病気の中心として
進行していき、同じ行動パターンを繰り返し
たり、周囲の刺激に反応してしまうなどの
行動の変化が目立つ「行動障害型」と言葉の
障害が目立つ「言語障害型」があります。
参考資料