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高齢者のナイトケア
❶夜にはどのような
ことが起こるのか
(高齢者のナイトケアの実際)
⑴ 高齢者の行動の背景にある
意思や価値観を尊重して
転倒を予防する
早い気づきと対応が
求められるせん妄
・せん妄とは、場所や時間を認識する“見当識”
や覚醒レベルに異常が生じ、幻覚・妄想など
にとらわれて興奮、錯乱、活動性の低下と
いった情緒や気分の異常が突然引き起こ
される精神機能の障害です。夕方や夜間に
かけて発生することが多く、大半は数日
以内で改善していきますが、昏睡状態に
陥ったり、死に至ったりするケースも
あります。
・患者さん・利用者さんの様子がいつもと違う
ぼんやりしている、表情が硬い、急に怒り
だして「家に帰る」と言っている、
もしこれがせん妄の症状であった場合、
対応を急がなければならない身体の異変が
隠れていて、適切な対応をしないと手遅れに
なるかもしれません。
・また、錯乱状態に陥ることによる転倒や、
治療に必要な点滴の自己抜去などさまざま
なトラブルを引き起こすことも特徴です。
・せん妄の原因はさまざまであり、多くは
高齢者が発症します。
・特に夜間に興奮状態となることが多く、
職員の人手が少なく中での対応に苦慮
します。
・せん妄は認知症と間違われやすいですが、
脳の病気である認知症とは根本的に異なる
身体の病気です。
・せん妄の治療は、気分を落ち着かせたり、
睡眠を促したりする薬による薬物療法が
主体となります。
・しかし、せん妄を改善するには周囲の環境
を整えることも大切であり、適切な対処が
なされない状態が続くと症状が急激に悪化
することもあるので注意が必要です。
せん妄の原因となるもの
・せん妄は内科的な病気や脳の病気などが
根本的な原因となって精神的な変調をきたし
た状態のことであり、その原因は非常に
多岐にわたります。
・年齢が高くなるほど発症率は高くなり、
特に脳卒中、認知症、パーキンソン病など
の神経や脳に異常をきたす病気の既往がある
高齢者は風邪や便秘、脱水、睡眠不足など
普段と異なる状況が刺激となって突然発症
することがあります。
・また、若年者でも高熱、肺炎、腎不全など
身体の状態が著しく低下する病気を発症する
とせん妄を起こすこともあります。
・さらに、せん妄は身体の状態だけでなく、
環境的な変化によるストレスもひとつの
要因となります。
・具体的には、集中治療室(ICU)をはじめ
とした閉ざされた環境での入院中、手術後
などにせん妄を発症しています。
・また、そのほかにも鎮静剤や医療用麻薬、
抗うつ薬、ステロイドなどの薬剤の副作用
としてせん妄が生じることがあります。
せん妄を起こしやすい薬剤
せん妄治療に用いる薬剤