終末期ケア(1462)ー2 "高齢者の痛みの現れ方・訴え方" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星高齢者のナイトケア


❶夜にはどのような
    ことが起こるのか
     (高齢者のナイトケアの実際)

 疼痛緩和に役立つ知識

スター高齢者の痛みの
    現れ方・訴え方

花加齢に関連する注意点:痛み

・高齢者では、痛みを引き起こす病気が多く
 なってきます。

・高齢になると人はあまり痛みを訴えなくなり
 ます。その理由としては、痛みに対する身体
 の感じ方が低下する、痛みに対して我慢強く
 なる、などが考えられます。

・高齢者の中には、痛みは避けられない老化
 現象であると誤解して、痛みを軽視したり
 訴えなかったりする人もいます。

・痛みの最も一般的な原因は筋骨格系の病気
 です。

・しかし、高齢者には慢性の痛み(慢性疼痛)
 を抱えている人も多く、その原因は多岐に
 わたります。



・以下のような理由から、高齢者では痛みに
 よる影響がより重篤化することがあります。

慢性疼痛があると、様々な活動が行いにくく
なり、他者への依存度が高まります。

眠れなくなり、疲弊してしまうことがあります。

食欲が落ちて、低栄養になることがあります。

痛みのために、他者との交流や外出がおっくう
になることがあります。

その結果、孤立し、抑うつ状態になることも
あります。

・痛みがあると、活動量が少なくなる可能性が
 あります。

活動量が低下すると、筋力や体の柔軟性が
 失われて、活動がますます難しくなり、
 転倒のリスクも高まります。




花高齢者と痛み止め

・高齢者は、若い人より痛み止め(鎮痛薬)
 による副作用が起こりやすく、しかも一部の
 副作用は重症化しやすい傾向があります。

・高齢者では、鎮痛薬が体内にとどまる時間が
 長くなったり、鎮痛薬への感受性が高かった
 りします。

複数の薬剤を使用している高齢者も多いため
 そのどれかが鎮痛薬と相互作用を起こす
 可能性が高くなります。

・こうした相互作用には、薬の効果を増強する
 ものや、副作用のリスクを高めるものが
 あります。




花痛み止め

非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs
 エヌセイズ)(イブプロフェン、ナプロキセン
 など)には副作用があります。



・いくつかの副作用のリスクは高齢者で高く、
 ほかにも複数の病気がある場合や、NSAIDs
 を高用量で服用している場合には、特に
 リスクが高くなります。

・例えば、高齢者では、心血管疾患(心臓
 または血管の病気)やその危険因子をもって
 いる割合が高いですが、それらの病気やその
 危険因子をもつ人がNSAIDsを服用すると、
 心臓発作や脳卒中を起こしたり、脚に血栓が
 できたり、心不全になったりするリスクが
 高まります。




NSAIDsは腎臓に損傷を与えることがあり
 ますが、腎臓の機能は加齢に伴い低下する
 ため、このリスクは高齢者でより高くなり
 ます。

・腎臓への損傷(腎障害)のリスクは 腎疾患、
  心不全、または 肝疾患をもつ人でも高く、
 これらはどれも高齢者で多くみられる病気
 です。

・高齢者がNSAIDsを使用すると、消化管の
 潰瘍または出血を起こす可能性が高まり
 ます。

・そのため医師は、消化管の保護に役立つ薬剤
 例えば、 プロトンポンプ阻害薬(オメプラ
 ゾールなど)やミソプロストールなどを
 処方することがあります。

高齢者がNSAIDsを使用する場合は、
 主治医に相談して、副作用が起きていないか
 を定期的に評価してもらうべきです。

・医師は、可能であれば高齢者に以下も勧め
 ます。

NSAIDsの用量を低用量にする

NSAIDsの服用期間を短期間にする

NSAIDsの使用を中断する

・オピオイドは、この種の薬に反応しやすい
 高齢者では、若い人に使用する場合と比べて
 問題を引き起こす可能性が高くなります。






オピオイド転倒リスクも増大させ、
 オピオイドの長期使用は骨粗しょう症や
 骨折のリスクを増大させる可能性があり
 ます。

・オピオイドは便秘と尿閉を引き起こしますが
 高齢者ではこのような症状がさらなる問題の
 発端となる傾向があります。




花高齢者の痛みの訴え

・高齢者は、加齢に伴う生理的老化によって
 感覚の閾値が高くなり、60歳を超えると
 急激に上昇することや、皮膚の痛点の分布も
 加齢に伴って減少して行き、高齢者では
 若年者の約半分になること、神経伝達速度も
 加齢に伴って低下することがわかって
 います。

・痛覚の閾値の上昇、痛点の減少、神経伝達
 速度の低下などによって、高齢者には、
 痛みに対して自覚されにくい傾向がある
 考えられています。

・高齢者が痛みを自覚しにくい傾向があり、
 痛みに対して鈍感であるとされる一方で、
 高齢者の愁訴の第一は、身体各部の疼痛で
 あるとされています。

高齢者のうち25~50%が、何らかの疼痛
 を抱えているといわれており、高齢者の疼痛
 の原因として最も多いものが、腰痛(17.1%)
 で、その次に多いものが関節痛(14.5%)
 なっています。

・認知機能が低下した高齢者だけでなく、
 高齢者は一般的に「昨日から、お腹が
 チクチクした感じがあって眠れなかった」と
 いったように具体的に「痛い」と訴えない
 場合が多いことも念頭においたうえで、
 痛みのアセスメントを丁寧に行う必要があり
 ます。

・また、痛みはあるものと想像してかかわる
 ことも重要です。

・2002年に米国の老年医学学会が示した
 「高齢者における持続性の痛みに対する
 ガイドライン」では、高齢者の痛みを示す
 行動として、「唸る、叫ぶ、助けを呼ぶ、
 うめく」などの"言語化"「しかめっ面
 をする、眉を寄せる、額にしわを寄せる、
 その他歪んだ表情をする」などの"顔による
 表現"、「固く緊張した姿勢や防御姿勢、
 身体を揺する、そわそわする、行ったり来た
 りする、痛い部分をさする」などの"身体の
 動き"「攻撃的・闘争的な振る舞い、介護
 への抵抗、混乱を起こすあるいは引きこ
 もる」などの"人間関係における相互作用の
 変化"「泣く、混乱する、怒りっぽくなる
 あるいは悲嘆する」などの"精神的な状態の
 変化"を挙げています。
 





参考資料

    高齢者のナイトケア
  生活の場を中心とした
      支援のポイントと実際
       尾崎章子・坪井桂子編者
 
  
 
          次回は、
    "認知症高齢者のとらえにくい
      苦痛を包括的にアセスメントし
             緩和を図る
        高齢者の生活史を
            理解する意義"
            

              について


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