終末期ケア(1442)ー2 "認知症ケアの中心となる概念③" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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星高齢者のナイトケア


❶高齢者にとっての夜
  (生活の場からみた夜)

 認知症高齢者の理解

1)認知症ケアの
    中心となる概念②

①認知症の原因疾患と症状



・認知症を引き起こす病気を大きく分けると、
 脳の神経細胞が機能低下していく「神経
 変性疾患」脳の血管の病気が原因である
 「脳血管性認知症」「その他の原因」
 の3つに分類されます。
 
神経変性疾患による認知症の中では、
 アルツハイマー型認知症がその代表疾患で
 最も多い疾患です。

・2番目に多いのが「脳血管性認知症」で、
 脳梗塞や脳出血が原因です。

・「その他の原因」の中には、適切な治療で
 認知症が治る可能性のある精神疾患
 脳外科疾患あるいは内科疾患も含まれて
 いるため、それらを見逃さないようにする
 ことが非常に重要です。



スターアルツハイマー型認知症

一番多い認知症



・多くはもの忘れから始まり、見当識障害、
 遂行機能障害、心理症状などが徐々に進行
 してゆきます。

高血圧症や糖尿病などが疾患発生を高める
 可能性があるといわれており、定期的な
 運動や健康的な食生活には予防効果がある
 といわれています。

疾患を完全に治療することはできませんが、
 症状の進行を遅らせる薬があります。
 
65歳以上で発症することがほとんどですが、
 それより若い人にも起こります。


特徴的な症状の例

・同じことを何度も聞く、
 物の置き場所を忘れる物事の段取り
(食事の準備など)が悪くなる
 日付が分からなくなる など




スター脳血管性認知症

脳梗塞、脳出血などが引き金




男性に多く、脳の血管障害(脳卒中)が
 原因で、脳の機能低下により発症します。
 
・認知症症状だけではなく、運動障害やしびれ
 などの神経症状を伴います。

・脳血管性認知症は脳卒中が起こるたびに
 症状も進行するため、脳卒中のリスクと
 なる生活習慣病の治療・改善が脳血管性
 認知症の予防につながります。


特徴的な症状の例

・もの忘れよりも遂行機能障害が目立つ
 場合が多い
 損傷部位によって症状がかわる
 (頭頂葉障害:失認や失行、前頭葉障害:
 うつ など)
 手足の麻痺やしびれがある など




スターレビー小体型認知症

幻視が起こるのが特徴




・認知症の症状だけではなく、手足のふるえ
 や立ちくらみ、歩行障害、うつ、動作が
 鈍くなるといった症状が出現することが
 特徴です。
 
幻視(目の前に無いはずの物が見える)
 起こることがあります。

・また、1日のうちで症状が変動することも
 あります。


特徴的な症状の例

・子どもや虫が見えると言う
 夢を見て反応し大声を出す
 初期はもの忘れが目立たない など





スター前頭側頭型認知症

性格や行動上の変化が主な症状




 
65歳以下の若年に起こりやすいといわれて
 います。
 
性格変化や意欲低下などを生じる前頭葉
 症状と、言語障害などが起こる側頭葉症状
 があります。

・初期ではもの忘れはあまりありません。
 
・他の認知症と違い、指定難病に認定されて
 います。


特徴的な症状の例

・同じ時間に同じ行動をとる
 同じ食品を食べ続ける
 周囲を顧みず自己本位な行動が目立つ
 (例:万引き、無銭飲食) など





スターその他の認知症

・全身のさまざまな病気により、認知機能障害
 が起こることがあります。これらはその
 病気本来の治療により治る可能性があり
 ます。


内分泌・代謝性中毒性疾患

・脳とは関係がないと思われがちですが、
 甲状腺機能低下症やビタミンB1欠乏症、
 肝機能低下、低血糖、アルコール多飲など
 でも認知機能低下を起こすことがあり
 ます。

・ホルモンバランス改善や栄養管理などに
 より、低下した認知機能は改善しやすい
 です。



感染性疾患

・細菌やウイルスなどによって脳や脊髄を
 包んでいる組織(髄膜)の炎症反応によって
 おこる病気(脳炎・髄膜炎)であり、頭痛、
 発熱、意識障害などがおこります。 

・抗生剤の投与などの治療をおこなって
 いきます。



脳外科的疾患

・脳腫瘍や慢性硬膜下血種(頭蓋骨と脳の
 隙間に血がたまる病気)といった病気の
 ため、正常な脳組織が圧迫されることに
 より、認知機能低下が起こります。

・腫瘍や血種の場所によって、手が動かし
 にくい(運動障害)や言葉がでにくい
 (言語障害)、性格が変わる(行動変容)、
 めまいなどが出現します。



正常圧水頭症

・脳の中に水(脳脊髄液)がたまり、
 物忘れを主とした認知機能低下が出現する
 ことがあります。

・認知機能低下だけでなく、歩幅が狭く
 不安定な歩行(歩行障害)や排泄が
 間にあわない(尿失禁)といった症状も
 出ることが多いです。

・外科的手術により、改善することがあり
 ます。









参考資料

    高齢者のナイトケア
  生活の場を中心とした
      支援のポイントと実際
       尾崎章子・坪井桂子編者
 和歌山県立医科大学附属病院 
    認知症疾患医療センター
 
 
   
    次回は、
     認知症高齢者の理解
     "認知症の薬物療法と
           非薬物療法"
         
      
             について


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