終末期ケア(1411)ー2 "高齢者医療の未来 高齢者は感染しやすく治りにくい" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星いつもと違う高齢者をみたら


❶高齢者医療の未来

 高齢者は感染しやすく
       治りにくい

・高齢者は感染症にかかりやすく、
 それだけでなく、かかった際に重症化して
 しまうリスクも高いため、日頃からの
 感染予防が重要です。

・高齢者が感染症にかかりやすいのは、
 加齢に伴う免疫力の低下が関係しています。

・これには、免疫に関わる細胞である白血球の
 数の減少や機能の低下、脾臓やリンパ節など
 の白血球の働きを助ける臓器の機能低下など
 が影響しています。

・また、高齢者の生活環境が感染症発症の
 原因となっている可能性もあります。

・とくに、高齢者が集団で過ごす高齢者施設
 やデイサービスなどでは、感染が拡大
 しやすく、集団感染も問題となっています。




②高齢者がかかりやすい
           感染症の種類と症状


クローバーインフルエンザ

・毎年秋の終わり頃から春の初めにかけて、
 全国的に流行する感染症です。

インフルエンザウイルスによる感染症で、
 感染経路は接触感染と飛沫感染です。

・発症すると高熱、のどの痛み、倦怠感、
 関節痛などの症状を引き起こします。

・健康な方であれば、4~5日で自然に回復
 することがほとんどですが、高齢者は
 気管支炎や肺炎などの合併症を生じやすく、
 重篤な状態になることも少なくありません。

・なお、厚生労働省のデータによれば、
 インフルエンザの死亡率は年齢を重ねる
 ごとに上昇し、70代以降では若い方の
 30倍以上にも上るとの報告があります。

・入院治療が必要になる方の割合も年齢が
 上がるごとにアップします。








クローバー肺炎

・現在、肺炎は日本人の死因5位となっており
 6.9%の方が肺炎で亡くなるとされて
 います。

・高齢者の肺炎は、飲食物や唾液が気管に
 流れ込むことによって生じる「誤嚥性肺炎」
 が多いですが、風邪が悪化して肺炎に進行
 してしまうことも少なくありません。

・肺炎は気道に細菌やウイルスが感染する
 ことによって発症する病気で、発症の原因
 となる病原体はさまざまですが、病原体が
 何であれ、発症すると発熱、咳、呼吸困難感
 胸の痛みなどを引き起こし、重症化すると
 自力での呼吸が困難となり、全身の酸素が
 不足して重篤な状態に陥ります。

・高齢者は肺炎を発症すると命を落とす
 ケースも多いため、予防対策を徹底する
 ことが大切です。

・高齢者の肺炎対策として平成26年には、
 高齢者の重篤な肺炎を引き起こしやすい
 「肺炎球菌」のワクチンが65歳以上の方の
 定期接種に定められました。
 (※注 誤嚥性肺炎には効果はありません)









クローバー尿路感染症

膀胱や尿道、尿管、腎盂など尿の通り道に
 細菌が入り込んで炎症を引き起こす病気
 です。

・通常、これら尿の通り道は無菌状態です。

・ですが、加齢とともに膀胱や尿道の働きは
 低下するため、尿道口から細菌が侵入して
 尿路感染症にかかりやすくなります。

・とくに寝たきりの方は、膀胱内に尿が
 溜まりやすくオムツなどで陰部が不衛生に
 なりやすいため、頻繁に尿路感染症を
 繰り返す…というケースも多々あります。

・尿路感染症を発症すると、残尿感や排尿痛、
 下腹部の違和感などを生じます。

・さらに炎症が腎臓内にまで波及する
 腎盂腎炎を発症します。
 強い背中の痛みや高熱が生じ、敗血症に
 至ることも珍しくありません。









クローバー感染性胃腸炎
    (ノロウイルスなど)

・ノロウイルスなどによる感染症です。

・症状は病原体の種類によりますが、発熱、
 腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などの症状を
 引き起こします。

・重症なケースでは、頻回の下痢や嘔吐
 ため脱水状態に陥ることも少なくあり
 ません。

・とくに高齢者は元々体内に保持されている
 水分量が少ないため、脱水を起こしやすい
 のが特徴です。

・一般的な感染性胃腸炎は冬に流行しやすい
 ですが、年間を通して感染する危険があり
 ます。

・主な感染経路は接触感染と経口感染です。

施設内などで集団発生することもあるため、
 徹底した感染対策が必要です。






クローバーMRSA感染症
(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症)

「MRSA」とは、一部の抗生剤に対して
 耐性を持つ黄色ブドウ球菌のことです。

・黄色ブドウ球菌は、私たちの皮膚や口の中
 などに常在している細菌の一つであり、
 MRSAも通常は悪さをすることはあり
 ません。

・しかし、免疫力の低い高齢者が感染して
 肺炎や腸炎などを発症すると、治療が
 難しいばかりでなく、敗血症や髄膜炎
 などに進行して重篤な状態に陥る危険が
 高くなります。

・なお、近年、MRSAのように抗生剤が
 効かなくなった細菌が増えていることが
 社会問題となっています。

・原因は抗生剤の不適切な使用とされており
 抗生剤の使用頻度が高い日本は海外に
 比べてこれら「薬剤耐性菌」の発生頻度が
 高い傾向にあります。

・とくに高齢者は、これまで不適切な抗生剤
 の使用を繰り返されてきた方も多く、
 MRSAをはじめとした「薬剤耐性菌」を
 持っている率は高めです。

免疫力の低さと相まって重篤な感染症を
 引き起こすリスクが高くなります。








クローバー結核

・結核は過去の病気というイメージが強い
 かも知れません。

・しかし、今でも年間で40,000名以上の方が
 新たに結核と診断されています。

死因順位は30位であり、決して珍しい病気
 ではありません。

・結核は発病すると、発熱、咳、血痰、
 呼吸困難感、体重減少、活動性低下などの
 症状が引き起こされます。

・感染経路は空気感染ですが、感染してから
 症状が現れるまでに長い時間がかかるのが
 結核の特徴です。

・結核は結核菌が肺の中で悪さをすることで
 発病します。

・しかし、通常の免疫力がある方であれば、
 肺の中に侵入した結核菌は硬い殻の中に
 閉じ込められて眠った状態となります。

感染したとしても8~9割の方は、結核菌
 が眠った状態のまま一生を終えます。
 そして、残り1割程度の方が免疫力の低下
 などにより、結核菌が悪さを始めて発病
 するのです。

・結核は治療法が確立するまで日本人の
 死因1位を独走していました。
 そのため、高齢者は若い頃に結核菌に
 感染している方が多く、加齢とともに
 免疫力が低下することをきっかけに結核を
 発病しやすいのです。

・実際、結核と診断された方の半数以上が
 60歳以上の高齢者であり、近年、高齢者の
 結核患者が増えていることが問題となって
 います







クローバー新型コロナウィルス感染症
      (COVID-19)

・発症により、高齢者の慢性疾患を悪化
 させる可能性あります。

・これらの慢性疾患には、心血管病変
 (心筋梗塞、心不全など)、呼吸器疾患
 (COPD、間質性肺炎など)、脳神経変性
 状態(アルツハイマー病など)、フレイルと
 呼ばれる四肢の筋力低下などの機能低下など
 があります。

・社会的問題として高齢者では新型コロナ
 流行期に入ってからは外出制限などで
 高齢者の社会的交友関係が減少するなど
 外出する機会が減りました。










参考資料

  いつもと違う高齢者をみたら
  在宅・介護施設での判断と対応
           荒井千明著
 日本糖尿病学会資料
   
    次回は、
    「いつもとちがう」に出合ったとき
    "高齢者医療の未来
    高齢者の背景・病態に合わせた対応
     高齢者は痩せと脆さが
          共存している"
      
             について


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