終末期ケア(1391)ー2 "意識がない①" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星いつもと違う高齢者をみたら


❶「いつもとちがう」に
      出合ったとき

⑴意識がない

意識レベルが落ちても、そのうち元に戻る
 のが失神で、意識消失とも呼ばれます。

・高齢者の場合、失神になる原因は神経反射に
 よる場合と、起立性低血圧による場合
 多いとのデータがあります。

74歳までの高齢者では血管迷走神経反射
 多く、咳をしたり排便のあとによくみられ
 ます。

75歳以上では、神経反射による失神のほか
 に、起立性低血圧による失神が増えて
 きます。

・高齢者の起立性低血圧は、背景に貧血がある
 ことが多く、消化器がんが隠れている例も
 少なくありません。

・消化管から出血していれば気がつきそうなの
 にと思われるかもしれませんが、大半は微量
 の出血が長きに渡って起きているため、
 意外に無症状であることが多く、発見は遅れ
 がちになります。




・そのほかに意識消失発作にはいろんな病態が
 ありますが、その鑑別診断には発作を目撃
 した人から発作の状態を詳しく聞く問診が
 役に立ちます。

・例えば手足の動きはどのようであったか、
 顔色は紫色であったか、意識はすぐに戻った
 かもうろう状態が続いていたか、意識消失は
 何分続いたかなどです。

・症例によって検査の内容は異なりますが、
 鑑別診断のために心電図、脳波、頭部MRI・
 MRA、場合によってはホルター心電図、
 臥位と急速立位の血圧の差をチェックしたり
 します。




神経調節性失神は、一時的な自律神経の
 不調によって脳の血流が低下するもので、
 目の前が暗くなり気が付いたら冷や汗を
 かいて倒れるといった特徴があります。

・その中には30秒以内の短い上肢のふるえを
 伴い、てんかん発作との鑑別が必要になる
 ことがあります。

血管迷走神経反射による失神は、
 夜、アルコールを飲んだり食事をした後や
 排尿排便を我慢していた時、急に腹痛など
 の痛みが起こった時や注射を受ける際などに
 意識を失って倒れます。

糖尿病でインスリンや経口血糖降下剤を
 使用中の方では、低血糖による意識消失発作
 があり得ます。

・高齢の方がベッドや椅子から起き上がる時に
 立ちくらみがして意識を失って倒れることが
 ありますが、この時は起立性低血圧を疑い
 ます。

薬剤が原因で起立性低血圧が起こることも
 あり注意が必要です。
 血圧の薬を朝に服用していることが多く、
 特に午前中に立ちくらみ症状が強い特徴
 あります。

・また不整脈など心臓の病気で失神を起こす
 ことが稀にあり、その場合は早期診断が
 重要です。




覚醒している状態で、さらに自分自身と周り
 (周囲・外界)を認識できていることを
 意識清明といいます

意識障害とは、意識が清明ではない状態
 ことを示し、覚醒度あるいは自分自身と周り
 の認識のいずれかが障害されていることを
 指します。

・原因としては、脳自体の障害によって生じる
 (一次的な)ものと、脳以外の原因によって
 脳血流や代謝異常が発生し、二次的に脳の
 機能が低下するものがあります。

・意識障害の程度にはいくつかの分類があり
 ますが、軽度のものから「傾眠」「昏迷」 
 「半昏睡」「昏睡」四つに分類されます。


クローバー傾眠:外部からの刺激や情報に反応し
   覚醒するが、放っておくと眠ってしまう

クローバー昏迷:体を揺する、大声で呼びかける
   などの強い刺激を与えると、反応する

クローバー半昏睡:強い刺激に反応して、刺激を
   避けようとしたり、顔をしかめたりする

クローバー昏睡:外部からの刺激に全く反応しない
   眼は閉じたまま



・重症の意識障害では、速やかに原因を調べる
 ことが必要です。

・時には、救命処置が必要になることがある
 ため、早急に医療機関を受診します。

・切迫しているものは、救急車での対応が
 必要です。




失神は、脳全体に血液が行かなくなった状態
 により、意識がなくなり、その後回復する
 いう病態です。

長時間の立位、強く長く続くせき、
 突然立ち上がる、排尿時や排便時のいきみ
 などにより、血圧の変動をきたし、失神に
 至ることがあります。

・意識を失ったときには姿勢を維持できなく
 なるため、結果的に横に(臥床位)になること
 で、脳血流の回復が得られ、意識も戻り
 ます。

心臓の弁膜症や不整脈が原因心原性失神
 と呼ばれるものは、適切な診断と治療が
 必要です。





・また、意識がないままに倒れた場合、
 受け身が取れません。

・高齢者の場合、この失神による転倒により、
 頭に重い後遺症をきたす場合もあります。
 繰り返さないうちに診断することが大切
 です






⑵回復体位


・回復体位とは、ファーストエイドのひとつの

 対応として、救急車が到着するまで傷病者が

 安全な場所で安静を保てるようにするための

 姿勢です。


・具体的には、反応はないが普段通りの呼吸を

 している傷病者に、横向きに寝た姿勢

 とらせます。

 その姿勢を回復体位と呼びます。


・傷病者の意識がない場合、喉の奥の筋肉や

 舌の力が抜け、舌の付け根が喉の奥の気道を

 塞ぐことがあり、呼吸ができなくなります。


・また、嘔吐したり吐血(血を吐く)したり

 している場合も、その吐き出したものが

 気道に入り、呼吸ができなくなる場合

 あります。


回復体位はこれらを予防し、傷病者の呼吸を

 維持することで、苦痛を和らげ、状態の悪化

 を防ぐことができます。







参考資料

  いつもと違う高齢者をみたら
  在宅・介護施設での判断と対応
           荒井千明著

   
  次回は、
    「いつもとちがう」に出合ったとき
     "意識がない②
              「意識がない」ときの考え方 と
          チェックポイント"
      
             


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