終末期ケア(1309)ー2 "神経難病(ALS)③ 緩和ケアの視点で行いたいこと" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星がん患者に行う緩和ケア


❶神経難病(ALS)
  筋萎縮性側索硬化症③

①緩和ケアの時点で
     行いたいこと


⑴多様なケアが求められるが
 特にコミュニケーション障害
 と呼吸困難に注意する

・たとえ、根治療法がなくても、緩和的治療
 ・緩和ケアは積極的に行なっていく必要が
 あります。

・さまざまな症状に対する対症的な薬物療法の
 際は、副作用として呼吸抑制が起きないよう
 に慎重に薬剤を選択します。

・例えば、睡眠薬であれば、ベンゾジアゼピン
 系よりも呼吸抑制の少ないゾルビデム(マイ
 スリーなど)を選択します。

・他に、エアマットの調整、安楽なポジショ
 ニング、痛みに対するリハビリテーション
 (ストレッチ、関節可動域)維持訓練を筋肉
 疲労を残さない程度に行います。




・唾液処理(誤嚥性肺炎予防など)のための

 唾液用低圧吸引器の使用や薬剤(アミノトリ

 プチリン(トリプタノール)、口腔ケアなど、

 多岐にわたる緩和ケアが求められます。








・ALSにおいて特に注意したいケアとして、

 コミュニケーション障害と呼吸困難が挙げ

 られます。




⑵コミュニケーション障害

 文字盤など、コミュニケー

 ションツールを用いる


・コミュニケーション障害に対しては、

 文字盤、パソコンなどのIT機器、さまざまな

 スイッチを用いたコミュニケーションツール

 などを導入します。









医療スタッフがこれらのコミュニケーション

 方法に習熟することで個々の患者さんとの

 コミュニケーションが可能となれば、双方の

 ストレスが減り、看護ケアの質が高まり

 ます。





⑶呼吸困難

 自然経過や換気補助によって

 注意点・対応が異なる


・呼吸困難に対しては、

 呼吸リハビリテーション、排痰補助装置

 での気道クリアランス改善・無気肺予防

 などを行います。





・また、自然経過や換気補助の種類(NPPV、

 TPPV)によって、対応や注意点が異なり

 ます。





イチョウ自然経過または
 NPPV実施の場合、
 CO2ナルコーシスに注意







・換気補助をしない自然経過の場合、

 または、気管切開をせずNPPV(非侵襲的陽圧

 換気療法)を実施する場合は、呼吸困難

 増悪に注意が必要です。



※NPPV療法とは、

 呼吸状態の悪い患者さんに対して行う
 人工呼吸管理の方法の1つです。
 従来の方法と違い気管内挿管(口や鼻から
 チュ-ブを挿入する)や気管切開(のどを
 切開しチュ-ブを挿入する)を必要としない
 タイプの人工呼吸法です。


・換気低下により、CO2ナルコーシスとなり
 自然な鎮静がかかることで穏やかに経過する
 場合もありますが、呼吸困難が増悪している
 場合には、少量のモルヒネなどによる症状
 コントロールが必要になることもあります。


※CO2ナルコーシスとは
 二酸化炭素が体内に多量に蓄積することで
 意識障害などの中枢神経症状をきたす病態の
 ことです。

・耐えがたい呼吸困難の場合には、
 ミタゾラム(ドルミカムなど)などを用いた
 緩和的鎮静を検討することになります。





イチョウTPPV実施の場合、
 血圧変動などの身体面に加え
 アドバンス・ケア・プラン
 ニングが重要




・TPPV(気管切開下陽圧換気)を実施した場合

 の終末期では、肺炎が死因の多くを占めます

 が、がんなど加齢による一般的な死因も

 みられます。


・また、TPPVで10年以上の長期経過になると

 血圧変動、低体温、持続的な気道内圧の上昇

 異常な高血糖、全身性浮腫など医学的常識

 では説明が難しい状態になることがあり

 ます。


・ALSは、診断時から終末期までの経過を

 通して、さまざまな医療処置や介護環境の

 選択を迫られることになります。


TPPVを開始すると途中で中止することは

 (日本の法律上、安楽死となる)事実上困難

 です。


・気管切開をして呼吸器をつけない選択を

 しても、ぎりぎりのタイミングでやはり

 生きることを選び直すこともあります。


・患者さんの「揺らぐこと」にも寄り添い

 ながら、アドバンス・ケア・プランニング

 のプロセスへの介入が求められます。



アドバンス・ケア・プランニング









参考資料

    非がん患者に行う緩和ケア
      エキスパートナース
   
          
       
    次回は、
    "非がん患者に行う緩和ケア
               緩和ケア
      看護の視点①
      終末期の看護実践の考え方"


               について


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  私も勉強になりありがたいです。