終末期ケア(1280)ー2 "胸痛で高齢者が受診した場合、どのような疾患を考えるか②" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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⭐️患者と家族に
   もっと届く緩和ケア

ひまわり高齢者救急

ちょうちょ高齢者の
  アセスメント・初期対応

❶胸痛で高齢者が受診した場合
 どのような疾患を考えるか②


⑴大動脈解離の典型的な症状



・大動脈解離(だいどうみゃくかいり)とは、

 外側から“外膜”、“中膜”、“内膜”という3つの

 層で成り立っている大動脈と呼ばれる血管の

 内膜が裂け、中膜の隙間に血液が流れ込んで

 血管が縦方向に剥がれるように裂ける(解離

 する)病気です。


大動脈解離は何の前触れもなく発症するのが

 特徴で、解離が起こった範囲に応じて胸や

 背中に強い痛みが起こります。


・大動脈が解離を起こすと、中膜に血液が

 流れ込んで血管の壁が非常に薄くなるため、

 破裂しやすい状態となります。


・特に心臓に近い部位(上行大動脈)に

 大動脈解離が発生すると破裂しやすく、

 破裂した場合は心臓を包む膜に漏れ出した

 血液がたまる“心タンポナーデ”や、心臓の

 機能に異常が引き起こされる“心不全”を

 発症し、発症から間もなくして死に至る

 ようなケースもあります。


大動脈解離は生命にかかわる重篤疾患ですが

 初診時に正しく診断されるのは60〜80%

 程度という恐ろしい病気です。


・90%は胸痛があり、「引き裂かれるような

 痛み」「移動する痛み」「血圧の左右差」

 などがある場合は大動脈解離の可能性が

 高くなるといわれています。


・大動脈解離を疑った場合は、造影CTや

 血液検査が必要となります。






⑵肺塞栓症を疑うポイント








・肺塞栓症も胸痛や呼吸困難をきたす疾患

 です。


・肺塞栓症は、血液のかたまり(血栓)や、

 まれに他の固形物が血液の流れに乗って

 肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこを

 ふさいでしまう(塞栓)病気です。


・肺塞栓症(肺血栓塞栓症)は、

 主に足の静脈にできた血のかたまり

 (血栓:けっせん)が血流に乗って流れ、

 肺動脈(心臓から肺に血液を送る動脈)で

 詰まることによって生じる肺循環障害です。


・主な原因となる血栓は、

 「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃく

 けっせんしょう)」であり、入院中や飛行機

 の搭乗など長時間同じ姿勢でいることにより

 血栓ができるため「エコノミークラス

 症候群」「旅行者血栓症」とも呼ばれて

 います。


静脈内に血栓ができる原因は、

 判然としない場合もありますが、多くの場合

 血栓ができやすくなる明らかな要因

 (危険因子)があります。具体的には以下の

 ものがあります。


クローバー高齢(特に60歳以上)

クローバー血液凝固障害(血栓ができるリスクが高まる

 状態[凝固亢進状態と呼ばれる])

クローバーがん

クローバー薬剤または栄養を投与するためのカテーテル

 が太い静脈に挿入されている

 (静脈内カテーテル留置)

クローバー血栓ができやすくなる病気(凝固障害または

 血栓症と呼ばれる)

クローバー心不全

クローバー動きが制限される状態(例えば、手術または

 病気の後、車または飛行機での長時間の

 移動中など)

クローバー骨盤、股関節、または脚のけが

クローバーネフローゼ症候群と呼ばれる腎疾患

クローバー過去3カ月以内の大きな手術

クローバー血液の粘り気を高める骨髄の病気

クローバー肥満

クローバー妊娠中または出産後の一定期間

クローバー血栓の既往歴

クローバー鎌状赤血球症

クローバー喫煙

クローバー脳卒中


・まずは、血栓症や悪性腫瘍の既往歴、

 最近の手術歴、寝たきりなどの危険因子が

 ある場合の胸痛や呼吸困難で肺塞栓症を

 考えます。


・高齢者の、原因がよくわからない胸痛や

 呼吸困難の症例では必ず肺塞栓症を疑う必要

 があります。



!!高齢者の胸痛(胸が苦しい)
 は、重篤な疾患の可能性が
 高い

!3大疾患(急性冠症候群、大動脈解離
 肺塞栓症)を念頭に!

!自力受診の患者さんから危険な胸痛を
 探し出すためには問診がカギ!

! 急性冠症候群は「圧迫、悪心、放散
 冷汗」をチェック

!「今はもう痛くない」からといって
 安心しないこと!

!大動脈解離は「痛みの性状と移動」
 をチェック

!肺塞栓は危険因子(血栓症、寝たきり
 悪性腫瘍)をチェック

!高齢なほど「危険な胸痛」となる
 可能性が高い








参考資料
 急変予防&対応ガイドマップ
       高齢者救急
          岩田充永
             医学書院
   
          
       
    次回は、
    "高齢者救急
     高齢者のアセスメント・初期対応
     虚血性胸痛患者さんでは、
      どのような初期対応が必要か①"

     

           
        
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