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⭐️患者と家族に
もっと届く緩和ケア
ひととおりのことをやっても
苦痛が緩和しない時に開く本
難治性ではないはずのせん妄
❶もともとの習慣や、
「したいこと」がある①
⑴「もともとの習慣」がある
・例えば、毎朝4時に落ち着かなくなる人、
服を脱ぎ出す人、よくよくご家族に聞いて
みると、「毎朝散歩に行っていた」「朝風呂
に入っていた」ということがあります。
・50年、60年と習慣でやってきたことは
なかなか変わりません。
・入院してしまうと病院の時間がルールになり
家での習慣とはまったく違った環境で生活
することになります。
・特に終末期のせん妄の場合、不可逆的な原因
で意識が混濁していますから、「ここは
病院だ」ということがあいまいになって、
「普段していた行動をとる」ことがあり
ます。
⑵「本当にしたいこと」がある
・もう一つ、「本当にしたいことをしようと
している」不穏、というのがあります。
・例えば、昼間にお子さんたちが来て、
「子どもたちに宛てた手紙」(「遺書」の
つもりで書いたもの)を子どもたちに渡した
のに、夕方になって少し意識が混濁してきて
「あれ、渡したっけ…すごく大切なもの
なんだけど…」と部屋の中を探し回っている
ところを、何も事情を知らない人が見たら、
「不穏…?」となってしまいます。
・何とも切ない感じですが、意識が混濁して
いる中でも、何かしたいことというのは
人間誰でも(終末期になればなるほど)持って
いるもので、不穏のかげにこのような何か
「したいこと」が隠れているのではないかな
と想像してみるのも必要な時があります。