終末期ケア(1084)-2 "中等度認知症の人への緩和ケア③" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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⭐️認知症plus緩和ケア

チューリップ認知症のステージごとの
      緩和ケアの特徴
    
ちょうちょ中等度認知症の人への
        緩和ケア③

❶中等度認知症の緩和ケアと
 してのBPSDへのアプローチ

⑴BPSDの要因と出現時期

・BPSD(行動・心理症状)は、ご本人の
 変化や身体的苦痛のサインである場合が
 少なくありません。




・また、BPSD (行動・心理症状)は、
 ご家族・介護者にとっては介護負担が増え、
 大きな精神的な負担となります。

・しかし、最も重要な視点は、
 BPSD (行動・心理症状)そのものが
 しばしばご本人の心理的な苦痛の表れであり
 "魂の痛み"の表現であるということです。



BPSD(行動・心理症状)の苦痛を和らげる
 のは、緩和ケアの観点からも重要です。

・BPSD(行動・心理症状)の発生には、
 認知症という背景に加えて、ご本人の
 生来の性格や心理的状況、環境要因などが
 複合的に関係します。

・そのため、薬剤のみならず、環境整備や
 非薬物的なアプローチなど多面体で総合的な
 対応が必要で、介護・看護・医療の多職種に
 よるアプローチが有効です。









BPSD(行動・心理症状)の出現や増悪に

 かかわる因子は、身体の変化や苦痛、薬剤

 の影響によるものが半数以上を占めるため

 BPSD(行動・心理症状)出現時は、合併症や

 薬剤による副作用などの身体的アセスメント

 を優先的に実施すべきです。


BPSD(行動・心理症状)は基本的にどの病期

 にでも起こり得ます。


・例えば、アルツハイマー型認知症の特有の  

 物盗られ妄想は、比較的軽度の時期から

 表れます。


・一般的には、BPSD(行動・心理症状)の

 約8割は中等度の時期に出現するといわれて

 おり、出現頻度は軽度から中等度にかけ

 増大し、重度になると次第に減少していき

 ます。



⑵基礎疾患ごとに違う

      出現頻度と内容


BPSD(行動・心理症状)の出現頻度と内容に

 ついては、基礎疾患によって明らかな違いが

 あります。


・出現頻度は、アルツハイマー型認知症よりも

 レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症の

 ほう多く見られます。


・また、内容についても疾患によって明らか

 な違いがあります。


軽度のアルツハイマー型認知症に特有なのは

 物盗られ妄想レビー小体型認知症に特有

 なのは幻視や妄想性誤認症候群、前頭側頭型

 認知症に特有なのは常同性や周遊、食行動

 異常、脱抑制などです。


・レビー小体型認知症の幻視や前頭側頭型

 認知症の常同性は、疾患の診断においても

 重要な症状であり、むしろ中核症状の1つ

 として考えられます。















⑶BPSDへのアプローチ


BPSD(行動・心理症状)への対処法や治療

 も原因疾患によって異なります。


・レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症の

 BPSD(行動・心理症状)に対しては、

 薬剤の使い方が解決の鍵になる場合が多い

 ようです。


・また、デイサービスなどを利用している

 認知症の人のほうがBPSD(行動・心理症状)

 の発生が少ないといわれているため、

 レスパイトケアの導入は重要だと考えます。



チューリップBPSD(行動・心理症状)の

        アプローチのポイント

①介護者・ご家族への早期からの
 教育的支援

②ケアの導入とレスパイトケア

※レスパイト(respite)とは、

「休息」「息抜き」「小休止」という
 意味です。 高齢者などの在宅で介護を
 する家族に対して不安を取り除き、
 一時的にケアを代理し、休息を与える
 家族支援の意味で用いられます。
 在宅介護の要介護状態の方を介護を
 している家族などが一時的に介護から
 解放され、休息をとれるようにする
 支援のことです。


③BPSDの悪化要因の除去(薬剤中止、
 合併症治療)

④環境の改善

⑤非薬物療養

※音楽療法、作業療法、園芸療法、
 アロマセラピーなど

⑥尊厳と役割の維持と創造

⑦薬剤の正確に使用
 
薬物療法の目的は、
 患者さんの苦痛を和らげ、暮らし
 にくさを改善します。








参考資料

 認知症plus緩和ケア
 症状緩和とスピリチュアルペインへの対応
          日本看護協会出版会
     

   
    次回は、
    認知症のステージごとの
        緩和ケアの特徴
       "中等度認知症の人への
             緩和ケア④"

             
                          
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