終末期ケア(996)-2 "睡眠障害、精神症状:せん妄の薬剤療法②" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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⭐️終末期がん患者の緩和ケア

イチョウ痛み以外の症状の緩和
  
❶睡眠障害、精神症状:
     せん妄の薬剤療法








❷ごく軽度のせん妄の場合


・夜間のみ、寝ぼけたようなごく軽度のせん妄

 の場合には、睡眠薬で十分な睡眠が得られる

 だけで問題が解決することが多くみられ 

 ます。


・また睡眠薬が逆にせん妄を悪化させること

 もあるので(特に超短期作用型の睡眠薬)

 その場合にはすぐに睡眠薬を中止して

 抗精神病薬に変更します。











❸軽度〜中等度〜重症の場合


・せん妄とは, 軽度から中等度の意識障害を

 主体とし, 身体疾患や薬剤, 手術などを

 原因として発症する病態です。 身体的な

 治療を受けているすべ ての患者さんに

 みられる可能性があり, 特に高齢者では

 せん妄が起こりやすいとされています。


・治療としては、非定型抗精神病薬が第一選択

 として使用されます。


・せん妄の治療は、

 "ベースは抗精神病薬、鎮静の決め手は

 ベンゾジアゼピン系薬(睡眠薬)という

 イメージで薬を調整します。


定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬



⑴非定型抗精神病薬による

      せん妄治療のコツ


1)薬剤の選択


・調節のしやすさ、鎮静効果の強弱、剤形など

 で選択します。


"調節のしやすさ"とは半減期が短く、

 毎日増量しやすいということです。


※半減期とは

 薬学における半減期とは、

 薬成分の血中濃度が半減するまでの時間の

 ことを指します。


過活動型のせん妄では、

 1日でもはやいコントロールを得るために

 毎日増量したいので、半減期の短い薬剤

 選んだほうがよいと考えます。


クエチアピンは半減期が短いので毎日増量

 でき、かつ鎮静効果も強いので過活動型の

 せん妄のときに選択するとよいと考え

 ます。

 



2)増量間隔


・症状により数時間〜数日ごとに少しずつ

 増量します。



3)投与のタイミング


・一定の時間帯になるとせん妄が出現する 

 ような場合には、症状が出現する2〜3時間

 前に投与しておきます。


・1日を通してせん妄が続く場合には、

 血中濃度が一定に保たれるよう定時投与

 します。



4)併用薬


・周囲の者が対応可能な活動レベルになるよう 

 に、睡眠薬(ミダゾラム、フルニトラゼパム)

 を、適宜追加します。



メモ薬物投与のコツ

患者さんの周囲にいる看護師を除いた
医療者(医師や薬剤師など)は、つい薬剤
を控えめに使用する傾向があります。
しかし、せん妄はご本人のみならず、
そばで直接対応する者にとって非常に
つらい体験です。
したがって、薬物療法や鎮静レベルは
介護にあたっているご家族や看護師と
話し合ったうえで、検討することが重要
です。







参考資料

 一般病棟でもできる
  終末期がん患者の緩和ケア
        日本看護協会出版会
 
  ここが知りたかった緩和ケア
          余宮きのみ
             南江堂


   
    次回は、
    終末期がん患者の緩和ケア

    "睡眠障害、精神症状:
          難治性のせん妄③"
     
                    
                  
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