終末期ケア(980)-2 "終末期の輸液・栄養管理の考え①" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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⭐️終末期がん患者の緩和ケア

イチョウ痛み以外の症状緩和
 
①終末期の輸液
   ・栄養管理の考え方①


    輸液の減量・中止の目安

・高カロリー輸液を中止するタイミング
   
➡︎悪液質症候群に対して
     ステロイドを開始するとき


・輸液量を減量するタイミング
   
➡︎体液過剰徴候がみられたとき


メモこの点に注意

・倫理的判断を行い、
      漫然と輸液を続けない

・迷ったときは一度減量、
      中止し、話し合う

・十分な説明を行い、個別性を尊重する



❷なぜ、いまさら
  終末期の輸液なのか

・終末期がん患者さんに対する輸液は、
 ときに侵襲的であるにもかかわらず、
 "輸液は基本的なケアであり、患者の病状や
  希望にかかわらず常に行われるべきもの"
 と考えられる傾向があります。

・あるいは水分・栄養補給は、
 患者さんに対する誠実さの表現、ケアの基本
 最期まで希望を捨てないことの証しであり
 象徴的な意味で行われているケースも多く
 あると考えられます。

・患者さんの病状に照らし合わせて、
 輸液がどういう影響をもたらすかということ
 をチームで明確にし、そのうえで最善の選択
 は何かを検討し、ご本人・ご家族に情報提供
 を行い希望を聴き、話し合うといった
 プロセスをとることが大切です。

・医療者、ご本人・ご家族のいずれかの間で、
 意見の不一致が出た場合には、
 "ご本人の最善の利益が実現される"よう
 に十分な話し合いをし、そのうえで
 "ご本人の自己決定が最も優先される"
 ようにします。

・いずれにしても、医療者の判断で漫然と
 輸液を続けないようにします。





❸悪液質症候群は
   飢餓状態とは異なる
 


 



・終末期のがん患者さんは、
 食欲不振、体重減少、全身衰弱、倦怠感
 などを呈しますが、このような状態を
 悪液質症候群と呼んでいます。

・悪液質症候群と飢餓状態は、まったく違う
 病態です。    

・飢餓状態では空腹感もあり、適切な栄養療法
 により症状の改善を得ることができます。   

・しかし、悪液質症候群では空腹感や食欲は
 なく代謝異常が本態であるため、飢餓状態と
 同様の栄養療法を行っても栄養状態の改善は
 得ることができません。

・むしろ、過剰な輸液療法により水分過剰に
 伴う苦痛を悪化させることがあります。





メモ悪液質症候群と飢餓状態の鑑別のコツ

・食欲不振の有無、栄養療法に対する
 栄養状態の改善の有無がポイント

・患者さんは無理して食べているだけで
 実は食事が大きな負担となっている場合
 もあります。

・食べている量ではなく
「食欲があるかどうか」を確認しましょう







参考資料

 一般病棟でもできる
  終末期がん患者の緩和ケア
        日本看護協会出版会
 
  ここが知りたかった緩和ケア
          余宮きのみ
             南江堂


   
    次回は、
    終末期がん患者の緩和ケア

      "終末期の輸液・栄養管理の
               考え方②"
                  
        
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