2部に分けて投稿しています
本文はこちらです
⭐️終末期がん患者の緩和ケア
痛み以外の症状緩和
❶ステロイドを
開始するときの注意点
こんなことに注意しよう!
・NSAIDsの中止を検討
・高血糖に注意
・高カロリーの輸液の中止を検討
・感染症があれば抗生剤を併用
・口腔ケアを重点的に行う
・ムーンフェイスの説明を事前に行う
・漫然とした投与は避ける
ステロイドの副作用
❷消化性潰瘍が心配
・ステロイドを使用すると、
消化性潰瘍のリスクが高くなると考えられて
きましたが、消化性潰瘍診療ガイドライン
では「ステロイドは、消化性潰瘍発生の
リスクファクターとはならない」とされて
います。
・消化性潰瘍のリスクが高いとされてきた背景
にNSAIDsの投与が考えられます。
・ステロイドが有用と考えられる場合は、
NSAIDsを中止してステロイドを優先
させます。
❸高血糖が心配
⑴糖尿病の既往がある場合
・ステロイドを使用すると、肝臓の糖新生亢進
亢インスリン作用により高血糖になります。
・しかし、進行・終末期において
厳格な血糖管理は必要なく、随時血糖
180〜360mg/dlで症状がないことを目標
に置きます。
・糖尿病の既往のある患者さんでは、
ステロイドを投与する際に血糖チェックを
行います。
この場合でもあまり神経質に血糖をコント
ロールする必要はありません。
⑵悪液質下では
高カロリー輸液を中止
・悪液質では耐糖能異常※が生じており、
そのうえ高カロリー輸液を施行していると
ステロイド投与により高血糖となりやすく
なります。
※耐糖能異常とは
糖尿病と診断されるほどの高血糖ではない
ものの、血糖値が正常より高い状態にある
ことです。
・高血糖は倦怠感や口渇など苦痛を増強させ、
食欲が回復しにくくなります。
・悪液質下では、ステロイド開始と同時に
高カロリー輸液は中止します。
・食欲が回復して食事量も増えれば、
高カロリー輸液が必要か否かという葛藤も
解消します。
❹易感染性が心配
・ステロイドの免疫抑制作用により易感染
状態が引き起こされ、さらに抗炎症作用で
感染症の遷延化(せんえんか)が起こると
考えられています。
・しかし、一定期間のステロイド投与が必要な
進行・終末期がんでは、すでに易感染状態
なのであり、ステロイドの有用性が明らかな
場合には、躊躇なく使用します。
・感染が疑われる場合は、抗生剤とステロイド
を併用します。
❺口腔カンジダ症を予防する
・がん患者さんでは、ステロイド以外にも
免疫不全や唾液の減少、抗生剤の投与により
口腔カンジダ症が生じやすくなります。
・ステロイド開始時、患者さんに口腔内保清・
保湿を指導します。
・ステロイド投与中は常に口腔内を観察して
口腔カンジダ症を見逃さないようにします。
参考資料
一般病棟でもできる
終末期がん患者の緩和ケア
日本看護協会出版会
ここが知りたかった緩和ケア
余宮きのみ
南江堂
次回は、
終末期がん患者の緩和ケア
"見逃してはならない
オンコロジーエマージェンシー
:脊髄圧迫"
について
一緒に勉強しましょう
※ ご感想、ご意見、ご質問、
ご遠慮なくいただけたらと思います。
手探りでやってますので、ヒントをもらえたら
私にも勉強になりありがたいです。