終末期ケア(977)-2 "ステロイドを開始するときの注意点" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


⭐️終末期がん患者の緩和ケア

イチョウ痛み以外の症状緩和
 
❶ステロイドを
   開始するときの注意点


メモこんなことに注意しよう!

・NSAIDsの中止を検討

・高血糖に注意

・高カロリーの輸液の中止を検討

・感染症があれば抗生剤を併用

・口腔ケアを重点的に行う

・ムーンフェイスの説明を事前に行う

・漫然とした投与は避ける




ステロイドの副作用








❷消化性潰瘍が心配

・ステロイドを使用すると、
 消化性潰瘍のリスクが高くなると考えられて
 きましたが、消化性潰瘍診療ガイドライン
 では「ステロイドは、消化性潰瘍発生の
 リスクファクターとはならない」とされて
 います。

・消化性潰瘍のリスクが高いとされてきた背景
 にNSAIDsの投与が考えられます。




・ステロイドが有用と考えられる場合は、
 NSAIDsを中止してステロイドを優先
 させます。




❸高血糖が心配
⑴糖尿病の既往がある場合

・ステロイドを使用すると、肝臓の糖新生亢進
 亢インスリン作用により高血糖になります。

・しかし、進行・終末期において
 厳格な血糖管理は必要なく、随時血糖
 180〜360mg/dlで症状がないことを目標
 に置きます。

・糖尿病の既往のある患者さんでは、
 ステロイドを投与する際に血糖チェック
 行います。
 この場合でもあまり神経質に血糖をコント
 ロールする必要はありません。


⑵悪液質下では
   高カロリー輸液を中止

・悪液質では耐糖能異常が生じており、
 そのうえ高カロリー輸液を施行していると
 ステロイド投与により高血糖となりやすく
 なります。

※耐糖能異常とは
 糖尿病と診断されるほどの高血糖ではない
 ものの、血糖値が正常より高い状態にある
 ことです。

・高血糖は倦怠感や口渇など苦痛を増強させ、
 食欲が回復しにくくなります。

・悪液質下では、ステロイド開始と同時に
 高カロリー輸液は中止します。

・食欲が回復して食事量も増えれば、
 高カロリー輸液が必要か否かという葛藤も
 解消します。



❹易感染性が心配

・ステロイドの免疫抑制作用により易感染
 状態が引き起こされ、さらに抗炎症作用で
 感染症の遷延化(せんえんか)が起こる
 考えられています。

・しかし、一定期間のステロイド投与が必要な
 進行・終末期がんでは、すでに易感染状態
 なのであり、ステロイドの有用性が明らかな
 場合には、躊躇なく使用します。

・感染が疑われる場合は、抗生剤とステロイド
 を併用します。




❺口腔カンジダ症を予防する

・がん患者さんでは、ステロイド以外にも
 免疫不全や唾液の減少、抗生剤の投与により
 口腔カンジダ症が生じやすくなります。

・ステロイド開始時、患者さんに口腔内保清・
 保湿指導します。

・ステロイド投与中は常に口腔内を観察して
 口腔カンジダ症を見逃さないようにします。









参考資料

 一般病棟でもできる
  終末期がん患者の緩和ケア
        日本看護協会出版会
 
  ここが知りたかった緩和ケア
          余宮きのみ
             南江堂


   
    次回は、
    終末期がん患者の緩和ケア

   "見逃してはならない
     オンコロジーエマージェンシー
              :脊髄圧迫"
                  
        
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