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⭐️終末期がん患者の緩和ケア
ペインコントロール
❶オピオイド鎮痛薬の
種類と特徴
・これまでがん性疼痛管理に使用する
オピオイド鎮痛薬は、モルヒネ製剤が主
でした。
・近年はモルヒネ製剤以外のオピオイドも
多く使われるようになりました。
・それによって、患者さんの状態に応じて
オピオイド鎮痛薬の種類を変更する幅が
広がりました。
❷評価の視点と根拠
・オピオイド鎮痛薬の種類と特徴を知り
患者さんの状況に応じた選択ができることが
大切です。
・オピオイド鎮痛薬は、軽度から中等度の
強さの痛みに用いる弱オピオイド鎮痛薬と
中等度から高度の強さの痛みに用いる
強オピオイド鎮痛薬に分類されます。
⑴弱オピオイド鎮痛薬
(軽度から中等度の強さの痛みに用いる)
WHO方式3段階除痛ラダーにおける基本薬
の第2段階に分類されます。
①コデインリン酸塩水和物
・コデインリン酸塩水和物(リン酸コデイン)の
鎮痛効果はモルヒネ製剤の1/6で、有効
限界は300mg/日と考えられています。
②塩酸ペンタゾシン
・塩酸ペンタゾシン(ペンタジン、ソセゴン)は
オピオイド部分的拮抗薬で麻薬に指定されて
おらず、向精神薬に指定されています。
・鎮痛効果はコデインリン酸塩水和物に相当
し、モルヒネ製剤の1/6です。
・塩酸ペンタゾシンは長期反復使用すると
精神症状をきたすため、がん性疼痛治療薬
から除かれています。
⑵強オピオイド鎮痛薬
(中等度から高度の強さの痛みに用いる)
WHO方式3段階除痛ラダーにおける基本薬
の第3段階に分類されます。
①モルヒネ製剤
・オピオイド鎮痛薬の基本薬です。
・モルヒネ製剤には多様な剤形の経口薬
(速攻錠、粉末、液体、徐放錠)、坐薬、
注射薬があり、必要に応じて投与経路を
変更することができます。
・また、患者さんの状態に合わせて選択する
ことができます。
②オキシコドン塩酸塩徐放剤
・非経口投与ではモルヒネ製剤の3/4の
効力ですが、経口投与では約1.5倍の効力
を持っています。
・モルヒネ製剤と同様に使用の制限は
ありません。
・オキシコドン塩酸塩徐放剤は、
モルヒネ製剤特有の副作用の出現が少ない
とされています。
・腎機能障害を持つ患者さんに対して、
モルヒネ製剤よりも安全に使用できると
いわれています。
・鎮痛効果や副作用の種類はモルヒネ製剤と
ほぼ同じですが、悪心・嘔吐やせん妄、
かゆみなどの発現はモルヒネ製剤より少ない
とされています。
・最近では、神経障害(因)性疼痛に有効である
との報告もあります。
・レスキューは、オキシコドン塩酸塩徐放剤の
速効製剤やモルヒネ速効製剤で対応します。
③ブプレノルフィン塩酸塩
・ブプレノルフィン塩酸塩(レペタン)は
麻薬に指定されておらず、向精神薬に指定
されているオピオイド鎮痛薬です。
・使用量の制限があり、3〜5mg/日と
されています。
・モルヒネ製剤に比べ、同用量で25〜50倍
の鎮痛効果を持っていますが、モルヒネ製剤
と同時に使用するとモルヒネ製剤の鎮痛効果
を弱めます。
④フェンタニル製剤
・経皮吸収型フェンタニル貼付剤(デュロタップ
パッチ)として使用されています。
・フェンタニル製剤はモルヒネ製剤に比べて
同用量で約100倍近い鎮痛効果があります。
・デュロテップパッチは、モルヒネ製剤から
切り替えて使用する薬剤として承認されて
いるので、モルヒネ製剤による副作用などが
問題になった場合に適用されます。
・モルヒネ製剤よりも便秘になりにくいなどの
特徴があります。
・モルヒネ製剤を使用していた場合は、
それに見合う換算量で使用します。
・モルヒネ製剤を使用しておらず、初回使用の
場合は、2.5mg(デュロテップMTパッチの
場合は2.1mg)から開始します。
・通常、成人は1回1枚を胸部、腹部、上腕部、
大腿部などに貼り、3日毎(約72時間)に
貼り替えます。
・初回貼付用量は主成分として2.1mg、
4.2mg、8.4mg、12.6mgのいずれかの
用量が選択されますが、その後は症状や
状態により適宜増減されます。
デュロテップパッチの使用判断
①経口投与が困難となった場合(内服困難、
消化管吸収不良など)
②患者さんやご家族が内服管理をできない場合
③経口投与が不可能になると予測される場合
④患者さんの生活を考慮したときに、
適していると判断した場合
⑤モルヒネ製剤の副作用を避けたい場合
(腎機能低下や便秘などがみられる場合)
・経口投与が困難な場合のレスキューは、
モルヒネ製剤の坐薬か、フェンタニル
クエン酸塩注射薬の静脈内投与です。
❸ケアのポイント
・オピオイド鎮痛薬の基本薬は、モルヒネ製剤
ですが、それ以外のものもあり、選択に迷う
こともあります。
・患者さんの状態に合わせ、それぞれに適した
薬剤を選択することが大切です。
・そのためには、使用した薬剤の作用・
副作用や投与経路など薬剤の特徴をとらえて
おくことも大切です。