終末期ケア(956)-2 "オピオイド鎮痛薬の種類と特徴" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



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⭐️終末期がん患者の緩和ケア

イチョウペインコントロール
     
❶オピオイド鎮痛薬の
       種類と特徴

・これまでがん性疼痛管理に使用する
 オピオイド鎮痛薬は、モルヒネ製剤が主
 でした。

・近年はモルヒネ製剤以外のオピオイドも
 多く使われるようになりました。

・それによって、患者さんの状態に応じて
 オピオイド鎮痛薬の種類を変更する幅が
 広がりました。





❷評価の視点と根拠

・オピオイド鎮痛薬の種類と特徴を知り
 患者さんの状況に応じた選択ができることが
 大切です。

・オピオイド鎮痛薬は、軽度から中等度の
 強さの痛みに用いる弱オピオイド鎮痛薬
 中等度から高度の強さの痛みに用いる
 強オピオイド鎮痛薬に分類されます。









⑴弱オピオイド鎮痛薬
  (軽度から中等度の強さの痛みに用いる) 
クローバーWHO方式3段階除痛ラダーにおける基本薬
 の第2段階に分類されます。


①コデインリン酸塩水和物

・コデインリン酸塩水和物(リン酸コデイン)の
 鎮痛効果はモルヒネ製剤の1/6で、有効
 限界は300mg/日と考えられています。


②塩酸ペンタゾシン

・塩酸ペンタゾシン(ペンタジン、ソセゴン)は
 オピオイド部分的拮抗薬で麻薬に指定されて
 おらず、向精神薬に指定されています。

・鎮痛効果はコデインリン酸塩水和物に相当
 し、モルヒネ製剤の1/6です。

塩酸ペンタゾシンは長期反復使用すると
 精神症状をきたすため、がん性疼痛治療薬
 から除かれています。




⑵強オピオイド鎮痛薬
  (中等度から高度の強さの痛みに用いる)
クローバーWHO方式3段階除痛ラダーにおける基本薬
 の第3段階に分類されます。

①モルヒネ製剤

オピオイド鎮痛薬の基本薬です。

・モルヒネ製剤には多様な剤形の経口薬
 (速攻錠、粉末、液体、徐放錠)、坐薬、
 注射薬があり、必要に応じて投与経路を
 変更することができます。

・また、患者さんの状態に合わせて選択する
 ことができます。


②オキシコドン塩酸塩徐放剤

・非経口投与ではモルヒネ製剤の3/4の
 効力ですが、経口投与では約1.5倍の効力
 を持っています。

・モルヒネ製剤と同様に使用の制限は
 ありません。

・オキシコドン塩酸塩徐放剤は、
 モルヒネ製剤特有の副作用の出現が少ない
 とされています。

腎機能障害を持つ患者さんに対して、
 モルヒネ製剤よりも安全に使用できる
 いわれています。

・鎮痛効果や副作用の種類はモルヒネ製剤と
 ほぼ同じですが、悪心・嘔吐やせん妄、
 かゆみなどの発現はモルヒネ製剤より少ない
 とされています。

・最近では、神経障害(因)性疼痛に有効である
 との報告もあります。

・レスキューは、オキシコドン塩酸塩徐放剤の
 速効製剤やモルヒネ速効製剤で対応します。

突出痛に使用する麻薬→レスキュー





③ブプレノルフィン塩酸塩

・ブプレノルフィン塩酸塩(レペタン)は
 麻薬に指定されておらず、向精神薬に指定
 されているオピオイド鎮痛薬です。

・使用量の制限があり、3〜5mg/日
 されています。

・モルヒネ製剤に比べ、同用量で25〜50倍
 の鎮痛効果を持っていますが、モルヒネ製剤
 と同時に使用するとモルヒネ製剤の鎮痛効果
 を弱めます。





④フェンタニル製剤 

・経皮吸収型フェンタニル貼付剤(デュロタップ
 パッチ)として使用されています。

・フェンタニル製剤はモルヒネ製剤に比べて
 同用量で約100倍近い鎮痛効果があります。

・デュロテップパッチは、モルヒネ製剤から
 切り替えて使用する薬剤として承認されて
 いるので、モルヒネ製剤による副作用などが
 問題になった場合に適用されます。

モルヒネ製剤よりも便秘になりにくいなどの
 特徴があります。

・モルヒネ製剤を使用していた場合は、
 それに見合う換算量で使用します。

・モルヒネ製剤を使用しておらず、初回使用の
 場合は、2.5mg(デュロテップMTパッチの
 場合は2.1mg)から開始します。



・通常、成人は1回1枚を胸部、腹部、上腕部、
 大腿部などに貼り、3日毎(約72時間)に
 貼り替えます。

・初回貼付用量は主成分として2.1mg、
 4.2mg、8.4mg、12.6mgのいずれかの
 用量が選択されますが、その後は症状や
 状態により適宜増減されます。

クローバーデュロテップパッチの使用判断  

①経口投与が困難となった場合(内服困難、
 消化管吸収不良など)

②患者さんやご家族が内服管理をできない場合

③経口投与が不可能になると予測される場合

④患者さんの生活を考慮したときに、
 適していると判断した場合

⑤モルヒネ製剤の副作用を避けたい場合
 (腎機能低下や便秘などがみられる場合)


・経口投与が困難な場合のレスキューは、
 モルヒネ製剤の坐薬か、フェンタニル
 クエン酸塩注射薬の静脈内投与です。













❸ケアのポイント

・オピオイド鎮痛薬の基本薬は、モルヒネ製剤
 ですが、それ以外のものもあり、選択に迷う
 こともあります。

患者さんの状態に合わせ、それぞれに適した
 薬剤を選択することが大切です。

・そのためには、使用した薬剤の作用・
 副作用や投与経路など薬剤の特徴をとらえて
 おくことも大切です。





参考資料
 一般病棟でもできる
  終末期がん患者の緩和ケア
        日本看護協会出版会


   
    次回は、
    終末期がん患者の緩和ケア

     "ペインコントロール
       麻薬の使用に抵抗を示す
             患者への説明"
        
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