終末期ケア(947)-2 "緩和ケア 症状緩和のための治療法" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。




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⭐️終末期がん患者の緩和ケア

①緩和ケア

緩和ケアの定義(WHO 2002の定義)


緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による
問題に直面している患者とその家族に
対して、痛みやその他の身体的問題、
心理社会的問題、スピリチュアルな
問題を早期に同定し、適切な評価と
治療によって、苦痛の予防と緩和を行う
ことで、QOL(生活の質) を改善する
アプローチである。



【緩和ケアとは】
・痛みやその他の苦痛な症状を和らげること。

・生命を尊重し、死を自然の過程と認める
 こと。

・死を早めたり、引き延ばすことを意図
 しないこと。

・ご本人のケアにおける心理的側面と
 スピリチュアルな側面を統合すること。

・ご本人が最期まで人生をいきいきと、
 できるだけ活動的に生きることを支える
 こと。

・ご家族に対しご本人の闘病中や死別後の
 生活に適応できるように支えること。

・チームアプローチを用いてご本人とご家族の
 ニーズに対処すること。

・必要であれば死別後のカウンセリングを
 行うこと。

・.QOLを高めて、病気の過程に良い影響を
 与えること。

・化学療法や放射線療法などの他の延命を
 意図する治療と併存しながら、疾病の初期
 から適用可能であること。

・さらに、必要ならそれらの治療に伴う副作用
 の緩和を行うこと。






②症状緩和のための治療法

がん治療の早期から適切な緩和ケアが提供
 されるためには、がん治療に携わる看護師
 が症状緩和の専門的知識を身につけること
 が基本となります。

・また、その治療が適応となるかどうかを
 検討するためには、苦痛症状のアセスメント
 がなされていることや治療のメリット、デメ
 リットを患者さんの状態に合わせて多角的に
 アセスメントできることが重要となります。

・これにより、病状が進行し複雑化する前に
 効果的に症状緩和が図られ、患者さんの
 心身の安定や日常生活の質(QOL)の維持
 つながる可能性が高くなります。





③症状緩和における
     主な治療の概要

❶薬物療法(疼痛緩和に関して)

・緩和ケアにおける最も重要な症状緩和、
 特に疼痛緩和に対する治療の中心は
 薬物療法が基本となります。

・がん性疼痛緩和治療の中心を担うオピオイド
 鎮痛薬に関しては、種類が増えたことで、
 状態に合わせて細やかな対応が可能となり、
 選択の幅が広がりました。

・診断の早期から疼痛緩和治療が併用して
 行われている状況では、化学療法中の患者
 さんに起こっている症状がその治療による
 副作用なのか、病気そのものの進行に伴う
 症状なのか、さらに疼痛緩和治療の副作用
 なのかを判断した上での対応が求められ
 ます。










❷神経ブロック

・薬物を用いた治療法である神経ブロックの
 主な目的は、神経機能の遮断による痛みや
 感覚異常の症状を取り除くことにあります。

・神経機能を遮断することは、神経を麻痺させ
 痛覚刺激をブロックし、痛みを緩和させる
 ことにつながります。





オピオイド鎮痛薬などの薬物療法による

 副作用で疼痛緩和が図られない場合なども、

 神経ブロックの適応を検討します。


・神経ブロックには、内臓神経支配に関連

 した腹腔神経叢(ふっくうしんけいそう)

 ブロックや知覚神経ブロック、くも膜下神経

 ブロックなどがあります。


・使用薬物は、局所麻酔や神経破壊薬、

 オピオイド鎮痛薬を併用するなどさまざま

 な方法があります。






❸放射線療法


・放射線療法は、骨転移に対する疼痛緩和や

 神経圧迫に適応され、特に脊髄圧迫による

 麻痺を発症した場合は、24時間以内の早期

 に放射線治療を開始することで神経症状の

 改善を図ることができます。


緩和ケアにおける放射線療法は、

 局所治療による疼痛改善などを図ることで

 オピオイド鎮痛薬の使用量減少に役立つ

 可能性もあります。


・緩和ケアにおける放射線療法で第一に検討

 されなければならないことは、副作用を

 最小限に抑えることと、全身状態や治療

 回数に伴う負担を減らすことです。





❹緩和的化学療法


・化学療法本来の目標には、

 ①治癒あるいは再発予防

 ②延命

 ③腫瘍の縮小

 ④症状緩和、QOLの維持

 があります。


・緩和的化学療法が主に症状緩和やQOLの

 維持を目的として実施されることに関して

 言えば、化学療法本来の目標の一部を担って

 います。


・緩和的化学療法はただ漫然と治療が行われる

 べきものではなく、その目的をご本人と

 医療者で共有し、お互い納得した上で実施

 されることが大切です。


・それは、ご本人にとってはがん自体は治ら

 ないとわかっていても、身体に負担のない

 範囲で治療を継続することが生きること

 への強みとなり、それがQOLの維持向上

 につながることもあるためです。





ご本人にとっての治療の意味をしっかりと

 理解し、十分に検討を重ねていくことが、

 緩和的化学療法を受ける方への看護の要点

 なります。







参考資料
 一般病棟でもできる
  終末期がん患者の緩和ケア
        日本看護協会出版会


   
    次回は、

     終末期がん患者の緩和ケア
      "終末期のがん患者
         身体的・精神的特徴"

      
               について
          
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