終末期ケア(940)-2 "皮膚 疥癬(かいせん)" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。




うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
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⭐️高齢者の体の変化を知る

①皮膚

疥癬(かいせん)



・疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)
 が皮膚の角質層に寄生することにより生じる
 皮膚感染症です。

人から人へ感染し、介護を必要とする家族内
 での感染や老人ホームでの感染がよく知られ
 ています。

・一度感染すると、約1〜2か月程度の
 潜伏期間(感染してから症状が出るまでの
 期間)を経て強いかゆみと赤い発疹が起こり
 ます。

・疥癬の治療は、外用療法や内服療法、
 もしくは両者を併用して行われます。







・高齢者は抵抗力や免疫力が落ちているので
 感染しやすく、高齢者の施設などでしばしば
 流行して問題となります。

感染力が強いので、集団発生しやすく、
 早期発見、早期治療が重要です。

・感染経路は、皮膚と皮膚が直接接触して
 感染する場合と、寝具や衣類を介して
 間接的に感染する場合があり、同室者、
 看護・介護者、見舞客、家族などへ容易に
 感染します。




・疥癬虫は、温度25°C、湿度90%の条件下で

 3日間生存し、50°Cでは湿度に関係なく

 10分で死滅し、体温より低い温度では動きが

 鈍くなるといわれています。





❷症状


・疥癬の症状は激しいかゆみです。
 このかゆみは、夜間に特に強くなるという
 特徴があります。

・ただし、高齢者や角化型疥癬の患者さんでは
 かゆみの訴えが少ない場合もあります。

・かゆみの症状は、ダニに対するアレルギー
 反応が引き起こしていると考えられて
 います。

・ヒゼンダニに感染してから1か月程度の
 潜伏期間を経てかゆみや発疹が生じます。

赤い丘疹(きゅうしん)が、指と指の間・
 首筋・腋わきの下・手首・下腹部・臀部・
 陰部など皮膚の柔らかい部位に好んで
 生息します。

・特に指間、指、手掌、手首、足などに現れる
 線状の発疹は、メスのダニが卵を産みながら
 角層内を移動することによるものです



麻痺のある方では、麻痺側に疥癬結節が多発

 することがあります。


・老人性皮膚掻痒症などとの鑑別が必要となり

 ますが、感染の初期で定型的な疥癬結節が

 みられず、かゆみだけや丘疹が散発している

 ときは鑑別が困難となります。


・同居者、看護・介護者などが同時にかゆみを

 訴えたり、同様の丘疹がある場合は極めて

 疑わしく、皮膚科の専門医の診断を受ける

 必要があります。






❸治療


・治療は、外用薬を顔面以外の全身に塗布

 します。


・殺虫薬のため毒性を考慮し、虫への恐怖心

 から必要以上に長期にわたって使用するのは

 避けなければなりません。


硫黄剤の軟膏は効果は弱いのですが、

 毒性は少ないので、妊産婦や小児にも安心

 して使用できます。






疥癬治療薬










❹看護・介護上の留意点


・看護・介護上の注意は、素手で身体に
 触れない
ようにし、素手で触れた場合は
 すぐに手を洗い、消毒用アルコールで
 手を拭きます。

手袋、予防衣を着て看護・介護にあたり
 ます。

・シーツや布団カバー、寝巻きは、 
 
1週間毎日交換します。

・毎日のシーツ交換が無理な場合は、
 
最低週2回として毎日シーツに掃除機
 をかけます。

疥癬虫が飛び散らないようにシーツ、
 衣類を扱います。

・入浴後、顔以外全身に軟膏を塗布
 します。

身体および衣類の清潔保持が大切です。








参考資料

 高齢者の体の変化を知る

 これでなっとく介護の医学

        キャドウェーブ

 

              

   次回は、

     高齢者の体の変化を知る
        "皮膚
          白癬(みずむし)"

      
               について
          
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