終末期ケア(819)-2 "呼吸器特有の症状とケア方法①" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。




うさぎ投稿がうまくできないので、

    2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ



⭐️エンドオブライフ・ケアの
           実際
1)各症状に対する
    安楽を図るケア

❶呼吸器特有の症状と
        ケア方法

①咳

・咳は、1回することで、2kcalを消費する

 といわれ、疲労や痩せの原因となります。


・湿性咳嗽は痰を伴う咳、乾性咳嗽は痰を

 伴わない咳をいいます。


・咳が長く続く場合は原因をつきとめ、

 対処する必要があります。


転移性肺がんでは咳が続き、血痰を喀出

 したり、喀血する場合があります。


クローバーケア方法

・1日の寒暖差、水分摂取の不足、痰量の増加

 などが咳を誘発するため、これらに留意して

 加湿、加温、水分摂取をすすめ、鎮咳剤の

 使用を検討します。



②痰

・痰は呼吸器系でつくられた粘液のことであり

 粘液腺から分泌され、咳によって喀出され

 ます。


正常でも1日100ml分泌されますが、

 通常は飲み込んでいます。


咽頭や気管部粘膜に炎症がある場合や

 気管支拡張症の場合、痰の量が増えます。


・痰の色では、黄色は痰の中に細菌が多く、

 黄色から緑色の膿性痰は細菌性・化膿性病変

 のときにみられます。

 茶色では、古い血液・食物・たばこの混入が

 考えられます。

 肺水腫では、ピンク色で泡沫様を呈します。


クローバーケア方法

・痰の多い場合は、体位ドレナージ、

 スクイージング(図参照)などの、用手的排痰

 手技による気道浄化により喀痰喀出を促し

 ます。


体位ドレナージ





・さらに水分補給、うがい、加湿、ネブライ

 ザー吸入、去痰薬内服などを検討します。


・痰の吸引はこれらの対応を行っても排痰が

 困難な場合に行います。



③喘鳴(ぜいめい)

・腫瘍、喘息、COPD、気管内異物などにより

 気道内部が狭窄すると喘鳴が聞かれることが

 あります。


死前喘鳴は、死が迫っており嚥下ができない

 患者さんにおいて呼吸に伴って不快な音を

 生じます。

 全身の衰弱が著明なために、貯留した唾液や

 痰が喀出できないために生じます。

 

クローバーケア方法

・喘鳴のケアとして、気管支喘息などでは、

 気管支拡張薬、去痰薬、ステロイド、漢方薬

 の処方が行われます。


・気管を広げ、痰の粘稠度の低下を図り、

 炎症を抑えることで喘鳴を改善します。


・水分摂取に制限がない場合は水分をすすめ、

 排痰を促します。




④喀血

・粘膜の出血では痰に血液が混ざる血痰と

 なりますが、出血源が気管支動脈で、血液

 そのものを喀出することを喀血といいます。


咳とともに鮮血色の血液を喀出し、息苦しさ

 を伴います。


気管支拡張症・活動性肺結核・肺結核後遺症

 肺アスペルギルス症・肺がん・突発性喀血症

 などが原因疾患となります。

 


クローバーケア方法

・窒息の恐れがあるため、喀血時は気道確保を

 行い、出血源の肺を下にした側臥位をとり

 ます。


・止血剤の投与によっても根治は難しいため、

 気管支鏡下の止血術、塞栓術などが検討され

 ます。





⑤呼吸困難

・呼吸困難は、肺・気管支の障害、心臓の障害

 上気道の障害、心因性、代謝性障害、中枢

 神経系の障害などで起こります。


呼吸数が1分間に30回を超えると、

 不安や恐怖感を持ちます。


・呼吸困難は肺がん患者さんの70%、

 全てのがんの50%で生じるといわれて

 います。


クローバーケア方法

呼吸困難時の対応は、まず原因の除去

 検討します。


・肺がん終末期では、抗不安薬による鎮静、

 モルヒネによる呼吸の過剰促迫の緩和

 行います。


腫瘍による気管支の圧迫やがん性リンパ管症

 の場合は、ステロイド投与が行われます。


・呼吸困難時の体位は、ファーラー位などの

 安楽な体位とし、枕などを利用した前傾姿勢

 をとると楽になります。




・COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者さんの

 増悪時では、気管支拡張薬、ステロイドの

 使用、低酸素血症があれば酸素投与が行われ

 ます。


安定した慢性呼吸不全患者さんでは、

 在宅酸素療法の適応となります。











参考資料
排泄ケアナビ
高齢者のエンド・オブ・ライフケア
"死を見据えた日常生活のケア"
                              出版:中央法規
 
  
   次回は、

      在宅における
       エンドオブライフ・ケア
      各症状に対する
         安楽を図るケア
      "呼吸器特有の症状と
             ケア方法②"
           
     
                                      
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