終末期ケア(704)ー2 "在宅医療と法律の誤解「平穏死に警察は不要」" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ投稿がうまくできないので、
    2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


⭐️平穏死を支える看護

1)在宅医療と法律の誤解
  「平穏死に警察は不要」

・日本は法治国家であり、医療もまたすべて
 医療法や医師法、保健師助産師看護師法に
 基づいて行われています。

在宅での看取りも法律に基づいて行われて
 います。

・これは死亡診断書を書くために定められた
 医師法20条の規定によります。


・要約すると「医師は患者さんを診察すれば

 診断書が書ける」という定めです。

 すなわち、患者さんが亡くなったあとに書く

 死亡診断書の法律でもあります。


亡くなる瞬間に医師が立ち会う必要はありま

 せん。

 亡くなられたあとで、その死に事件性がない

 ことを確認すれば死亡診断書を書いてよいと

 いう「日本の看取りの法律」です。


・医師が最後に診察してから24時間以内に

 患者さんが亡くなった場合は、再度訪問して

 確認しなくても死亡診断書を書くことが

 できます。


この法律のおかげで在宅でも看取りが可能

 であるともいえます。


在宅では病院と違い、ご臨終のときに

 医療者が側にいないことが普通です。

 また、おひとりさまが在宅医療を受けている

 場合でも、ヘルパーが朝訪問したときに亡く

 なられていた場合、その後かかりつけの医師

 が訪問すれば死亡診断書を書くことができ 

 ます。


・しかし、この医師法20条の規定は、

 医師法21条とよく混同され、間違って理解

 されていることが多いので、決して両者を

 混同しないようにくれぐれも注意しないと

 いけません。




・これは、自然死ではなく、殺人等、不自然な

 状況で亡くなっている方を発見した場合には

 医師は24時間以内に警察に届かなければ

 ならないという内容の法律です。


・多くの医師が「24時間以内に診察して

 いない患者さんが亡くなったら死亡診断書を

 書けないので警察に届かなければならない」

 と思い込んでいる場合があります。


・しかし、これは大きな誤解です。

 実際には、患者さんが自宅で亡くなられた

 あとに訪問して死亡診断書を書くことに何の

 問題もありません。


・医師のなかには、老衰や病気で亡くなられた

 ことが明らかなのに警察に連絡する人が

 います。


・あるいは、すでに亡くなられた方を救急車に

 乗せて病院に送ることがあとを絶ちません。


・こうした法律の誤解が、平穏死の大きな阻害

 因子となっています。


在宅看取りに携わる方は、死に関する法律が

 どのようなものであるかを正しく理解しま

 しょう。

 医師法20条と21条については「正しく

 知っている」と言えることが大切です。



Point


・医師法20条は、在宅の看取りを可能に

 する、平穏死の味方。


・医師法21条は、異状死に関する規定です

 が誤解することが多い。

 在宅の看取りで警察に連絡する必要はない。





参考資料

高齢者の望む平穏死を
 支える医療と看護
      長尾和宏著書
        メディカル出版
      

 
 次回は、
   平穏死を支える看護
     "終末期のケアにおける
           看護師の役割
      どこからが終末期なのか"
     
           について
          
                                         
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