終末期ケア(539)ー2 "肝不全の4大症状には、まず薬物療養で対処"❷ | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。


うさぎ投稿がうまくできないので、
    2部に分けて投稿していますロップイヤー
本文はこちらですウサギウサギウサギ



⭐️肝不全の緩和ケア

1)腹水や肝性脳症などを
 薬でできるだけコントロール

イチョウ肝機能が著しく低下すると、
 腹水、肝性脳症、かゆみ、せん妄など、
 さまざまな合併症が生じます。

イチョウ「動くのもつらい」という状況に陥る
 こともあり、まずは薬での改善を試みます。


2)肝不全の4大症状には、
    まず薬物療法で対処

イチョウ肝不全の段階では、つらい症状の緩和が
 目的です。

イチョウご本人にとっての苦痛の強さをよく聞き
 まずは薬での改善を試みます。


❶腹水
イチョウトルバプタンなどの利尿薬を、
 まず試します。

・トルバプタン、スピロノラクトン、
 フロセミドなどの利尿薬が有効とされて
 います。

・ただし、腹水による腹壁の緊慢度によっても
 苦痛の度合いは異なります。

・苦痛が強いときは、腹腔穿刺ドレナージも
 検討します。

腹腔穿刺ドレナージ


・薬剤投与や腹腔穿刺ドレナージにて、
 腎血流や排尿も改善されることもあります。





❷肝性脳症
イチョウアミノレバンなどで、血中アンモニア
 濃度を下げます。

・ラクツロース散その他の薬で、
 高アンモニア血症の改善を試みます。

・便秘によるアンモニアの蓄積を防ぐため、
 緩下剤による排便コントロールも重要です。

・せん妄が起きたときの対策も、同時に
 考えておく必要があります。


※高アンモニア血症とは、
体内で生成されたアンモニアを上手く分解することが
できず、血液中にアンモニアが蓄積されてしまうこと
です。
 アンモニアは人体にとって有害な物質なので、
血液中のアンモニア濃度が高まると意識障害等を
引き起こします。




❸黄疸・皮膚掻痒感
イチョウヒスタミン薬のほか、向精神薬が効く
 こともあります。

・末梢性のかゆみには、抗ヒスタミン薬、
 黄疸のかゆみには、コレスチラミンを
 使用します。

・黄疸がでると皮膚が乾燥傾向になります。

・中枢性のかゆみには、ナルフラフィン
 などの内服薬などを使用します。

・皮膚に黄疸やほかの症状がない場合は、
 パロキセチン、ガバペンチンなどの
 向精神薬が効くこともあります。

※向精神薬とは、
中枢神経系に作用し、精神機能を変容させる薬物の
総称です。





❹消化管出血
イチョウプロトンポンプ阻害薬で予防に努めます。

イチョウあわてず対処することも大切です。

・肝不全になると出血傾向がみられるように
 なります。

消化管からの出血は、精神的ショックを
 ともなうため、予防が何よりも重要です。

・ご本人が負担に感じないよう、
 プロトンポンプ阻害薬を服用してもらい
 消化管潰瘍を予防します。

クローバー重症の肝疾患では出血傾向がみられ、
 時には致死的になることもあります。
 血小板減少、凝固機能の低下が原因として
 あげられます。


・肝硬変、肝不全の方の場合、
 門脈圧亢進症状がみられ、食道に静脈瘤
 できることがあります。

・出血傾向もあるため、食道静脈瘤の破裂
 についても注意が必要です。






消化管出血時の対応






参考資料

これならわかる
はじめての緩和ケア
聖路加国際病院緩和ケア科部長
林章敏氏監修(ナツメ社)


 次回は、非がん患者の緩和ケア    
  肝不全の緩和ケア
           "腹水や肝性脳症などを
    薬でできるだけコントロール"❸
            肝不全の症状として、
    倦怠感、不眠、抑うつなど、
     その他の症状もともなうことも
                について
          
                                         
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