
経腸栄養剤の投与について~注入前・注入中・注入後の手技・ケア|PEGケア
経腸栄養剤の準備
1経腸栄養剤の選択
患者の基礎疾患や状態に合わせた経腸栄養剤の選択や必要量を医師・管理栄養士と相談して選択します
2経腸栄養剤の温度
経腸栄養剤が極端に冷たい場合を除き、特に温める必要はありません。
経腸栄養剤による下痢がひどい場合には温めて使用する場合もありますが、加熱すると変性することもあるので、人肌ぐらいとします。
3経腸栄養剤の取り扱い(図1)

台所など、準備する場所を決め、事前の手洗い・手指消毒をきちんと行いましょう
液体の経腸栄養剤の場合
経腸栄養用ボトルに経腸栄養用輸液セットを接続し、クレンメを閉じた状態にして、ボトルに栄養剤をあけます(図1-❶)。
ソフトバッグタイプの場合は、そのまま経腸栄養用輸液セットに接続し、クレンメを閉じておきます。
半固形化栄養材の場合
チアーパック入り栄養材の場合は、PEGカテーテルと接続するためのアダプタを準備します。
半固形化した経腸栄養剤は、カテーテルチップタイプのシリンジに吸引しておきます。栄養剤を吸引したシリンジの持ち運びには、専用のトレイやシリンジキャップなどを使用して、栄養剤が汚染されないようにしましょう(図1-❷)。
4経腸栄養剤の汚染防止
経腸栄養剤は、よく乾燥させた容器を使用し、決められた場所で、清潔な手で準備します。
残った経腸栄養剤は冷蔵庫で保管し、開封したその日のうちに使いきりましょう。
調製した流動食などは、調製後、常温で8時間以上経過すると、細菌の繁殖が確認されるといわれています。
5誤接続防止
経腸栄養用輸液セットやシリンジは「誤接続防止タイプ」を使用することが推奨されています。これは、静脈輸液ラインに接続できないように接続部の口径が大きくなっているもので、接続時には経腸栄養用輸液セットやカテーテルチップタイプのカラーシリンジを用います(図2)。
色を変えるのは、
普通の注射と間違えないようにするためです。

注入前の手技・ケア
1体位
ギャッチアップの角度
以前は45~60度程度のギャッチアップが必要とされていましたが、現在は、自力で寝返りがうてない患者の場合は、摩擦とずれによる褥瘡の発生を避けるために、30度程度のギャッチアップでよいとされています。そのため、意識障害があり、自力で寝返りをうてない患者では、上体のギャッチアップを30度までにします。
ギャッチアップ後に一度、患者の上体を起こして寝具や病衣のしわを伸ばすと、同時に皮膚のずれを解消することができます。これを「背抜き」といいます。
一方、しっかりと座位をとれる場合は、90度座位の状態にして経腸栄養を開始します。
圧迫の解除
ギャッチアップ時に腹部が圧迫されてしまう場合、
圧迫を避ける体位を選ぶ必要があります。
病衣やおむつによる腹部への圧迫にも注意が必要です。
顎の位置の調整
経腸栄養剤投与中の胃食道逆流(胃から食道への逆流)による誤嚥を防ぐため、顎をひいた状態にしておくとよいでしょう。
2注入前の観察ポイント(図3)

栄養剤注入中の観察ポイント(図6)

嘔気・嘔吐、痰の有無
嘔気・嘔吐や曖気(あいき:おくび)、吃逆(きつぎゃく:しゃっくり)はないか、痰がからんで喘鳴が増強していないかを確認します。
上記の症状がある場合には、経腸栄養剤の投与速度を遅くする必要があります。また、嘔気が強い場合や嘔吐した場合には、栄養剤の投与を一時中止して、症状の軽減を図ります。
痰の量が多く、やむを得ず栄養剤投与中に吸引を行う場合は、嘔気を誘発しないよう注意しましょう。
ダンピング症状の有無
冷汗、動悸、めまい、脱力感などのダンピング症状が出現していないか観察します。
胃の切除を行われている場合、ダンピング症状を起こすことがあります。1回量を減らす、速度を遅くするなど、症状の出現予防に努めます。
胃からの排泄時間を遅延させるため、臥位を維持したり、経腸栄養剤を半固形化したりする方法もあります。
下痢の有無
経腸栄養を行っている患者には下痢が起こりやすいといわれますが、栄養剤投与開始後に下痢になった場合には、まず栄養剤の温度を確認しましょう。
注入速度を遅くしたりして調整をしましょう。



