カムイとフェラーリとの契約
なぜ、フェラーリはカムイと契約したのでしょうか?
カムイ側としては、F1のシートが無い現時点において、フェラーリとの繋がりができるという意味では利があるでしょう。
しかし、フェラーリとしては何のメリットがあるのでしょうか?
フェラーリには、既にアロンソ、マッサの他に、ヒュルケンベルグやビアンキといった息のかかったドライバーがいます。
それに加えて、わざわざWEC参戦中のAFコルセにカムイを乗せる理由は?
今さら育成ドライバーでもないでしょうし、カテゴリーが全く違います。
一方、カムイにとって、WEC参戦は“F1ドライバーとして”経験になるかというとどうでしょうか?
注目度だって、LMPクラスではなく、GTクラスなので低いでしょうし。
たとえ圧倒的に速くても、それが本当にF1シートにつながるのかは非常に疑問があります。
来年のフェラーリのシートに直結するとは、とてもじゃないけど思えません。
さらに、もし、結果を残せなかったら彼の評価を下げるというリスクもあります。
それを考えると、フェラーリとの契約といえど、F1から離れ、WEC参戦は来年のシートにつながるのでしょうか?
近年、F1から離れたドライバーで復帰した例は、シューマッハやライコネンのような“特別”なドライバーしかいません。
スーティルは、この2人に比べれば成績は劣りますが、メルセデスの後ろ盾、スポンサー、チームとの長い付き合いがあり、そういう意味では、カムイには無いアドバンテージを持っています。
そのような特別なものが無いカムイとしては、F1チームのテストドライバーのポジションの方が来年のシートを得るチャンスがあると思われます。
では、なぜ両者は契約にいたったのか?
ここからは、希望的観測です。
ずばり、カムイはマッサの交代要員では?
去年前半のマッサの不調は誰しもが知るところ。
後半調子を取り戻しましたが、マッサが今年フェラーリと契約できたことは意外でした。
フェラーリもマッサと1年契約しかしていないので、彼の継続した速さには疑問があるのでしょう。
そう考えると、今年もマッサに速さがなければ、途中で交代という事もありえるのでは?
その場合、誰がフェラーリの2ndに納まるのか?
案外、いないんですよね。競争力があり、シーズン途中から乗れるドライバーは。
2008年にマッサが事故により離脱したとき、替わりに乗ったルカ・バドエルとフィジケラは結局1ポイントも取れませんでした。
そのためのカムイでは?
去年の速さを見ていると、シーズン途中からでもそれなりに期待できそうです。
WECはレース感を失わないようにするための参戦と考えると、結果はそこそこでもいいでしょうし。
カムイもそれなら、F1のテストドライバーよりも、ビッグチャンスを得る可能性があり、良い話だと思われます。
この希望的観測が正しければ、要するに、マッサのおしりには既に火が付いているということです。