「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?」 | 石元太一のブログ

石元太一のブログ

______________

この本はなかなか為になる本だった。

 

 

 

てか、このタイトル自体、パンチが

 

利いてるよね。

 

一度目にしたら忘れないタイトルだ。

 

著者の名前にもシンパシーを感じずには

 

いられないしさ(笑)。

 

 

著者である村山太一さんは様々な有名店で

 

修行を重ねた後、東京の目黒で「ラッセ」と

 

いうイタリアンレストランをオープン。

 

半年でミシュランの一ツ星を獲得して以来、

 

9年間にわたり星を保ち続けているという。

 

だが、全てが順風満帆だったというわけでは

 

なく、気がつけば「長時間労働が常態化し、

 

人間関係は最悪。経営もギリギリ」という状態

 

だったそうだ。そんな時に休日「サイゼリヤ」

 

でバイトを始め、多くを学んだことによって

 

事態が好転。

 

”人時生産性”が約3.7倍にもなり、

 

”経営利益率”も”労働時間”も一気に改善したと

 

いう。だからか、村山さんは「MBAのビジネス

 

スクールに通うより、よっぽどアルバイトの

 

ほうが成長できると思います。もちろん、広く

 

浅く知識を身に付けたいならよいのですが、

 

今の仕事に即したすぐに役立つ知識や経験は

 

MBAではなかなか得られないでしょう」とまで

 

言い切る。

 

そして、バイトの応募の経緯やサイゼリヤでの

 

職場環境については本書の中でこのように

 

語っている。

 

 

『応募は普通に、WEBサイトから。

自宅に近い店舗を選び、面接では経験や

志望動機など、全て包み隠さず伝えました。

そして、見事採用。普通なら、経営のノウハウを

盗みに行くスパイのようなものだから

拒否されてもおかしくないのに、サイゼリヤは

温かく迎えてくれました。』

 

『何より、僕が衝撃を受けたのは、

サイゼリヤには上下関係がほぼないところ

です。

高校生からシニアまで、さまざまな年齢、

立場の人が一緒に和気あいあいと

働いているので、「なんなんだ、この楽しい

世界は!」と感じました。

当たり前といえば当たり前だけど、店長さんが

丁寧に仕事を教えてくれたことにも、

僕は内心感動していました。

国がずっといた高級店の世界では、

「仕事は盗んで覚えろ」が常識。

仕事をロクに教えてもらえないし、

先輩は常に上から目線で下にいばり

散らしていました。

ところが、サイゼリヤでは高校生でも

「こっちのお皿から洗ったほうが早いですよ」

なんて教えてくれる。僕がモタモタしていても

怒鳴られることはないし、手を貸してくれる。

働きやすい職場とはこういうものなんだ、

と僕は感動のあまり涙ぐんでしまった

ぐらいです(笑)。』

 

 

本当に村山さんが言うように、

 

「経営のノウハウを盗みに行くスパイのような

 

もの」。

 

よくサイゼリヤも温かく迎え入れたものだ。

 

心が果てしなく広い(笑)。

 

それにしても著者の村山さん、

 

また職歴がすごい。

 

 

『一度のお願いで「いいよ」と言われることは、

たぶんありません。何度も断られても

あきらめないバカの突破力が、ここで必要に

なります。

参考までに、僕はこんな風にして弟子に

してもらえました。

・吉泉

 最初に電話したとき、働いている中華料理

チェーンの名を伝えると、即切られました。

めげずにもう一度電話をして、どうしても

見学させてほしいと頼み込みました。

 この見学は大変ハードで、10時間以上、

直立不動でただただ料理をつくっている様子を

見ていました。

 そんな見学を3回繰り返して、4回目。

15時間ほどの見学が終わったとき、

弟子入りを認めてもらえました。

心の底から修行したいのかどうか、

本気度を確かめるためにオヤっさんは

そこまでしていたのでしょう。

・アイモ・エ・ナディア

 僕が初めて働いたミシュラン星付きの

お店で、イタリアの首都ミラノで

一番リストランテ(トラットリアより

格調の高いレストラン)です。

 最初は手紙を送りましたが

返事がありません。ミラノに行って店を

訪ねましたが、門前払い。インターフォン

越しに断られて中に入ることもできません。

 店に行っては断られるのを何度も何度も

繰り返し、7回目の訪問でやっと裏口から

入っていいと言われました。

・ダル・ペスカトーレ

 僕が門を叩いたのは、二ツ星のリストランテ

2店で修行をして、料理コンテストに出場して

実績づくりを重ね、準備が整ってからです。

 店に行くと、偶然オーナーの

アントニオ・サンティーニが

表に出ていました。僕は彼に駆け寄り、

「あなたの所で働かせてください!」と

履歴書を渡しました。

 その履歴書は、これまでに考えた料理の

写真や実績、自身の思いや思想を1冊の

ぶ厚い資料にまとめたものでした。

ちょっと驚き顔のアントニオでしたが、

履歴書をパラパラめくりながら言いました。

「今はないけど、1カ月後には空きが出るかも

しれない。電話してみて」と電話番号を渡して

くれたのです。そして1カ月後、電話すると

すっかり忘れられていましたが、

そこで再度アピールすると働かせてもらえる

ことになりました。

 ダル・ペスカトーレには年間2000を超える

就職希望が届きます。そのうち、採用される

のは10人いるかいないか。優秀な学校を良い

成績で出た若手か、他の三ツ星レストランから

の紹介で入るのが普通です。

 のちにアントニオに聞きましたが、

彼はいつも1秒で人を見るとのことでした。

直接出会えた運とともに、履歴書の「ぶ暑さ」

が効いたことは間違いありません。

 

 

 僕みたいに実績のない人間が、いきなり

世界でナンバーワンの人に弟子入りさせて

もらうには、どうしたらいいか。

 そのためには相手に期待感をギフトしよう

と思いました。

「僕があなたのもとで教わることによって、

僕があなたの意志を受け継いで、あなたが

生きている功績を世に伝えていきます。」

という想いを、言葉にしなくても、

行動で約束しなきゃいけないんです。』

 

 

村山さんは人間性もさることながら、

 

仕事に対する情熱がすご過ぎる。

 

でも、飲食業界もパイの取り合い、

 

競争率は非常に高い。

 

仕事に対するこれぐらいの熱量がないと、

 

とてもじゃないが星を獲得するどころか、

 

生き残ることさえも難しいのだろう。

 

読後は飲食業に対する見方ががらりと

 

変わったし、出所後に飲食業をやりたいと

 

話している受刑者達にもこの本を読むよう

 

勧めてみようと思った。

 

 

『村山 店のオープンが東日本大震災の

直後だったので、全くお客さん来なくて。

目黒の店付近のガードレールをずっと

拭いていたんです。目黒の駅までずっと

ホウキで掃いて、ガードレールを

きれいにしたら交通事故が減るだろうなと

思いながら、毎日ずっとやったんですよ。

朝から晩まで。全然一人もお客さん入って

こなくて、ガードレール拭きだけで

1日終わったこともあって。

 けど、何かしら人のためにやらないと、

何のために僕は店をやっているか

わからないし、何のために生きているのか

わからなくて。店を始めて、毎月200万円の

赤字を垂れ流して、どうしようかっていう

ときでも、やっぱり何かしら人のために

やりたいなと思ったので、考えられることは

結構やり尽くしたあとに、ガードレール拭き

だって。』

               村山太一

 

 

 

 

石元太一の不当判決を訴える会

~石元太一氏に公平な裁判を~

 

反証 六本木クラブ襲撃事件「逮捕からの700日」

双葉社より発売中

 

「不良録」関東連合元リーダーの告白

双葉社より発売中

 

 

特別少年院物語

大洋図書より発売中

 

 

2020年12月24日発売

続・反証 フラワー襲撃事件 隠された新事実

大洋図書より発売中

 

 

実話ナックルズ 2021年 03月号

大洋図書より発売中