「スノーデン 監視大国 日本を語る」(集英社) | 石元太一のブログ

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 この「スノーデン監視大国日本を語る」、

 

とても関心のある事柄に触れられていそう

 

だったので、出版されてからすぐに

 

購入をした。

 

 

なぜ感想を書くのがこんなにも遅れたのか

 

というと、何度も読み直したくなる内容が

 

この本には書かれてあったからだ。

 

まずはその関心のある事柄、”共謀罪”、

 

”XKEYSCORE”、”人権”などについて、

 

このブログの読者の方にも知ってもらいたい、

 

一緒に考えてもらいたい箇所を

 

抜粋させてもらいたいと思う。

 

(聞き手はキャスターの国谷裕子さん)

 

『スノーデン 今年、似たような法律が

 

出てきました。再び国民からも野党からも

 

強い反対の声があがり、専門家などからも

 

必要性に関する合意が一切得られないまま、

 

安倍政権は共謀に対する処罰と捜査を

 

正当化しました。

 

 政府は強行採決されました。その過程で、

 

法律のいくつかの構造について

 

誰一人説明できないということが明らかと

 

なりました。これらの構造については、

 

立法過程でまともに議論されなかった

 

ために将来裁判所も理解できないと

 

考えられています。

 

 日本政府はこの法律を梃子に、

 

アメリカから提供を受け、

 

また国内で自ら開発を進めてきた

 

新たな監視技術を活用するでしょう。

 

 まるで新しいおもちゃを

 

与えられた子どものようです。

 

そのおもちゃはルール違反だから

 

使っちゃいけないよと言われていました。

 

だったらルールを変えてしまおうと

 

いうわけです。

 

 このような形で政策決定がなされたことは

 

残念でなりません。というのも、

 

繰り返しになりますが、

 

必要性がないばかりか非常に深刻な

 

社会負担を伴う法律だからです。

 

政府に対する国民の信頼も

 

失われつつあります。

 

安倍政権に対する不信感の高まりは、

 

非常に深刻だと思います。

 

自民党はすでに多くのスキャンダルを抱え、

 

信頼の回復に必死です。

 

森友学園や家計学園と次から次へと問題が

 

起きていますが、この政府はなぜ

 

これほどまでに多くんことを、国民の目から

 

隠そうとするのでしょうか。

 

 国民に対しては「監視されても

 

心配するな。

 

新しい法律についても心配するな。

 

隠すものがなければ監視を心配する必要は

 

ない」と言いながら、なぜ彼らは

 

同じルールでプレイしないのでしょうか。

 

 

誰でもどこでも監視できる

XKEYSCOREとは何か?

 

 

国谷 日本政府もアメリカ政府と

 

同じような大量監視をしていると

 

言い切れますか?

 

スノーデン その前に、まだお答えして

 

いなかった最初の質問に話題を

 

戻しましょう。

 

国谷 XKEYSCOREで新たに何が

 

できるようになったのかという点ですね。

 

スノーデン XKEYSCOREとは何か。

 

単語としては英語でも何も意味も

 

ありません。コードネームです。

 

これは膨大なソフトで構成された非常に

 

複雑な技術ですが、主な目的は一つです。

 

多様な方法で集められた電子的な通信を

 

集約することです。衛星電話、

 

衛星インターネット、無線周波を経由する

 

コードレス電話など、アンテナを

 

正しい場所に設置すれば技術的には

 

誰でも聞くことができる情報を、

 

システム内に取り込みます。

 

電波越しの情報もあれば、

 

東京の地下に敷設され、

 

日米、日豪、日中間など、

 

隣接するあらゆる二国間をつなぐ

 

固定の光ケーブル経由の情報もあります。

 

アメリカ政府は、基本的にシステムの容量が

 

いっぱいになるまですべての電子通信を

 

集めています。

 

 政府にとっては必要な作業は、軍事基地や

 

通信会社に設置するPCやサーバを

 

購入することだけです。

 

購入後は、これらを活用して、空気中に漂い、

 

あるいはケーブルを流れるあらゆる

 

電子情報を集めます。集められた情報は、

 

できる限り人間が理解できるように

 

処理されます。

 

 数年前まで、アメリカも含め、

 

どこの政府も諜報活動には等しく

 

苦労していました。

 

監視するには一人ひとりを尾行するといった

 

方法しかありません。あらゆる地域の

 

すべての対象を監視することは

 

できませんし、何か重大なことを

 

見落とす恐れもありました。

 

従来は、技術と予算によって、

 

有限の時間内で実現可能な監視には

 

おのずから限界があったのです。

 

 盗聴のためには物理的に盗聴器を

 

電話回線に設置しなくてはならず、

 

そのためにはその家の近くまで諜報員を

 

送り込む必要がありました。

 

メールを取得するためには、Yahoo!などの

 

プロバイダーに直接出向いてユーザーの

 

名前を伝えた上で、そのEメールをすべて

 

提供するよう求める必要がありました。

 

 しかし今では、XKEYSCOREを

 

用いることでネット上にある限り

 

あらゆる人のあらゆる情報を

 

手に入れることができます。アメリカでは、

 

法律上裁判所から個別に許可を得る必要すら

 

ありません。政策面はさておき、

 

技術的には、一日二四時、一年三六五日、

 

一日も休むことなく、あらゆる情報を

 

収集することが可能です。

 

 ひとたび情報が送信されると、

 

その情報はインターネット上のさまざまな

 

システムを経由します。XKEYSCOREが

 

網を張るある一点を通過した瞬間、

 

その情報は捕捉され、保存され、記録され、

 

政府の検索対象となります。

 

 たとえ違法でも政府の関心を

 

引きつける理由がお分かりいただけると

 

思います。また、仮に利用を認める法律が

 

制定されたとしても、

 

議論を継続しなければならないことも

 

お分りいただけるでしょう。

 

 あるときを境に政府は大きく姿を

 

変えました。技術の進歩によりこれまで

 

不可能であったことが可能となったのです。

 

これまでは時間や予算の制約上、

 

監視の対象は犯罪者だけでした。今では、

 

技術によって誰でもどこでも監視することが

 

できます。これは際立って大きな違いです。

 

これこそがXKEYSCOREの核心なのです。

 

特定のターゲットに絞られず

 

すべての人の情報通信を傍受し

 

把握できるのです。

 

 

政府は日々、人知れず何千億もの

プライバシーを侵害している

 

 

国谷 アメリカが構築を目指した

 

システムは、ネット空間でのプライバシーを

 

完全になくそうとしたものだと

 

理解していいですか。

 

 スノーデン 目的と効果を区別して

 

お答えしたいと思います。NSAに尋ねれば、

 

目的についてこう答えるでしょう。

 

私はNSA長官に繰り返し尋ねたので

 

同じように答えることができます。

 

「私たちの目的は一般の方々を

 

監視することでもプライバシーと

 

戦うことでもありません。

 

私たちの目的はテロと戦い、安全な社会を

 

維持することです。」と。

 

 目的はその通りです。しかし、

 

これを達成する方法がまさにあなたが

 

述べたような効果をもたらすのです。

 

 暗号化されていないコミュニケーションは

 

傍受されて解析されます。

 

このことは大いなる脅威です。アメリカや

 

日本だけで起きていることではありません。

 

みなさんが帰属せず、

 

信用していない政府でも

 

起きているからです。ロシア、中国、

 

フランス、ブラジル。どの国であれ、

 

今述べたような技術を保有しています。

 

その国を好きか嫌いか、

 

信用しているか否かは関係ありません。

 

また、伝統的に人権を守るとされてきた

 

政府でさえ、この技術を用いて人権を

 

侵しています。

 

 これらの政府は人権を侵害するつもりは

 

ないと言います。しかし、意図はなくとも

 

結果的には人権を侵害しているのです。

 

これらの政府は日々、人知れず何千億もの

 

プライバシーを侵害していますが、

 

被害を受けた誰一人として、

 

その是非を問う投票権は

 

与えられていません。誰一人、

 

裁判所に訴えてプログラムの違法性を

 

争うこともできません。

 

秘密裏に行われているためです。

 

 政府は安全保障のためだとか

 

防衛のためだなど何千という理由を

 

挙げるでしょう。

 

しかし、目的は関係ありません。

 

民主的な手続きも民主的な合意もなく、

 

世界が変えられてしまいました。

 

このことをまず認識しなければ

 

なりません。』

 

『政府は人々がごく自然に抱く恐怖心を

 

悪用しています。この世界は予測不可能で、

 

危険なことが起きるに違いないと

 

思い込ませます。人々はみな、

 

政府が持ち出す架空の取引を

 

信じ込んでしまいます。

 

「私たちの希望を叶えてくれるなら、

 

みなさんの安全は守りますよ」と。

 

 しかし、お分かりの通り、

 

実際にはうまくいきません。

 

最も独裁的な警察国家から、

 

最も市民権や人権を尊重している国まで、

 

あらゆる国に犯罪は存在します。

 

世界から危険を完全に取り除くことは

 

できません。問題は、どのレベルで

 

その危険に反応すべきなのか、

 

どのように危機管理すべきなのかと

 

いうことです。

 

 政府の権限を必要以上に強化すれば人権が

 

危機に瀕することは歴史が物語る

 

ところです。

 

我々はどうすれば、政府の権限を

 

強めることなく直面しているリスクを

 

緩和できるでしょうか。

 

 例えば、人々がテロが起こるに違いない

 

と感じる世界こそ、危険な世界です。

 

人々が安全を求めるあまり、

 

人権を侵害するような対策をも

 

求めるためです。

 

 アメリカも例外ではありません。

 

第二次世界大戦を思い出してください。

 

日系アメリカ人は、スパイの可能性が

 

あるとして収容所に入れられました。

 

もちろんすべての日系人が

 

スパイだったわけではありません。

 

多くの市民はこれが誤りであると

 

知っていましたが、安心を得るために

 

異議を唱えませんでした。

 

政府は今でも似たようなことをしています。

 

収容するかわりに声高にこう述べます。

 

「世界は危険に満ちています。

 

規則に縛られていては何もできません。

 

プライバシー侵害も必要です。

 

さもなければ命の保証はできません。

 

テロリストがみなさんの中に

 

紛れています。

 

スパイが暗躍しています。

 

工作員が潜んでいます」。』

 

 

 以前このブログで、”Tカード”や

 

”スマホゲーム”を通じて個人情報、

 

位置情報が取得されていたということを

 

取り上げたが、そういった事件に

 

関心のある人はこういった

 

エドワード・スノーデンが指摘する問題にも

 

きっと関心を持ってもらえることかと思う。