徳川15代将軍、徳川慶喜の話。
その名の通り、300年に渡る徳川政権を終わらせた将軍。
激動の幕末の最重要人物の一人。
 
司馬遼太郎は本当に人物を魅力的に書きます。
読めば間違いなくその主人公に惚れ込みます。
この徳川慶喜も例外ではありません、魅力いっぱいです。
何でも自分でできてしまう、武芸も、髪結いも、漁も、
それを生業にする職人と同じようにできてしまう人だったらしい。
頭がいい、他の人の何倍も先を考えることができた。
好奇心が強く、西洋風の乗馬や写真、後には油絵なんかに力を注いだらしい。
そして慶喜の喋りには誰もかなわない、まるで演劇を聞いているようで
聞いているうちにその語りに酔ってしまうらしい…すごい。
 

徳川の15人の将軍の中で、実際に自分で考え、実行した人は少数でしょう。

将軍期間が短かったり、幼い将軍だったり、病弱だったり。

慶喜は、将軍になる前から幕府を動かしていました、これは意外でした。
そしてその頭の良さから、そんな大変な時期に将軍になりたくなかった、
周りは慶喜を将軍にしようとするけど、本人は断り続ける、
でも本人も、自分以外に将軍を勤めることのできる人はいないと分かってる。
そんな人。
将軍って、大奥とか周りの力関係はあるにせよ、
本人の意思は関係なくぽんぽんとなっていくものかと思ってました。
その点でも慶喜はそれまでの将軍とは違います。
 
とにかく、慶喜の考え、行動の様子がとても面白い。
文字を通して慶喜が生き生きと動き回ります。
以前日本史で習った人物、出来事がどんどんでてきます。
当時こういう本を読んでたらもっと興味が持てたんだろうな…と思います。
教科書では、「徳川慶喜が大政奉還を行った」ぐらいじゃないでしょうか。
普通、300年の徳川幕府を自分の代で終わらせることができるでしょうか
僕なら…なんとか次の将軍に幕府を渡そうとするでしょう…
自分の代で幕府を終わらせることを不名誉と考えるでしょう。
でも慶喜は、この大政奉還をもともと自分でも考えていたというからすごい。
 
そして慶喜は77歳まで生きます。
幕末という時代に生まれるには早すぎる人だったのかもしれません。
明治後の慶喜の生き方、なんとも言えません。
 
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