とにかく、ものすごいエネルギーを感じる映画です。
サッカーやサンバに熱狂するブラジルのエネルギーが凝縮されたような。
そのエネルギーはオープニングで爆発。
フラッシュ的な映像とサンバのリズム、銃を持って鶏を追いかける少年達、
このオープニングは結構いいです、引き込まれます。
「リオの観光的イメージとは程遠い」神の街。
まさに華やかなイメージを持つリオデジャネイロに存在した貧困街。
警察もその街の住人を犯罪者の集まりのように考え
その街の住人は犯罪を黙認し、警察には何も言わない。
それによって生活ができるという部分もあるから。
そして、犯罪を犯すのは、この街の若者、まだ10代の少年達…
こんな街でこんな出来事が本当に存在していたのかと思うと本当に恐ろしい。
なによりも恐ろしいのは、平気で銃を持ち犯罪に手を染める少年達。
この映画に登場する少年達のボスリトル・ゼ、
10代前半、もしかしたら10歳にもなってないかもしれない、
笑顔で人を撃ち、笑い転げる姿は異様、異常としか言えません。
そんな少年達をごろごろと排出する神の街も異常、それしか生きる道もない…
そんな少年達が街を大きく変えて大きな抗争にまで発展させてしまう物語。
世代交代の早さ、少年達は街の支配者になりたがり、
銃を欲しがり街を支配している者を殺そうとする。
少年達が、「あいつを殺そう」「あいつも殺してしまおう」と笑いながら話す。
それが冗談ではなく、本当に殺してしまうのがすごいところ…
「アパートの物語」は、この街の世代交代の早さを象徴してる、
展開が速くて人物を覚えられないかもしれないけど…
いろんな人の人生が、この街のせいで変わっていく様子が面白い。
主人公はこの街やギャングたちのおかげで夢を叶えることができた。
でもほとんどの人は、この街のせいで殺しあう道を選んでしまう恐さ。
その中で、欲望の塊リトル・ゼと、街一番の良い悪党ベネの対比はよかった。
映画中がエネルギーと、恐怖、スピード感、無力感に溢れてるすごい映画。
音楽はサンバっぽく、映像はなんだか茶褐色というか、黄色っぽいというか、
熱さのようなものを感じます。それでいて、時々冷たさも感じる。
緩急のついた映像や、カメラワークがとてもいい感じ。
★★★★★
つい20年前くらい前の話…

