めがらすのみぞれ煮は郷土料理のひとつです。いかの口には、黒い顎とこれを包む筋肉があります。口球と呼ばれる器官で、めがらすと呼んでいます。このめがらすを大根おろしと一緒に煮たものが、めがらすのみぞれ煮です。
能登町小木地区に伝わる郷土料理で、いか釣り漁船の基地として栄える小木ならではの料理です。
乗組員が塩漬けにして家へ持ち帰っためがらすをみぞれ煮にしたと「金沢・加賀・能登四季の郷土料理(青木悦子著・主婦の友社」に書かれていました。
本に掲載されている写真はどう見てもスルメイカのめがらすではありません。多分アカイカのものでしょう。
というのは、小木地区を基地港とする遠洋漁船が、1978~1992年に北太平洋でアカイカ流し網を行っていたからです。
私が調達した材料のめがらすは、アカイカあるいはアメリカオオアカイカと思われる超でかいもの(一夜干し)と、スルメイカの小さいもの(冷凍)です。
大きいのは、大根おろしと塩を少々いれて一煮立ちさせました。口の中でかみしめると、いかのうま味が広がります。汁をすすりながら噛み切るといったワイルドな食べ方で堪能しました。
めがらすのみぞれ煮(アカイカ?)
小さいのは、大根おろしを入れて醤油・みりん・酒で味付けしました。大きいのと比べると柔らかく食べやすいという印象です。いかのうま味が口の中に広がりますが、大きいのと比べるとインパクトに欠けるかもしれません。
めがらすのみぞれ煮(スルメイカ)
塩ゆですると、エキス分が煮汁に溶け込んでしまいます。大根おろしと一緒にすべて味わうという理にかなった料理方法ではないでしょうか。