コタマガイとチョウセンハマグリの関係 | 能登のさかな

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能登は四季折々にいろんな魚が水揚げされます。お魚屋やさんではみられない魚も海辺や市場に行けば沢山みることができます。そんな魚たちを紹介していきたいと思います。

 コタマガイチョウセンハマグリを以前紹介しましたが、今回は両種の関係をお話しします。

 

 羽咋市から内灘町にかけて砂浜(開放性砂浜域)が30km以上続いています。ここには、コタマガイとチョウセンハマグリの両種が生息しています。

 

羽咋市千里浜海岸

 

コタマガイ

 

チョウセンハマグリ

 

 長く続く砂浜は南北で違いがあります。北へ行くほど、砂浜の粒径が小さくなっているんです。金沢市よりも更に南に手取川という大きな川があります。ここから流れ出る砂泥が、北向きの流れによって運ばれます。その途中、粒子の大きな砂から順に海岸に流れ着くそうです。このため、羽咋市の千里浜海岸までくると、より細かい砂が多くなるというわけです。

ガーン

 これと符合するように、コタマガイとチョウセンハマグリの分布が変化します。コタマガイは北へ行くほど分布が少なくなり、逆にチョウセンハマグリは北へいくほど分布が多くなります(もちろん、スポット的に高密度になり、途中で傾向が逆転することもありますが、全体的な傾向としてという意味です)。

 

 では、なぜ両種の分布が変化するのでしょうか?詳細なメカニズムはわかっていませんが、ひとつには底質の選択性が異なるのではないかと考えています。

 

 30年以上前の室内実験ですが、コタマガイの底質選択性を調べたことがあります。

 コタマガイは、生まれてから約2週間海中を浮遊しながら成長し、その後に着底し砂に潜って生活するようになります。

 浮遊している幼生を水槽に収容し、底には「粗い砂」「普通の砂」「細かい砂」「砂なし」の4種類の試験区を4×4の碁盤目に配置します。収容してから約2週間後に着底数と生残率を調べると、普通の砂には数多く着底し、かつ生残率も高いことがわかりました。

 

 残念ながら、チョウセンハマグリでの実験は行わなかったので、種の違いはわかりません。しかし、チョウセンハマグリがより細かい砂への選択性が高いとすると、底質の違いによってコタマガイとチョウセンハマグリの分布傾向が異なることをうまく説明できます。

 

 両種は同じ開放性砂浜域を生息域としています。しかし、底質選択性の微妙な違いが、外浦砂浜域での分布の変化につながっているのではないでしょうか。

爆笑