BOSSA NOVA
ボサノヴァの「ボサ」は、もともと、
「才能、素質、傾向」という意味であり、
1930年代からサンバの歌詞の中には、
「粋な精神」といったことを象徴するようなキーワードとして使われていたそうです。
ボサノヴァの「ノヴァ」は「新しい」を意味します。
ボサにノヴァがくっついて「ボサノヴァ」となりました。
ボサノヴァという言葉を最初に広めたのが、
アントニオ・カルロス・ジョビン。
前述した通り、
1958年にジョアン・ジルベルトが歌った
「Desafinado」にボサノヴァという歌詞が登場します。
♪「君は僕の歌がDesafinado(音痴、調子っぱずれ)だと言うけれど…これがBossa-Nova とても自然なんだよ」
さらに、アントニオ・カルロス・ジョビンは、
1959年にリリースされたジョアン・ジルベルトのファースト・アルバムのライナー・ノーツにこう記しました…
「ジョアン・ジルベルトはバイーア州生まれの27歳、Bossa-Novaである」
ここでいうBossa-Novaは「新しい才能」という意味でしょう。
アントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトがその新しい音楽をボサノヴァと呼んだわけではなかったようです。
サンバのリズムの独特のシンコペーションをシンプルに(かつ大胆に)したビート感覚に、
斬新で洗練されたハーモニーでギターを奏で、
耳元に囁きかけるような繊細な歌声の
「ジョアン・ジルベルト」
そのジョアン・ジルベルトを聴き驚嘆したのが、
サンバを基本としたブラジルの素養を生かした作曲を手掛けながらも、クラシックやアメリカのポピュラー音楽、ジャズなどにも影響を受け、新しい感覚の音楽のアイディアが鳴っていた
「アントニオ・カルロス・ジョビン」
アントニオ・カルロス・ジョビンの理想を表現できる歌手がジョアン・ジルベルトでした。
このふたりのふたつの恐るべき才能が出会って生まれた音楽がボサノヴァです。
アントニオ・カルロス・ジョビン
= トム・ジョビン