国会会期中最後のカーボンリサイクル技術推進議員連盟の勉強会が行われました。

 

今回は、カーボンリサイクルの中でもCO₂分離回収技術と環境配慮型コンクリートについての勉強会が行われました。

現在、排ガスからCO₂を分離・回収し、カーボンリサイクルとして利用する方法が取られています。排出されるCO₂は、火力発電所・製鉄高炉・LNG液化プラントなど排出源によって濃度や圧力が異なり回収方法も異なります。各排出源に沿った効率的な回収方法を行う必要があります。

現在CO₂回収を共同開発した三菱重工と関電の技術では、①排ガスの冷却 ②CO₂を溶液に吸収 ③溶液からCO₂を分離 の三段階の商用プラントを世界70%のシェアで運用しています。

CCS事業のように、回収したCO₂を海底や地下に埋め込むだけではお金もかかります。しかし、純度の高いCO₂をきちんと精査して回収することによって、CO₂を売却資源として保持できることや他の技術に転用できた場合相互にメリットが生まれます。

そんな技術の一つが環境配慮型のコンクリートです。

 

日本の産業由来(工業プロセス由来含む)のCO₂排出量の中で、窯業・土石製品の占める割合は17.3%に上ります。その中でも大部分を占めるコンクリートの製造過程ではセメントの製造におけるCO₂が大部分を占めます。その為、CO₂ネガティヴを実現するためには①セメントの代替 ②CO₂が固定された素材 の組み合わせが必要だとされています。

セメントは、石灰石(CaCO₃)を焼成することで、CO₂とセメント(CaO)に分離されます。また、セメント(CaO)と水(H₂O)を合成することで硬化させ、コンクリート(Ca(OH)₂)を生成します。

鹿島建設・中国電力・デンカ・ランデスの4社で共同開発してすでに商品化されている「CO₂-SUICOM」は従来とは違う方法を使い、CO₂の排出を抑えています。

従来CO₂の排出が多いセメントの製造過程を鑑み、セメントの代替材料を混ぜ込むことでおおよそ1/3程度のCO₂削減が望めます。また、水と反応し硬化するの従来のコンクリートではなく、特殊混和材を利用することによってCO₂と反応して硬化することが出来ます。特殊混和材(CaO)とCO₂を反応させることで、コンクリート(CaCO₃)が生成されます。反応する際にコンクリートにCO₂が取り込まれるので、ここでもネガティヴカーボンを実現することが出来るようです。

しかし、現在この環境配慮型コンクリートは従来のコンクリートより高価で需要もおおくありません。そのため、国交省主導の土木整備事業に積極的な活用が望まれていますが、現在全国で三件にとどまります。GI基金を活用しながら、環境配慮型コンクリートの使用にインセンティブを付けていくことが求められています。(インターンM)