先日、財政政策検討本部(西田昌司本部長)のメンバーで、岸田総理に提言をお渡ししました。




【以下、提言】
財政政策検討本部においては、本年 4 回にわたって講師を招き議論を重ねてきた。
その要約については別紙の通りである。そうした議論を踏まえて以下の通り提言をする。

1. 国債の 60 年償還ルールにより、一般会計に国債償還費が計上され、歳出と税収との差が広がっているが、国民に財政状況を正しく伝えていくべきである。国債を発行して財政支出を行えば信用が創造されるのであり、過度に緊縮的な財政運営は、民間資金を減少させて経済にマイナスの影響を与えることに、十分留意すべきである。

2. 財政赤字の拡大は、企業部門の貯蓄超過が継続していることの裏返しである。企業に対して国内投資や賃上げを強く促し、貯蓄超過ではなく投資超過の状況を作り出すための政策対応が不可欠である。

3. 財政面では、特に、地方経済の活性化に向けた取組が重要である。投資誘発効果や雇用などの波及効果が高い財政支出に重点化していくべきである。

4. 財政運営は、経済状況と整合的なものとすべきである。日本経済を再びデフレに戻すことがないよう、需要不足が残る状況で緊縮に走るべきではない。また、昨年の骨太方針に明記された通り、政府が進める歳出改革により、重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない。

5. 昨年の提言でも確認した通り、プライマリーバランスについては、カレンダーベースでの目標設定が、状況に応じた必要な政策対応を妨げ、マクロ経済政策の選択肢を歪めることがあってはならない。