おはようございます。永田町は曇り空。
温かくしてお過ごし下さい。

党大会での安倍総裁の演説全文書き起こしがアップされました。

やればできる。
やらなければ、あの時代に後戻り。
改革を前に前に進めなければなりません。

 
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【自民党大会・安倍晋三総裁演説 全文書き起こし】

第84回自由民主党大会にあたり、自民党総裁としてごあいさつを申し上げます。本日は、全国各地にある、常に自由民主党を力強く支えていただいている皆様に大変お忙しい中、こうしてお集まりをいただきました。おかげさまで今年も党大会を盛大に開催することができました。誠にありがとうございます。

 また先ほど、長年のご功績により、表彰された皆様、おめでとうございます。皆様方をはじめ、全国の同志、支持者の皆さんのお力により、昨年の参議院選挙、改選議席の過半数という高い目標を上回る大きな勝利を得ることができました。あの夏の厳しい、暑い選挙、汗を流していただいた全ての皆様に党を代表し、衷心より、厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 また先ほどは、ともに戦っていただいた友党・公明党の山口那津男代表から、温かいごあいさつがございました。ありがとうございます。風雪に耐え、自公連立政権の上に、これからもしっかり、実績を残して参ります。

 また、経済界を代表し、今年も経団連、榊原(定征)会長にもおこしをいただき、応援メッセージをいただきました。毎年、榊原会長には賃上げのお願いをさせていただいておりますが、今年はさらに、しっかりとお願いをしたいと思いますし、今年は加えて、働き方改革へのご協力もお願いしたいと思います。

そして、本日は(青山学院陸上部の)原(晋)監督をはじめ、輝くアスリートの皆さんにご出席をいただき、花を添えていただきました。心から、サンキューと申し上げたいと思います。改めて、東京五輪・パラリンピックを必ず成功させる。この決意をみなさまとともに新たに致しておる次第でございます。

 今年の党大会は私にとりまして、自民党総裁に再び就任して以来、5度目の党大会となりました。であるからこそ、初心を忘れてはならない、そう心に誓っております。あの苦しかった3年3カ月、野党時代の臥薪嘗胆の日々は、今でも私たちの胸に深く刻まれています。政治が安定を失い、民主党政権が成立をし、長引く不況、そして復興は遅々として進まない。外交安全保障においては、国益が失われていました。私たちは野党であることの悔しさに、胸が震える思いでありました。

 昨年の参議院選挙の結果、わが党は単独過半数を回復しましたが、しかし、それは27年ぶりのこと。つまり、一度失った政治に対する信頼を取り戻すためには四半世紀以上に、歳月が必要であったということであります。国政選挙に4連勝するなかにあっても、この緊張感を片時たりとも忘れずに、謙虚に、しかし、力強く挑戦し続けていくことを本日の党大会において、お誓い申しあげる次第でございます。

思い返せば5年前、民主党政権下において、日本列島をあきらめの気持ち、悲観論が覆っていました。人口が減少していくんだから、成長なんかできないよ。もう日本はたそがれを迎えているんだ。私たちの前に、このあきらめの壁が大きく立ちふさがっていたんです。われわれは政権を奪還し、このあきらめの壁に挑戦しました。

 そして4年、人口は減少しているにも関わらず、私たちの経済政策によって名目GDPを9.5%成長させることができました。そして、あの政権奪還の選挙、私たちは長引く不況によって失われた国民総所得50兆円を取り戻します、こう国民の皆様にお約束をして、政権に復帰したことを皆様、覚えておいででしょうか。「そんなことはできるはずがないよ」。こんな批判を浴びました。今と同じです。そして皆さん、果たして、どうなったか。発表したいと思います。昨年、とうとうこの失われた50兆円を、私たちは取り戻すことができました。どうか、マスコミの皆さんも、大きく報道していただきたいと思う次第でございます。

 私たちはこれからもさまざまな壁に挑戦してまいります。被災地の復興に立ちはだかる壁があります。こうした壁にオール日本で挑戦をし、必ずふるさとの復興を成し遂げてまいります。

そしてまた、地方創生を進めていく上においても、農林水産業の復活・再生、そして成長産業化が必要であります。農政新時代とは、守るべきはしっかりと守り抜き、そして、攻めるべきは攻める。攻めの象徴は、農林水産物の輸出であります。この輸出額にも5000億円という壁があり、長年この壁にはね返されてきたんです。しかし私たちは政権を奪還し、たった1年でこの壁を突き破り、4年連続過去最高、7500億円を超えました。

 また、農業においては、高齢化の壁がある。しかし、攻めの農政を続けてきた結果、40歳以下の若いみなさん、新たな就業者数は統計をとってから最高の2万3000人を超えたんです。そして生産農業所得、連続で増えて3兆3000億円。この11年間で最も高い水準に伸びているんです。やればできます。額に汗して、頑張るみなさん、土に向き合い、海に向き合うみなさんにとって、農林水産業が、そして若いみなさんにとって、未来を託す分野に私たちは農林水産業を変えてまいります。

国民が政治に求めているのは、まずは働く場所をつくること。雇用を増やし、そして賃金を上げていくことです。民主党政権時代、雇用は増えるどころか10万人も減っていました。そしてみなさんもよく覚えておられると思いますが、彼らは「正規雇用どうなったんだ」、私たちをそうやって批判をしていましたね。最近あまり言わなくなりました。では彼らが、政権をとっていた時代、正規雇用はどうだったのか。正規雇用は民主党政権時代、なんと55万人も減っていたんです。私たちは、私たちの経済政策によって、このマイナスの流れを劇的に変えました。この4年間で雇用は170万人増えた。そして2年前、確かに正規雇用の壁はあった。でも2年前、とうとう8年ぶりにこの壁を打ち破り、プラスに転じ、26万人増えた。そして昨年はなんと51万人も増えたんです。この2年間で77万人、正規雇用は増えた。マイナス55万人からプラス77万人、劇的に変わったんです。

 賃金も上がっています。中小企業における賃上げも今世紀に入って最も高い水準の賃上げが続いています。賃金が上がってきた結果、例えば、格差を示す指標である相対的貧困率は、その統計を取って以来、ずっと悪化していたものが、統計を取って以来、初めて、改善しました。特に子供の相対的貧困率については、9.9%から7.9%、これも統計を取って以来初めて2ポイント改善し、統計を取って以来、最も低い水準になっているんです。

また、税収も増えています。国地方合わせて、税収は22兆円、増えた。この増えたアベノミクスの果実を使って、社会保障分野を充実していく。子育て、教育に投資をしていく。そして成長していくために、投資をしていくことによって、安定した社会基盤、夢を持てる社会基盤の上に、私たちはもっと成長していくことができます。そうすれば、果実が生まれ、また投資をしていくという、成長と分配の好循環をしっかりとまわしながら、戦後最大のGDP600兆円、そして、希望出生率1.8、介護離職ゼロという大きな目標を達成して参ります。

 みなさん、批判ばかりしていても、何も生まれません。批判ばかりしていたって、壁を打ち破ることはできないんです。私たちは結果を出して参ります。

 先月、私はトランプ大統領と初めて日米首脳会談を行いました。この会談の後、(大統領専用機)「エアフォースワン」に同乗し、パームビーチ(フロリダ州)に参りました。翌日はみなさまご承知のように、ゴルフをしました。しかも、27ホール。やればできるんです。かつて、岸信介首相とアイゼンハワー大統領がプレーして以来の日米首脳ゴルフ対決となりました。どちらが勝ったかはこれは国家機密です。ま、しかし、確かにトランプ大統領はうまかった。素晴らしいプレーヤーであったことは告白しなければなりません。

祖父は、アイゼンハワー大統領とのゴルフの話をよくしていました。アイゼンハワーが打ったショットはナイスショットだった。その後、クラブをもってティーグラウンドに上がった岸信介を取り囲むアメリカのプレスの人たちの視線は、敗戦から10年ちょっと、敗戦国の首相がやってきて、ゴルフをする。お手並み拝見。日本の首相にゴルフなんかできるのかなと、冷ややかな雰囲気の中でニヤニヤしながら、祖父を見つめていたそうであります。その時、祖父は、この一打に日本の威信がかかっている、そう思ったそうであります。しかし、そう思うとどんどん緊張し、肩に力が入ってきた。そこで、満身の力を込めて、打ち込んだ。岸信介にとって人生で最も緊張した一打だったそうであります。そして、その球は、祖父にとって、人生最高のショットとなったそうであります。

 私はその話を思い出しまして、今回は、報道陣を入れるのはやめておこうと思ったのでありますが、一応私の名誉のために申し上げておきますと、私の最初のショットは人生のベスト5ぐらいには入っていたかな、このように思います。だいぶ話がそれてしまいました。本論に戻します。

 今回の日米首脳会談の目的は、新政権との間においても、日米同盟の絆は揺るがないということを内外に示すためのものでありました。昨年暮れ、私はハワイ・パールハーバーにおいて、かつて熾烈に戦った敵同士は、寛容と和解の精神によって、心の紐帯で結ばれる友となった。そして普遍的価値を共有し、世界のさまざまな課題に共に取り組む希望の同盟になったとオバマ大統領と宣言しました。

そして今回、日米同盟は微動だにしないということを、世界に示すことができたと思います。北朝鮮がミサイルを発射しました。このミサイル発射に対して、私が世界に対してメッセージを発信するときに、トランプ大統領は同席を申し出てくれました。そして、米国は100%日本とともにある、この力強いメッセージを発信してくれました。皆さん、助け合うことのできる同盟が、その強靭さを示したと思う。平和安全法制によって、間違いなく、日米の絆は、同盟の絆は強くなったんです。

 自由民主党は、日本人の命を守り抜くために、さまざまな安全保障に関わる法整備を進めてまいりました。そのたびごとに無責任な批判にさらされました。しかし、私たちは負けなかった。そして今、私たちが正しかったことが、すでに証明されています。先輩たちがそうであったように、これからもなすべきことはなす、との静かな決意を持って、こうした課題にしっかりと取り組んで参りたいと思います。

 今年は憲法施行70年の節目の年であります。70年前の日本は、貧困とそして廃虚の中で、苦しんでいた。しかし、先人たちは決してあきらめなかった。世界第3位の経済大国、自由で民主的な日本を、今を生きる私たちのために作り上げてくれました。今を生きる私たちもまた、さまざまな課題に正面から向き合い、子や孫、未来の世代のために、その責任を果たしていかなければなりません。

この節目の年にあたって未来を見据え、次なる70年を見据えて、新たな国づくりに取り掛からなければなりません。とりわけ、憲法は国の形、そして日本の理想、未来を語るものであります。自由民主党は憲法改正の発議に向けて、具体的な議論をリードしてまいります。みなさん、それこそが、戦後一貫して日本の背骨を担ってきたわが自由民主党の歴史的使命ではないでしょうか!

 自民党結党の創設メンバーの一人であり、現行憲法制定にも関わる芦田均首相は敗戦後、焼け野原の中で、日本はどうなるのかと悩む若者たちに対して、「どうなるのかではなく、どうするかだ」と語ったそうであります。この気概を、私たちこそ持たなければなりません。

 そして、この気概を持ち、進んでいくことができるのは私たち自由民主党であります。皆さん、挑戦する勇気を持って、結果を出していこうではありませんか。女性も男性も、お年寄りも若者も、障害のある方も、難病に苦しむ人も、失敗に悩む人も誰にでもチャンスがあり、誰にでも未来がある、そしてどんなに貧しい家庭に育っても、進学できる、夢に向かって進んでいくことができる、そういう日本をともにつくっていこうではありませんか。世界の真ん中で輝く日本をつくっていくため、全力を尽くしていくことをお誓いしまして、党を代表し、自由民主党の総裁のごあいさつとさせていただきたいと思います。