みなさん、こんにちは。自民党衆議院茨城5区の石川あきまさです。


通常、EPAやNAFTA、WTOなどの貿易や投資協定には、紛争解決の手段があらかじめ定められています。

TPPで問題となった一つに、投資家が締約国を訴える「ISDS条項」があります。


多方面から「外国企業に訴えられて、国家主権が脅かされる」との懸念が示されました。

また、「紛争解決機関に米国のバイアスが掛かり、中立性を保てないのではないか」との指摘もありました。


TPPでは、新たな紛争解決の機関を設立するわけではありません。

TPPで紛争が勃発した場合は、当事者が世界銀行グループのICSID(投資紛争解決国際センター)、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)、ICC(国際商業会議所)を選択して持ち込めることになっています。


仲裁人3名の選定や行程管理は、それぞれの紛争処理機関の仲裁規則によって当事者の合意のもとで行われます。

よって、米国政府や米国裁判所が仲裁に関与することはなく、米国の圧力で米企業が優遇されるということもありません。更に、濫訴を抑制する規定も定められています。

国内法との関係については、ISDSの裁定と国内判決が異なる場合、条約が国内法に優先するように、基本的に裁定が優先されることになります。

この点が、主権国家として最も懸念されていましたが、例えば国民健康保険制度など社会事業サービスは、国内の現行法が優先される「包括的留保」として変更を迫られることはありません。

なお、既に日本はEPA9本と投資協定15本において、ISDSを含む協定を締結し、海外で活動する日本企業の保護に努めています。