14時から開演、この一回の公演とのことで観てきました。
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あとでYoutubeで配信があるとのことなのでざっくりとした記載になりますが、
・舞台は、過去に様々な事情を持った人たちが集まる山の中のシェアハウス
・シェアハウスに集まった人達は、過去のネガティブな記憶がある仕事のことは忘れ、農園など落ち着いた生活を行っている
・転機が起きたのは、その中のメンバ同士が結婚するというタイミング
・結婚を機に父親、弟と連絡することになり、シェアハウスの外の人間と接触を持つことになる
・父親、弟は外の世界できっちり、しっかりとした生活をおくっていた(ようにみえていた、、、)
・一見するとシェアハウスの中の人間は辛い現実から逃げたようにみえるが、
では逃げなかった弟の生活は幸せなのかどうか、、、
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ざっくり言い、かつちょっとぼかしていうと↑のような感じ。
↑には記載していない諸々の人物も過去に辛いことや、
将来への不安を感じながら、それぞれの悩みを抱えながら生きている。
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さて、、、
観ていてまず最初に思ったのは、メタバースを現実化したらこんな感じなのかも?と思ってみていた。
ようするに、現実空間と仮想空間(ここではシェアハウスを仮想空間と見立てる)を切り分けることで、
現実世界にあった辛いことを忘れ、それまでの現実世界では出会わなかった人たちと特別な空間で出会う。
メタバースであれば、VR上の世界で出会う友達と遊ぶことで、現実のことを忘れることができ、
現実世界とは切り離したやり取りができる。
シェアハウスも同様に嫌な現実の人間関係を断ち、新たなコミュニティを作り上げている様子が見える。
過去と現在の壁=現実と仮想の壁。そういうメタファーとして捉えるのは現代っぽい、、、
と思ったが後々見ていくうちに考えすぎ&職業病な気がしてきた。
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さて、登場人物についてちょっと考えてみる。
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日常をドキュメンタリとして撮影する監督、および、Youtuberの存在。
これも、カメラの前にいるときと居ないときで人間はONとOFFを切り替える、ということを象徴したような存在にも思えた。
例えば、普段はおとなしい人でもカメラを向けられると意外と話す。
カメラの被写体になったときに人はどういう心理状態になるのか、という点が気になるところ。
芸能人でさえ、楽屋とスタジオで、OFFとONが切り替えられるという。
これも、カメラというメタファーを通してOFFとONの壁を切り替える、心理的な状況を切り替えるということを表現していると考えられなくはない。
が、これは考えすぎで、最後の主人公弟のPC操作に対する前振りだっただけかもしれない、、、
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次に思ったというか、思い出したのは大前研一氏の言葉、
人間が変わるためのもっとも無駄なのは「決意を新たにすること」であり、変わるためには以下の3つのことをする必要がある。
1.時間配分を変える
2.付き合う人を変える
3.住む場所を変える
このシェアハウスに移ってきた状況は、
・生活の時間の流れが変わる。つまり時間配分が変わっている(ブラック企業に勤めていた方などは顕著に、ゆったりとした時間の流れに。)
・シェアハウスに集ったメンバは、それまでの生活では出会うことが無かった人たちであるため、付き合う人は当然変わっている
・住む場所も山の中に代わっている
そう、この舞台設定は、それぞれの悩みを抱えた人間が変わるための十分条件を満たしているのだと思った。
結果、脚本家を目指していた方などは良い方向に生活が変わっていたのではないだろうか。
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一方、気になる点がある。
Youtuberがドラマに出るためにランキングをあげていた活動についてだ。
Youtuberの作品を昔の友達に見られて笑われた(?)ことが悔しくて、
ランキングを上げ、ドラマ出演を目指すという話。
これは他者比較によって自分の価値を上げようとする行為で、ここは幸せという観点では非常にいただけない。
また、当初からハイテンションの女性、突如本性として暗くなって、傾聴など出来ていないと素に戻る。
この両者に共通するのは、自己受容が出来ていないことである。(自己肯定では無く、自己受容。良い自分も悪い自分も認めること)。
ありのままの自己を受け入れる。今の自分が存在するだけでいい、出来ていない自分でも良い。
自己肯定するためには、まず自己受容が必要である。
この両者が、結局凹んだ人たちになったたままで終了してしまったため、
何かしら、今後の彼、彼女らの動きが気になるところ。
逆に、他者比較ではなく自分の道を切り開いた女性もいた。
大学への受験を目指して山で迷子になった(?)彼女だ。
自分のやりたいことが見えてきて、シェアハウスというある種安住の地から、未開の地に飛び出そうとしている。
ここで舞台の情報からは離れるが、慶応大の前野先生が因子分析で解析した幸せの4因子について触れよう。
これは様々な心理アンケート結果分析し、幸せを構成する主要4因子を見つけたという論文の内容になる。
なお、アドラーがいう共同体感覚などとも関連しているので、大きな嘘はないと個人的には思う。
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①自己実現と成長(「やってみよう」因子)
夢、目標、自分の強みを持ち、夢や目標を達成しようと努力する。
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②つながりと感謝(「ありがとう」因子)
多様な人とつながり、感謝する。
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③前向きと楽観(「なんとかなる!」因子)
物事を前向きに、また楽観的にとらえる。
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④独立とマイペース(「あなたらしく!」因子)
自分らしく、他の人に左右されずに、マイペースで生きる。
この観点でYoutuber、大学受験女性、ハイテンションガールとを比較してみよう。
Youtuberは、①のみ(被撮影者に対しての感謝の無さ、将来への不安、他者比較から②、③、④は低いのでは?)
大学受験女性は、①、②、③、④を一定程度満たしているのではないだろうか。(もちろん断片的な情報からの判断ですが)
ハイテンションガールは、①~④のどれを満たしているだろうか?どれも一定値以下ではないだろうか?
先に述べたようにシェアハウスは自分を変えられる3条件を満たす可能性が高い。
そこでの生活を続けることで、変化のチャンスはあるだろう。
今後の彼らに期待である(何を?)
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これらの観点を鑑みると、もっともヤバイのは主役の弟さんだ。
見かけ上は強気、うまくいっている風だが、実態はそれとかけ離れた姿。
(多分)自分自身を受け入れられておらず、自己受容も難しい状態。
自分自身に対して厳しすぎること、もしかすると、
父親から”兄と比較されて厳しく育てられた”ことで自己肯定しにくくなったのかもしれない。
そうなると、自分では低い評価と他者からは高い期待という自己評価の乖離により正常性を保てなくなる。
それが自殺の場所を検索するという行為につながっているわけだが、
本公演ではない現実世界でも「他人からの高い期待と、他人からの期待に応えようとする自分と、それができない自分」が揃うと、
「勝手に(無茶な)期待されて、達成できずに、結果的に自己肯定感が下がる」というループにはまる。
これはヤバイ。
今回の共催の「セーフティ自殺予防委員会」の視点として勝手に覗き見ると、
自殺を生じる要因として、
「他人からの高い期待と、他人からの期待に応えようとする自分と、それができない自分」
によって自分に無価値観を感じ、存在を否定されたと思い込んでしまい、その結果衝動的な行動を起こすことがある。
周りは良かれと思って期待しているので、周りは気が付きにくい状態なので、
周りの人は気を付けてもらいたい。(何様?)
(↑は、いじめなどの要因ではなく、自己アイデンティが未確立な場合に限定した話)
どうすれば危険性に気付けるかというと先ほど4因子の視点で周りの人を見てみればよい。
多分、それぞれの行動や受け止め方を出来ていない。
その場合には、幸せは伝搬するので、
先の「ありがとう」などを他者から声掛けする、「やってみよう」と繋がりを持つ。
本人にそのエネルギーが無いので周りがサポートすることが大事。
自殺評論家になってしまったが、そういうことを言いたかったのではない。
ただ、幸せの研究をする日立の矢野さん(ハピネスプラネットCEO)は、
「人間は幸せと不老不死を望む生き物」と説いている。
そういう意味では、どういう基準でも良いので幸せになりたいものである。
これは私個人の勝手な願望を書いているだけで感想でも何でもないですが。
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ただ、個人的には数年間仕事で追い込まれてたところもあって、(最近は働き方改革万歳)
主人公弟さんの気持ちに感情移入して終盤に涙腺が緩んでしまったのですが、
そういう状態に自分が気付く、他人が気付く、そこから脱出する、逃げることも選択肢の一つ。
人間の目標とは何かを考えることも大事なんだろうな、と。
いずれにせよ、私自身が何かを抜け出さなければならないときに、
この舞台を思い出せば、起こすべき行動が見える可能性があるのかもしれない、と感じさせられた。
まぁ、思い出すべき時は余裕がなくなっているので思い出せないんですけどね、きっと。。。。
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他の人もそう捉えることで、今の状態が当たり前じゃない、と思えれば変わる or 変えられることができると思う。
そうすれば、松原市としても開催して良かった良かったということになるのではなかろうか?
松原市の自殺者数を調べてみると、全国平均よりも数人は多い傾向にあるのか。まぁ、そこには触れないでおこう。
https://www.city.matsubara.lg.jp/material/files/group/24/2.pdf
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しかし、一切わからなかったのは、キュロットの歌の位置づけだ。
あれはどう解釈すれば良いのだろうか。。。
悩んだ挙句語源を調べてみた。
スカートといいながらも「構造はパンツと同じです」だと。
ダイバーシティ&インクルージョン? LGBTQ的な話か?
キュロットの謎は解けない。。。
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