兵庫県の斎藤知事は、公益通報者保護法に違反しているのか? 彼の何が問題か? | 館山市議会議員「石井としひろ」のブログ

兵庫県の斎藤知事は、公益通報者保護法に違反しているのか? 彼の何が問題か?

公益通報者保護制度は、全ての地方自治体にあるはずですが、日本は強烈なムラ社会ですから、誰も利用せずに眠っている制度というイメージがあります。

 

さて、兵庫県の斎藤知事に対して、内部通報者の職員に対する仕打ち、そしてパワハラと数々の疑惑があることに関して、政治的責任を問う声は大きく、兵庫県議会から辞職勧告決議が出される見込みであり、いよいよ詰みが近くなってきました。

 

支持率15.2%、不支持率66.1%なので、知事選で勝てる見込みがないというか、応援する人が少なくて選挙戦を戦う体制を作れないと思います。事実上の死に体です。つまり、辞職に追い込まれるか、失職で終わるかは時間の問題ということになります。

”支持しない理由として突出して多かったのは「人柄・人格が信頼できない」で70%を占めた”ということなので、もはや何を言っても無駄だと思います。

 

 

 

それで、本題なのですが、斎藤知事は公益通報者保護法の違反に当たるか?ということです。

 


【公益通報者保護法】

 
 
ポイントは「元局長が3月に行ったマスコミなどへの10件程度の外部通報に関して、斎藤知事が犯人捜しをしたのは、公益通報者保護法の違反に当たるか?」ということです。
 
まず、匿名の外部への公益通報者であれば、特定するための探索は法で禁止されています(法11条で規定する指針による)。一方、荒唐無稽のガセネタであれば、犯人捜しも違法ではありません。(そもそも、特定しないと真実相当性があるかわからないのに、探索は原則禁止という矛盾があるので、普通は犯人捜しはしない。しかも、通報者が亡くなっているので真相は藪の中
 
 
公益通報者保護法に定める「公益通報」に該当するためには、
・真実相当性(真実であろうことを本人が証明できる)
・刑法犯罪など第2条別表に定める違法行為である(全ての違法が該当するわけではない。例えば公職選挙法違反の犯罪は該当しない)
 
この2つがネックになり、該当するかしないか、意見は分かれています。ただし、専門家は該当するという斎藤知事への批判的意見が多いでしょう。公益通報者保護制度の数少ない専門家ということは、通報者の保護を充実させたいという精神で研究をしているからです。
 
 
私としては、?であり、グレーゾーンですが、どちらかというと違反には該当しないような気がします。法の不備とも言え、現在、所管の消費者庁で法改正も検討されています。
 
しかしながら、公益通報者保護法には直接違反せずとも、法の「理念」は内部通報者の保護であり、通報内容も一定の疑惑があることの問題提起であることから、公益性があります。そして、犯人捜しは、ギリギリ違法を免れたとしても、道義的・政治的に厳しく批判されるべきであり、政治家失格だと思います。
 
私も「人柄・人格が信頼できない」という世論調査の多数意見と同じです。
 
 
<参考>長いですが、2つの動画をじっくり見ました。百条委員会に出席した2人の専門家は、公益通報者保護法の違反として、犯人捜しを厳しく批判しています。

 

 

 

 

【9/29追記】

 

「真実相当性」を求められるレベルに見解の相違があると感じます。

 

名誉棄損の基準だと真実相当性のハードルはかなり高いものがあり、同基準で考えるならば、今回の兵庫県における外部通報は、公益通報者保護法の対象にはならないかも知れません。一方、名誉棄損の真実相当性よりも求められる基準が緩やかであるならば、公益通報者保護法の対象になるでしょう。