日本共産党は暴力革命を60年以上前に放棄したが、マルクス・レーニン主義は暴力革命
【このブログの内容を動画↑にしました。ブログより詳しくなっています】
9月10日のTBS「ひるおび」にて、コメンテータの八代弁護士が「共産党は暴力革命を捨てていない。これは政府見解だ」という旨の発言。その前には国民民主党の玉木代表が「共産主義は全体主義」と発言。炎上しました。この2名の炎上発言はもう沈静化していますし、2名とも共産党と事を構える気はありません。
共産党が暴力革命も選択肢なのかは、1960年頃から、すったもんだを続けています。政府見解は一貫して「暴力革命を捨てていない」というものですし、共産党も一貫して「暴力革命うんぬんはデマ」と反論しています。
<共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁見解:
公安調査庁>
https://www.moj.go.jp/psia/habouhou-kenkai.html
もともとマルクス・レーニン主義は暴力革命を要請しています。マスクスとエンゲルスが書いた「共産党宣言」という本には暴力革命が記載されています。資本家たちが利権談合の仕組みを張り巡らせているので、労働者たちが合法的・民主的に革命を起こすのは無理だという考えです。
戦前の共産党は暴力革命を目指していましたし、1950年代の共産党主流派も暴力革命路線でした。ところが、この路線は国民から非難され、当時の国会議員は全員落選。
その後、非主流派だった宮本顕治らが主導権を握り、暴力革命を放棄し、民主主義革命の路線に転換しました。ところが、「敵の出方論」という「基本的には平和的革命だが、時にはそうでない手段も選択肢。それは敵の出方による」という方針も発表。
この「敵の出方論」が暴力革命も選択肢としているという政府見解の根拠になっているわけです。共産党は「民主的に共産党政権になった場合に、テロリストが政権打倒を目論んだら、警察を使って鎮圧するでしょ。平和的な手段じゃないですけど、どの政権でも当たり前じゃないですか。敵の出方論は誤解されており、暴力革命とは無縁。誤解する人がいるので、敵の出方論という用語は使わないと決めた」と反論しています。
今後は使わないというのは結構だと思います。ただ、その理屈だと最初から「論」でも何でもないわけです。やはり、過去は暴力革命が選択肢だったのではないでしょうか。
「革命権」の議論です。国家が悪逆非道に陥った場合は、政府も裁判所も全てがグルです。ナチスのようになったら、革命もやむを得ないという理論は憲法学でもあります。ちなみに、自分は「憲法で海外渡航の自由は強く保障されているので、最悪の場合でも亡命すればよく、革命権は全否定」という考えですが、日本では革命権の議論は深まっていません。
でも、党員を見れば、暴力革命を目指している者は一人もいません。平和運動を長くやってきているので、暴力革命という発想すらありません。現状を見れば、暴力革命の可能性は「ゼロ」と言っていいと思います。
また、共産党の言うことも8割方合っています。2割くらいトンチンカンなのですが、この2割に関しては確かに議論にならないところがあります。
でも、良い面の8割を頑張ってくれればと思います。2割の変なところは、長い期間をかけてじっくり修正していけばいいのではないでしょうか。
共産党規約を見ると、「党の方針を外部で批判してはいけない」「上級機関には従わなくてはならない」「派閥を作ってはいけない」など言論の自由と集会の自由のなさが目立ちます。まずは、党内で民主主義革命を起こして欲しいのですが、無理そうなので、保守的に改革を進めていただければと思います。
【参考図書】
①共産党のことがよくわかります
②序文が素晴らしく、この序文で共産党の問題点は集約されています。
③宮本顕治リンチ殺人事件(傷害致死罪)が書かれています。
④元共産党職員の篠原氏の著書です。
⑤元共産党国会議員で、党内序列3位だった筆坂氏の著書です。