豪腕!明石市長。日本一子育てのしやすい街 | 館山市議会議員「石井としひろ」のブログ

豪腕!明石市長。日本一子育てのしやすい街

今日、兵庫県明石市の泉房穂市長の講演会がZOOMであったので、有料ですが聴きました。

 

 

その内容は大変興味深く、論評も必要だと思いましたので、このブログで取り上げてみます。

 

なお、ブログは私の独断と偏見を交えて書きますので、講演内容に忠実なものではありません。

 

明石市の泉市長ですが、

昨年3月、2期8年が終わろうという約2月前に、過去の職員へのパワハラ発言が発覚。録音が残されており、私もその発言内容を確認しましたが、擁護の余地はなく、市長本人も全面的に非を認めて辞職。

 

辞職にともなって、すぐ市長選挙なるわけですが、泉氏は再出馬を迷っていた時に市民団体に促され、出馬。バタバタな選挙、しかも、これだけの大チョンボをしたのにも関わらず、得票率70%で圧勝。勝手に辞職したので任期はわずか1月しかなく、また選挙。ただ、もう誰も勝負にならないので立候補者は他になく、今度は無投票当選という形になりました。

 

最初の市長選では大接戦だったのが、大失態で辞職に追い込まれた8年後は圧勝。地方選挙では、珍しく「政策と実績」が評価された市長選挙となりました。

 

明石市は人口が約30万人の市で、大阪や神戸に近く、住宅地であり、ベッドタウンです。そこで、子育て重視の政策を掲げ、子育て予算は2倍、職員数を3倍にして、取組みました。

 

産業政策に力を入れなかったことから、しばらくは経済界からの批判の嵐でした。しかし、数年後には、減り続けた人口と税収がV字回復。勢いは増すばかりです。

 

それに伴って商店街をはじめとする経済も好調になり、反対の声はほとんど聞かれなくなりました。

 

 

では、講演の内容を。

1 速いコロナ対策

(1)商店の家賃代を2か月分貸付。
後で、国から家賃を含む、様々な支援があると予測。ただ、それを待っていては遅いので、速やかに貸付。国から支援を受けたら返してもらう。

(2)学生への学費貸付。

これも速い。まずは貸す。その後に、支援については色々考えるという手段は有効。行政の遅さをトップダウンで解消。

 

2 ひとり親家庭への支援を5万円上乗せ

コロナによる学校休校で困るのは一人親。そのための支援。

 

【支援の詳細は以下の明石市のサイトにて】

https://www.city.akashi.lg.jp/anshin/anzen/coronataiyo.html

 

3 子ども食堂が市内に44か所もある。

中間支援組織を作って、市が補助金などで支える。子どもにほぼタダで食事を提供するので、絶対に赤字になるわけであり、ボランティアと個人の寄付任せだけ、行政の支援がないと潰れてしまうことが多いから。

 

4 子育てに無料が多い

(1)中学生まで医療費無料

(2)第2子から保育料無料

(3)中学校の給食費無料

 

ポイントは所得制限がないことです。高額所得者は無料にしない自治体が多いのですが、あえて高額所得者も無料にしています。おそらく、高額所得者の市内転入を狙っていると思います。

 

5 児童相談所を作った

明石市は、人口が一定規模以上の中核市なので、児童相談所を設置することができます。

 

 

注目点は国の基準の2倍以上の人員を配置していることです。なお、国の基準以上の財源は、市の持ち出しになるようです。また、弁護士を配置しているのもポイントです。

 

なお、一時保護所と里親センターも整備しています。

 

また、興味深いのは、2倍以上の人員がいるのに、多忙でバタバタだということです。つまり、全国でほとんどの児童相談所は、極端な人手不足で機能不全に陥っている可能性があります。

 

あと、専門的な人材を育てるための研修センターも設置しました。

 

明石市の打つ手を見ると、児童虐待問題と児童相談所の欠点を熟知していることがわかります。

 

6 離婚した片親が養育費を払わない問題への対策

取り立ての制度を作りました。合わせて、片親が子どもと会えない問題の対策として、市が面会交流の仲介に入っています。

 

7 無戸籍者の支援

何らか事情で親が出生届を出さなかった場合、その子は無戸籍になっていまいます。そうすると、行政の支援の対象から漏れてしまうわけですが、明石市では支援ができるように体制を整えました。

 

8 手話言語条例がある

市町村では、財政難から、耳が聞こえない人のための手話言語条例はなかなか作れません。でも、明石市にはあるのです。

 

9 犯罪被害者への支援と、加害者への更生支援

日本は被害者への支援が貧弱であり、加害者は前科者として居場所を失い再犯に走りがちです。その両者を支援するわけです。

 

10 図書館の充実

広さを4倍、本を2倍、座席を3倍にしました。子育て世代にとって、図書館は重要です。

 

 

これだけの政策を進めるには多額の財源が必要です。他の事業をかなり削ったようです。例えば、下水道工事費を4分の1にしました。そうすると、大雨時には床上浸水のおそれが少々出てしまうわけですが、避難訓練に力を入れ、万一の場合は補償を行うようです。

 

また、人員は他部署から大幅に子育て部門に異動させました。人事異動は4月だけではなく、随時行うのも明石市独特のやり方です。

 

でも、職員の全体数は減らしたとのことです。

 

 

明石市の取り組みはすごいことです。その一方で、既存の事業を大幅に削り、職員数も減らしたわけですから、明石市長はかなりの豪腕でしょう。色々、揉めたはずです。

 

ただ、人口増と税収増により、圧倒的な市民の支持があるわけなので、明石市長のやり方は正当化されます。

 

でも、私には何か見えない欠陥があるのではないかという不安も同時に感じます。