北宇治高校吹奏楽部の、ブルーのリボンの三年生、鎧塚みぞれと傘木希美のふたりに焦点を当てた「響け！ユーフォニアム」のスピンオフ作品。
とはいえ、スタッフが本編とはほとんど違うので、演出など雰囲気はかなり異なる。
物語の重要なエレメントである絵本パートは、本田 望結の棒読み演技も含め、京アニ作品というより後期のジブリを見ているかのような作画。
まあ、もともとそういうキャラなので仕方がない部分はあるのだけれど、それにしたってみぞれの台詞はほぼ聞き取れなくて困るなあ。種崎敦美の演技力には舌を巻いたが。
夏紀先輩がいい立ち位置での役で出ていて嬉しい。
優子先輩も部長らしくてとてもいい。
本編では部長としての責任感に押しつぶされそうになるような描写は割と少なめだったという印象なので、このピアノの周りでの南中三人のシーンはとても素敵だった。
久美子と麗奈が校舎の裏で第三楽章のみぞれとのぞ先輩のパートを敢えて吹くシーンはとてもいいねぇ。
というか、演奏シーンこそがこのシリーズの醍醐味だよなぁ、やっぱり。
そして、続くクライマックスの、みぞれの本気オーボエソロ。
これは一緒に演奏していて思わず泣いてしまう部員がいるほど凄まじかった。とんでもない名シーン。
全編に渡って、髪を触る仕草、揺れるスカート、立ち止まる足など、細かい細かい丁寧なシーンの積み重ねが印象に残った。
名作。
2023年8月