鶴丸から政次へ 大人になった関係性の中で
政次は“おとわ”だったころから
次郎法師の側にいて、
さり気なく支え、寄り添ってきた存在です。
おとわと鶴丸、そして亀之丞の関係性は、
幼なじみながらとても切ないものでした。
幼少の時代を演じてくれた
3人のお芝居を見たときに、
雰囲気がとてもすてきだなと感じました。
だからこそ僕が演じる政次にも、
その余韻を残せたらと。
鶴丸から政次が“地続き”に見えたらいい。
そんな風に思って演じています。
大人になってからも
3人をめぐる状況は複雑です。
また、政次が
政(まつりごと)に加わるにつれ、
小さいとはいえ一国の主である井伊家と
筆頭家老である小野家とでは、
「違い」を肌で感じることも
増えていくでしょうし。
表層に見えている部分と
本当の内なる部分――、
政次の心の流れの表と裏とを大切にしながら
演じていければと思っています。
“直虎”としてそこにいる柴咲さんの存在感
主演の柴咲コウさんは、
おとわであり、次郎法師であり、
直虎として現場にいてくださる方です。
でも普段は互いに、
何気ない会話ばかり(笑)。
例えばロケ先の浜松では、
棚田を見ては
「なんであそこだけ
少し稲の色が濃いんでしょうね」
「よく耕されて土がふかふかだから、
足がつかれませんね」
なんて、お芝居と関係ない話で
盛り上がりました。
僕はもともと演技プランを
ほかの俳優さんと事前に打ち合わせることは、
あまりしない方。
でも今回、偶然にも
ほかの皆さんもそういう方ばかりで
息もぴったりです(笑)。
井伊家も小野家も
ほどよい緊張感と心地よさのなか、
みんなで楽しみながら
お芝居をさせていただいています。
撮影に入る前にお墓参りのために、
龍潭寺に足を運ばせていただきました。
龍潭寺には、小野家代々の墓があるんです。
残念ながら、
「これが政次」とわかる墓はないんです。
でも、
井伊家ゆかりの寺の一角で
今もこうして大切にされているということは、
重臣として小野家がしっかりと政を営んだ
ひとつの証しだろう、
と感じることができました。
井伊直虎、ちょっぴり知ってました(笑)
実は僕、
この大河ドラマのお話をいただく以前から
井伊直虎という存在は知ってはいました。
戦国武将で、
女性でありながら「直虎」という
勇ましい名を名乗っていた人がいたんだ、
という程度でしたが。
ですので今回地元・浜松の“歴女”の方たちに
直虎にまつわる話などを教えていただき、
とてもためになりました。
大河ドラマは、
史実とフィクションが融合した
壮大な世界観を楽しんでいただくのが
醍醐味だと思うので。
森下佳子さんの脚本は魅力的です。
僕は連続ドラマの脚本だと、
まず第1回を読んだら第2回を読むまでに
少し間を置きたいタイプなんです。
「どんな風に演じようかしら?」と、
自分の役のところをなぞりながら読むので。
でも、今回は
まるで小説を読むかのように
一気にまとめて読んでしまいました(笑)。
それぐらい面白いです。
これまで「軍師官兵衛」(2013年)など
計4作の大河ドラマに
出演させていただいていますが、
これまでの大河ドラマ1作品1作品の
積み重ねが、
今回の「おんな城主 直虎」と
小野政次という役との出会いに
つながっている気がしてなりません。
僕も36歳。
5作品目となる大河ドラマの現場に
呼んでいただけたことに感謝しつつ、
演じながらその手ごたえを感じています。
今後の展開にますますご期待ください。