おんな城主 直虎・柴咲コウインタビュー | 芸術家く〜まん843

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意識が変化!

大河ドラマで主演させていただけるなんて
想像もしていなかったので、
はじめて出演のお話を聞いたときは
「本当に素晴らしい機会を与えられた」
という気持ちでした。
さまざまな年代の方が観てくださる
ドラマに出演でき、本当に光栄です。
それだけに、
これまで意識してこなかった部分も含め、
いろいろな物事を総ざらいして、
改めるべきところは改めなくてはいけないと
気を引き締めて撮影に臨んでいます。
また、せっかくこんな仕事ができるのだから
生かさないと、
あまり謙虚で引っ込み思案では
逆に失礼だなと思うようにもなりました。
いまはそんな風に意識が
変化している時期だと感じます。
撮影が始まってから最初の1週間くらいは
現場で猫をかぶっていたのですが、
ず〜っと気を張っているわけにはいかず、
2週間目くらいから素を現した感じです(笑)。
本番にすべてを注ぐために
空き時間はリラックスを心がけています。

物事の真髄が描かれた物語

『おんな城主 直虎』では、
新たな大河ドラマの一面を
作れる気がしています。
有り難いことに、努力しなくても
言葉が頭に入ってくるほど
台本が面白いんですよ。
感情の揺さぶりもきちんと伝わるので、
何回でも読み返したくなってしまう。
ですから、歴史ドラマに興味のなかった
同年代の人にも
受け入れてもらえるのではないでしょうか。
登場人物の感情や行動が
シンプルに描かれているのも魅力のひとつ。
「守りたい」とか「そうあるべきこと」に
理由はないですよね。
良いものは良いし、
ない方がよいことはない方がいい。
そんな物事の真髄というか、
純粋なものがきちっと描かれています。

群雄割拠の戦国時代を舞台に
描かれるドラマですが、
井伊家はそのなかでも
本当に小さな領主でしかありません。
現代に置き換えてみれば
中小企業のようなものです。
小国だからこそ芽生える狭間のつらさや、
乗り越えなくてはいけない壁に
ぶつかる場面は、
現代社会で働く私たちにとっても
共感できる部分です。
直虎は、
自分の信念や本心だけでは
生きていけない局面でも、
信念を曲げずに生きていける潔い人。
その生き方に憧れ、
私もそうありたいと思って演じています。

子ども時代のおとわを引き継ぐ

ドラマは直虎の子ども時代から
スタートしましたが、
なんと言っても序盤は
新井美羽ちゃん演じるおとわの、
かわいらしさと朗らかさが
魅力的に映るのではないでしょうか。
私も同じ人物を演じるので、
おとわとしてのあり方を
リハーサルなどで見せてもらい、
お芝居に生かそうと思っています。 
相手がどんな人物でも
真っ向から立ち向かっていく姿勢は、
引き継いでいきたいポイント。
また、泣いたり、叫んだり、驚いたりと
リアクションが大きいところも、
踏襲していくつもりです。
大人になってもそんなちょっとかわいい部分を
持っていられたらいいですよね。

それぞれの心情が
きちっととらえられた脚本ですので、
登場人物たちの心の内を
感じていただけると思います。
直虎も
「こういうリーダーがいたらいいな」と
思わせてくれる人物になっていますので、
楽しんでご覧いただければと思います。

似ている部分が多いと感じます

直虎は、
女性でありながら男性の名を名乗って
城主となった人物。
思考も行動も戦国時代を生きたほかの女性とは
かなり違っていると思います。
私自身、
いわゆる女性らしい性格ではないので(笑)、
似ていると感じるところが多いですね。
考える前に一歩踏み出してしまうような
直感的なところは、
まさにその似ている部分。
直虎は直感だけで勝負するのではなく、
行動しながらも
その場でグルグルと思考を働かせて
機転を利かせていくところが魅力です。

客観的な視点が求められる政治的な局面でも、
右脳と左脳をバランスよく
使った人なのだろうと想像しています。
憤りや怒りを見せるタイプだとは思いますが、
その表し方は決して
独りよがりな感じではなく、
感情的になりすぎない。
自分がどう生きるかよりも、
周りがどう潤って豊かになるかを考える。
そんな風に他者を思いやる気持ちが
根底にあるところも素敵だと感じますね。
自分を犠牲にしても
皆のためにと考える直虎が、
城主として様々な困難を
どう乗り越えていくのか、
興味を持っているところです。

イメージは年齢不詳の人物

奥方になって子を産むのが
当たり前だった時代に、
城主となった直虎。
型にはまらずに生きた人なので、
いくつになっても
年齢不詳だったのではないかと
想像しています。
最初は出家の身ということで
白い頭巾をかぶっていて
大人っぽく見えるのですが、
その後、城主になると
おかっぱ(尼削ぎ)で
ちょっと若返ったりもする。
外見もエイジレスな雰囲気なので、
年齢にとらわれずに演じられるといいですね。
見た目で年齢を表現するより、
どういう信念や志を持って
生きたのかを存在感で
映し出したいと思っています。

衣装は袴と着物に打ち掛けを羽織るスタイル。
その組み合わせがとても新鮮なんですよ。
城主という立場、
女性ならではの着眼点、
中性的な生き方の
すべてが合わさっているような気がしています。
動きやすくて、
私の性分にもぴったりです。
お芝居でも
お姫様らしからぬ行動的な場面が多く、
楽しくてしかたがありません。
衣装もどんどん汚しをかけられるので、
「着物がもったいないな」と思いながらも、
とても楽に
お芝居させていただいています(笑)。

魅力的な笑顔が共通点

幼いころから培われた
おとわ、亀之丞、鶴丸の絆は
物語の核となる部分。
でも、幼なじみが揃うシーンは
実はそう多くないんです。
そんななか、浜松ロケで
3人の場面が撮影できたのは良かったですね。
一緒に時間を過ごすうちに
打ち解けてお話もできるようになりました。
亀之丞を演じる三浦春馬くんは、
笑顔の似合う好青年。
実直な感じが役にぴったりです。
あの笑顔があれば
何年か生きて行けそうな感じがして(笑)、
おとわもそうだったのかなと思わされます。
それが見られなくなった絶望よりも、
またきっと見られるという希望を繋いで
10年待てるほど、
そして再会できたときの喜びが
違和感なく理解できるほど、
すてきな笑顔なんですよ。
高橋一生さんは
本当に役柄そのまま。
最初は表情が読み取れなかったのですが、
実は春馬くん同様、
すごくすてきな笑顔をお持ちの方です。
その笑顔の効果は絶大! 
普段とのギャップも手伝って、
一瞬にして癒やされてしまいます。
政次役ではなかなか笑顔が見られず、
もどかしい所ではありますが、
ときどき表情がゆるむのを
垣間見られるのでポイントかなと思います。
おふたりが
亀之丞、鶴丸を演じてくれることで、
彼らとの絆を心の支えに
長丁場の撮影を
続けていけそうな気がしています。