2019年12月10日:投げ釣りエジソンズ | たっくう投げ釣りと日々

たっくう投げ釣りと日々

大好きな投げ釣りと、日々の忘備録です。
最近物忘れが激しいのであります。

前の日記を書いていた時にも思ったんですが、釣り具メーカーだって企業ですから、自社の発明は特許で守らなければなりませんし、商標を登録する事だって必要です。

 

僕自身メーカー勤め故、富士工業の民事訴訟はすごく共感する部分がありますね。

 

 

ためしにこのJ-PlatPatで「投げ釣り」と打ち込んで検索してみると、特許・実用新案で351件ヒットしました。商標に至っては一体何件あるのかわかりませんが、ちょっと調べただけで、「サーフライダー」なんてのが登録されているのがわかります。ありそうでないですよね、サーフライダー(^-^)。。耳ざわりはいいけど、「サーフゲイザー」と同じくらい意味が判らないです。そういや昔、リッチー・ブラックモアズ、レインボーにスターゲイザーって曲があったなぁ。

 

特許の方も、351件全てチェックするわけにはいきませんが、ながら見でも結構面白いです。暇つぶしには最適ですよ。

 

例えばこれ、現行振出スピンパワーを持ってらっしゃる方は何なのかわかりますよね。竿を仕舞う際、元ガイドにダメージを与えないように工夫されたストッパーリングです。こういう、ちょっとしたアイデアもちゃんと登録して知的財産を保護しないと、発売翌月には海の向こうでマネされますからね。まぁ特許で守ったって、彼らにゃ関係ないんですけど、やらないよりは何倍もマシです。

これもそう。こいつを知らないキャスターはいないと思います。ちょっとしたアイデアですが、今やこのトップカバーなしに振出投げ竿は成立しません。

 

上の二件は流石に有名メーカーが製品化しているだけあって、添付された図面なんかも非常に精密なものです。アイデアだって単純だけど今までどこにもなかった、なるほど!と膝を叩くような発明が多いですね。

 

さて一方で閲覧していて面白いのはこうしたメーカー特許じゃなくて、一般の(多分)、といいますか市井の(おそらく)方の特許申請です。もうね、夢がいっぱい詰まってますよ。見てると時間を忘れてしまいますね

(^-^)。

 

◆夢のオモリ派

 

①投げ釣り用滑空天秤おもり

一番多いのはこういった羽根の生えた天秤ですね。より遠くまで仕掛けを運ぶために、様々な形状が登録されています。①の解説には「飛行軌道に滑空部分を付加することで緩やかな放物線軌道を飛行するようにした」とあります。ほんまかいな。

 

②飛行体型投げ釣りおもり

これもそう。ここまでくると、もう釣りしなくてもいいんじゃないかと思います。解説には 「おもりを空中で滑空させることで、仕掛のからみを防止し、飛距離が増す投げ釣りおもりを提供する。」とあります。加えてこの翼、形状がかなり凝ってまして、素材が鉛じゃなかったら、本当にかなりの距離を稼ぎそうですよ。

 

次に多いのが根掛かり回避、あるいは軽減オモリ(天秤)です。やはり投げ釣りを続ける限りにおいては、永遠の困りごとですよね。

 

③根掛かり防止アーム付ジェット天秤

この深海に生息する原始クラゲのような天秤は「根掛かり防止アーム付きジェット天秤」です。何といっても特許の申請に堂々と「ジェット天秤」という商品名を使っちゃっているところが凄いです。僕が確認した限り、富士工業は「ジェット」や「デルナ―」は商標登録していますが「ジェット天秤」は登録できていないようですね。だけど「ジェット天秤」は富士工業のもの。普通ならそう考えて遠慮するけどなぁ(^_^;)。

 

あ、耐久性にはいささか懸念がありますが、根掛かり防止効果はかなり有望じゃないかと思います。発想は根掛かり防止スパイダーに近いものがありますよね。

 

◆投げ釣り機械工学派

 

④極限まで遠投距離を伸ばせるスマート両軸受リール


このタイトルを見るだけでは何事かと思いますが、つまりベイトリールにラインを送り出すモーターと各種のセンサーを装着した、夢の超遠投用リールの発明です。イラストから推察するにトップガイド部にも「速度計」が装着されているなど、実用性はハナから無視されてます。ちょっと長いですが解説文を引用しますね。

 

両軸受リールにスプールの回転による摩擦抵抗を無くし、遠投距離を飛躍的に伸ばす。その方法としては、ライン放出スピードを速度計1,2,3で計測し、そのスピードと同調させる様にスプールの回転をアシストする送り出し用モーター5を配置して、スプールの重みによる抵抗が一切掛らない様にし、またリールからラインを放つタイミングを引張力計9で最大応力を検知し、遠投力のロスを発生させずにラインを放出させて、竿の動くスピードを計測する加速度計10で竿の振切る最高速度を検知し、角速度計11によって竿の放射角度が頂点を少し超える最適角度でラインを放出(リリース)して、人口知能による複合的な判断で最大遠投力を得る仕組みである。

 

もの凄く緻密な設計なのかと思ったら、突然最後に「人工知能」が出てきて「複合的な判断」をしてくれるそうです。なんてテキトーなんだ。大好きだぜ。

 

◆投げ釣り否定派

 

投げ釣りをやるには、まず仕掛けを投げなければ話になりません。もっとも「仕掛けを目指すポイントへ投入する」というテクニックは投げ釣りに限らずどんな釣りでも重要で、むしろ遠投力がある分、投げ釣りはそのあたりの確度がいい加減というか適当なところがありますよね。

 

だからこの「投げる」という所作に価値が見いだせない人は、投げ釣りなんか絶対やりません。

 

さて、以下にご紹介するのはその投げ釣り固有の技術取得を簡略化しようという発明です。簡略化しちゃうと、もはや投げ釣りなんか面白くもなんともないのですが、おそらくこれらは投げ釣りをやらない人による投げ釣りの発明なんじゃないか、と思ったりしますね(^_^;)

 

⑤投げ釣り補助具

これは一体何だ?と解説を読んだところ、要するにキャスト時にラインを開放するタイミングを適正化するための補助具なんですね。

首に掛かっているヒモの先にピンが付いており、キャスティング時にピンが抜けるとラインが解放される、つまりいつでも最適なタイミングでラインをリリースできる、という発明です。

これを装着することによって「使用者はもっとも適切なタイミングで釣糸を投げることができるようになり、この開放のタイミングを本補助具の使用によって学び、いずれは補助具なしでも釣糸を遠方に投げることが可能となる。」。。「いずれは」だって。

 

⑥投げ釣り竿用、引き合わせ装置具

アタリがあると光や音で知らせてくれる、ヒットセンサーは色々な種類が市販されていますが、この発明はさらにそこから発展して、「アタリがあると自動でアワセを入れてくれる」という発明です。

 

従来、魚がエサをくわえて、糸を引くと、竿がしなって、釣り人が、竿を強く引いて、釣り針を魚の口に引っ掛けていた。」のであるが、この発明によりそのプロセスが不要になるそうです。もう投げ釣りがキライになりそうです

( ̄▽ ̄;)。。。

 

そして今回最後にご紹介するのがこれ。衝撃の発明です。

 

⑦投げ釣り発射機

これはですね、投げ竿にこの器具を装着し、仕掛けをセットするんですね。で、引き金を引くとバネの力でオモリがビヨーーンと飛んでいく、という「発射機」なんです。この発明の何が凄いかって、とうとう投げることを否定してしまっておりますね(゚Д゚;)。。

 

発明の趣旨は妙に説得力があって、曰く「海釣り公園などでは竿を振りかぶらなくてはいけない投げ釣りは、事故に起こしやすいということから禁止されているところが多い。なのに竿を振りかぶらなくても投げ釣りを楽しめる器具は皆無である」と。

 

僕みたいな凡人は、じゃあ人の迷惑にならない場所で釣ればいいじゃん、と考えてしまうのですが、発明家は「その狭い中でどうやって投げ釣りを楽しむことができるか?」という発想に至るわけなんですね。

 

以下は引用(原文まま)です。

 

【発明が解決しようとする課題】投げ釣りは遠くへとばさなくては意味がない.ところが老人、女性、子供、及び虚弱体質者等にとってはこれが仲々困難で一般成人男子の半分からせいぜい三分の二程度しか飛距離がでず、あたら釣果を逸しているのである.本発明はこれらの欠点を除くためになされたものである。

 

んー。。なんか極めて大きな勘違いがあるように思うのは僕だけでしょうか。とは言えこの発想はざん新だ。。。。使いたくないけど。