7/31(土)、ビルボードライブ横浜「石垣優(ex.やなわらばー)First Live」。やなわらばーの石垣優さんの初ソロライブ(Cho.今井里歩さん)に行って参りました。

 

 

石垣島出身デュオ「やなわらばー」でメインVo.を担当した石垣優さんが、仲間である東里梨生(あいざとりお)さんの活動休止に伴うソロ活動の皮切りとなるこのライブ、7/31はビルボード横浜で、8/8はビルボード大阪で各日2回公演。その初日の第1回目(昼公演)です。

 

 

7月初旬に今井さんのTwitterで石垣優さんのライブに参加しますとの投稿を観て、『なに!やなわらばーの石垣優さん!!!』と驚きを隠せませんでした。2019/12に自分の推しアーティストが代官山にて「やなわらばー」のライブのO.A.(オープニングアクト)で出演するということで観戦した経緯があります。どちらも凄いことですが、この推しの「やなわらばー」繋がりに何というか、凄い偶然を感じました。どういった経緯で参加となったのかは知る由もありません。最近今井さんのCho.参加で他のアーティストの配信ライブを拝見しているのでその実績が伝わったのかもしれません。とにかくこのライブに行こうと、自然とその気になりました。

 

 

ビルボードライブ横浜は、みなとみらい横浜の『馬車道』という駅のすぐそばにあります。この辺りはちょっと海沿いにはランドマークタワー、横浜港のレンガ倉庫や観覧車、少し歩くと山下公園・マリンタワーなど、横浜ならではの場所です。馬車道は昔で言う桜木町あたり、貨物線や金融や外国の商社など、貿易とビジネス街という印象があります。

 

 

ちなみにビルボードライブ横浜には直結した形で伝統あるレンガ造りの歴史的建造物「帝蚕倉庫株式会社」があり、新旧一体となった街づくりがなされています。

 

 

ビルボードライブ横浜の入り口には石垣さんに贈られた花が飾ってあり、ソロライブ開催祝いに華を添えています。この感染拡大の状況の中、消毒、ディスタンス、入場規制については厳格で、さすがビルボードと感じました。こんなゴージャスな場所は一度来たかったので貴重な経験です。

 

受付を済ませ、ステージは横に広い平面、少し段が下がった1Fの中央客席、周囲を囲むカウンター席・ソファー席、2階席。中央客席は4人掛けテーブルが主体と、食事を楽しみながらライブが鑑賞できる配置です。イメージとしては渋谷JZBlatかという印象。自分はホール的な設えかと思いまして全く予想が外れました。おおっこれがビルボードか!って感じ。

 

※なお、会場の写真はすべて開演前の撮影で、実際の開演後の様子は異なります。

 

客席は満席となり、開演時間です。上の写真、照明が輪のようになっていますが、いざ開演となるとこの光の輪が全部持ち上がって天井にまとまり消灯します。さすがの会場です。

 

メンバーはPf.山本隆二さん、Ba.鹿島達也さん、Gt.石本大介さん、Cho.今井里歩さん。石垣さんはVo.と曲により三線を演奏します。Pf.山本さんは他に鍵盤ハーモニカやシンセ、Ba.鹿島さんはウッドベース、Gt.石本さんはアコギやエレキを担当します。さあ、開演です。

 

 

舞台の左、客席側からメンバーが先に、石垣さんが後から入ってきました。以下セットは歌詞を聴きとりメモして判別した曲名であり、実際とは異なるかもしれません。

 

<セットリスト(推定)>

1)モーカバナ

2)拝啓〇〇さん(TVドラマ「エラいところに嫁いでしまった!」主題歌)

3)夏空の下(清涼飲料水「CHOYA 夏梅」(チョーヤ株式会社)CMソング)

4)夢語り(未発表曲)

5)Lovin' You(Minnie Riperton)

6)さくら色(未発表曲)

7)じーちゃんとギター

8)またね

 

1)「モーカバナ」 冒頭は石垣さんと今井さんの2声によるハモから入り、三線の音色が当地ならではのサウンドを奏でるじっくり聴かせる曲です。「モーカバナ(舞香花)」とは石垣島で自生する樹木で、羽毛のような花を咲かせる、地域の貴重な保護生体です。曲も、島に聳え立つ一本の樹、という堂々としたバラード系で、石垣さんの節回しが凄く、ホイッスルボイスが透明で神聖さが漂います。石垣島に行きたくなってしまう。

 

2)「拝啓〇〇さん」はテレビドラマの主題歌になるほど有名な曲。楽しくウキウキするような曲で手拍子がたくさん響きました。

MCでは、これからソロとして活動する意気込みを語り、メンバー紹介です。Pf.山本隆二さん、Cho.今井里歩さん、Gt.石本大介さん、Ba.鹿島達也さん。そうそうたるメンバーです。

 

3)「夏空の下」もCMソングに抜擢された曲で「やなわらばー」の注目度が伺える曲です。優しく歌う石垣さんのボーカルの上に今井さんがハモる。シャープな石垣さんの声質を包み込むようなまろやかな今井さんのCho.はマッチする。輪唱で繰り返すところも含め、息もピッタリで素晴らしかった。

 

4)「夢語り」は未発表の曲。『1・2・3、1・2・3・・・』のタイミングから入る3拍子から入る軽やかなアコースティックな爽やかさ。夢・祈り・自分らしさをテーマにしているように感じました。お客さんは皆、しんみりと耳を傾け、聴いている様子(メモを取ってるのは自分だけでしょう)。

 

 

5)「Lovin' You」はミニー・リパートンのカバー曲。色々な人がカバーしている可愛らしい曲ですが、何よりも高音で石垣さんの声質にぴったり合う曲です。

 

6)「さくら色」も未発表曲。春の知らせが柔らかく訪れ、遠くのあの人の声が楽しく聞こえ切なく。。。桜はもう咲き乱れ、薄紅色を両手拡げて、二人で観ていたいよ 呟く空に融けてゆく。清らかな石垣さんの声と今井さんのハーモニーが美しい。今井さんがVo.を取るフレーズがあったり、自分的には おおっ!としました。最後のサビ ”桜を見上げるときにすこしでも思い出して あなたの未来を支えて行ける思い出になりたい~” 石垣さんの伸びるボーカルと切ない声が心を打ちます。

 

7)「じーちゃんとギター」はお客さんからのリクエストで最も多かったナンバー。戦争の痛ましい記憶の中、おじいちゃんの弾いたギターの存在が印象的です。 ”じーちゃんは窓の外ずっと眺めてる ウージー揺れる向こう側の海 眺めてる~ じーちゃんは昔、戦で島を旅立つとき ギター1本抱えながら、見知らぬ国へ行った つらい毎日の中で 生きること歌うため 空からは灰色の雨が降ってきた 繰り返される過ちにただ流されて 命が失われていく姿を見つめてた 友がこの世を去ってしまったとき、泣きながらギター抱いてた ずっと会いたがっていた母の歌を歌っていた~ ~もう二度と見ることができないお前をお忘れないよ 最後にほほをつたった涙は消えていった じーちゃんの孫に生まれ私は歌っている じーちゃんが守り抜いた命繋いでる 生きている奇跡 生きてゆく儚さずっと歌い続けていたどんな辛い時だって諦めずっと諦めずギター弾いてた~」沖縄という悲しい地域を歴史に系譜していないとこの歌詞や音楽性は表現できない。心の底から戦地へ赴く家族を思った名作です。

 

8)「またね」は最後にやなわらばーとして発表した曲。”離れてもまた繋がってゆく そんな話信じてるよ 一番大切なもの なにも変わらないからね 青いこの空へと飛び出す~たとえひと時分かれたとして紡いだ言葉この胸に生きてく~” ”いつからか同じ夢を見た、終わりは次の始まり 二つの先に待ってる幸せ ただ一言またねと君へ離れても離れ離れじゃない いつまでも輝き続けるよ~"  相方の新里さんのことを思って作った曲ですね。”君のそばでずっと生きてゆく~” やなわらばーはまた帰ってくる、そう実感する曲でした。

 

 

客席の拍手も暖かく、石垣さんファンの人間味の在り方を再認識しました。割と自分はリズムに乗って音楽を楽しんでいる姿勢でしたが、周囲ではそういう動きはなく、ただただ、石垣さんの音楽に魅入っている、と言う印象でした。かりゆしシャツを着たファンの人もいたりして、昔からのやなわらばーや石垣さんをファンとして慕ってる雰囲気が伝わりました。

 

En1)たまゆらの祈り

En2)光をここに(新曲)

 

アンコールは「たまゆらの祈り」。 ”いつか来た道は 春夏秋冬 どんな君がいようと咎めない 寂しい過ちに優しい花を 捧げるより祈るから どうか笑って。。神聖に輝かしい石垣さんのボーカルが光ります。 ”すべてが流れても祈り歌ってるよ めぐり逢えるように。。。” 石垣さんの泣きの入ったボーカルが泣けます(たぶん沖縄の人だともっと泣けるはず)。

 

ラストは「光をここに」という新曲をPf.山本さんとVo.の2人で。沖縄から上京した石垣さんは地元の様々な惜別に立ち会えず、そんな思いが凝縮して作られたいくつかの曲の1つです。 ”最後の言葉覚えてる あなたの声少し切なくて あれから今日までずいぶん経って 話しいことたくさん増えたよ~” ”ずっと忘れたくない 声も手紙も返しきれない愛も ごめんね わがままばかりで影を責めてもう一度 会いたい~ 今日も私をどうか見ていて あの頃みたいに笑っていて 晴れ渡る空 あふれてゆくよ あなたが残した優しい光 あなたの笑顔は今もここに。。。” 泣けるバラードでした。石垣さん渾身の素晴らしいステージでした!

 

今井さんTwitterより

 

 

素晴らしいライブでした。石垣さんの石垣島出身独特の歌いまわしやふるさと石垣島への思いを詰めた歌詞、そして誰もマネできないホイッスルボイス。曲によっては長年の仲間だった東里さんへの想いも随所に現れます。アコ編成でPf.もBa.Gt.とも石垣さんのボーカルを後押しすべく素晴らしい演奏でした。そして何と言ってもCho.の今井さんの存在が大きい。石垣さんの繊細かつ力強いボーカルを柔らかく包み込むような声。このミックスが最高です。今井さんは近年は声質を太いほうに変えてきているので今回はそれがメインVo.とのマッチ感が非常に強かったです。上ハモ・下ハモとも主役を支えるように歌う。決して突出しない。『声のディフェンダー』として存在感は凄かったです。これをきっかけにボーカルの仕事が更に増えること、願っております。声の専門家として、今年からの活躍は目覚ましいものとなっております。もっともっと素晴らしい音楽を続けてくれるように願っております。