『落下の王国 The Fall』 (ターセム 2008年)
なんともへんてこなストーリー。でも、このへんてこさは好き。
映画って、本来、こういうものだったんじゃないかな。
現実と現実をつなぎ合わせて、ファンタジーを創る。
そういう意味で、映画の底力をショッキングなほどに思い知らせてくれるパフォーマンスでした。
CGだらけの映画の中で、今の時代、ホンモノにこだわることが、どれだけ勇敢か。
「夢は世界を駆けめぐる」って言葉のように、国籍不明で、でもどこの子供でも想像しそうな冒険物語。
それを現実の映像からおこしていく、映画は究極の大人の遊びなのかもしれない。
いろいろな世界遺産を舞台に物語は進行していくけれど、ちょうどいい具合に自然遺産と人工建造物が混ざっていたのが印象的だった。宮殿と砂漠、珊瑚礁みたいに。
動物や精霊や火の役割の割合も、人間一辺倒じゃない世界観が感じられて、さらにスケールを大きくしていたように思う。
冒頭の音楽と絵のような映像からして引き込まれる。
そう、なんだかどこかにお手本となる絵があって、それに似た風景を撮っているような感覚。
いやがうえにも高揚させられる音楽は、いったい誰だと思ったら、オゾンやデプレシャンでも起用されているレヴィ。どうりで。
技術を駆使して、映像の限界に挑むのもいいけど、こういう映画の原点を掘り下げる、映像美とイマジネーションと音楽で映画の本質に迫っていく、こういう作品をもっともっと観たいな、と思った。
あたりまえでないことが起こっても許される映像の世界。
そんな夢のゆりかごでまどろめて、よかった。
