先月はニュージランドとイギリス・オランダに二度の海外出張がありました。

 

一年半前のポストコロナに入ったあたりから、香港・シンガポール・米国・ドイツ・オランダ・イギリス・ニュージーランドと海外出張を再開していくつか感じた事があります。

 

一つはポストコロナ禍において世界的にインフレが起こり、人手不足はユニバーサルプロブレム(万国共通の問題)化している事。

 

インフレと人手不足は長期トレンドとして考えられており、農業大国である米国・オランダ・ニュージーランドなどではテクノロジー(AI・ロボットなど)による省力化に一層アクセルがかかっているように感じます。

 

たとえ人件費より同等あるいは多少のコストアップになっても自動収穫機・ロボット梱包機などのテクノロジーの導入へ踏み切る。欧州の企業を視察した際は、そんな不退転の覚悟を感じました。

 

農業は典型的な労働集約型のビジネスモデルとして歴史を歩んできましたが、大きな転換期に差し掛かっているのもしれません・・・。

 

二つ目は日本の農業界に大きなチャンスが来ている事。

 

以前にも述べましたが、いまや日本が世界の生産・貯蔵拠点としてオフショア化している感があり外資から大型の投資が増えています。TSMCなどの半導体メーカーが象徴的な例ですね。テック企業のデータ-センタ-もそうでしょう。

 

なぜ日本に投資が集中するのか?為替の影響も大きいですが、相対的に人件費や物価が安く治安がいい。街はきれいで勤勉な国民性もあります。そして台湾有事の際に難を逃れる地政学的なアドバンテージもある。

 

日本の農業界にも国産回帰の追い風が吹いています。問題はこの国も深刻な人手不足にある事ですが、その点をテクノロジーの代替によりうまくカバーできた企業こそが競争優位に立てるのでしょう。

 

三点目は日本の食ビジネスが自身の想像以上にアジア市場に進出している事。

 

スーパ-などの小売店や日本食レストラン・ラーメン店だけではない。CVS・外食産業・菓子業界などの大手企業なども出店攻勢をかけ着実に販路を拡げています。

 

インバウンドの旅行者に日本食は絶賛されていますが、私もファーストフードや菓子なども含め日本食のクオリティーは高く国際競争力があると考えます。

 

日本の食ビジネスが海外で成長発展していけば、我々にもそのエコシステムに入るチャンスが出て来ます。

 

最後にビジネスとは関係ない余談ですが、”隣の芝生は青く見える”という事。日本だけではない、どこの国もそれぞれに問題や苦しみを抱えています。

 

最近、株式市場やインバウンドの活況などで日本社会に対する明るい話題が増えてきましたが、まだまだ日本の現況や将来に対するネガティブな見方が多いように思います。

 

私はずいぶん前から日本社会に蔓延するネガティブ思考に嫌気が差していました。いろいろ問題があるのは承知しているが、あまりに自信喪失がすぎるのではないかと。

 

経済が好調の米国は分断と格差で混乱は続いています。かつて全世界の憧れの街であったサンフランシスコのスラム化はその象徴かもしれません。ダウンタウンの治安は相当に酷い。

 

しかし、国難を救う新しいヒーロ-は未だ出ず。前回より更に老いた者同士の再戦劇(大統領選)に醒めている国民が多い気がします。

 

ドイツやイギリスも人口減少と高インフレに悩んでいる。移民との格差問題も大きい。南国の楽園に見えるニュ-ジランドも景気はぱっとせず外需頼みで中国経済の失速など外部環境の変化に常にナーバスになっています。

 

不肖、私の分析や見方が正しいかどうかわかりませんが、確信をもって言えるのはどこもいろいろあるという事。日本だけがおかしいわけではなく、我々は自国にもっと自信を持っていいと思います。

 

・・・とかなりとめどないダラダラの文章になりましたが、海外に出るとやはり視野が拡がりいろいろな気づきや発見があります。また物事を客観視できる力を養えるのではないでしょうか。

 

そして我々農業ビジネスに関わる人間にとり先行する様々な取組みを学ぶ貴重な機会であります。