不肖、私はアメリカンチェリーのビジネスに30年取り組んできましたが、今年は過去最悪とも言えるシーズンとなっています。
低温と降雨でカリフォルニア・ワシントン・オレゴンと全ての産地が不作という前代未聞の悲惨ともいえる状況です。
また、不作に加えて運送費などの経費上昇と円安で現時点で例年の2倍となるとんでもない価格がついています。
嗜好品であり季節品でもあるチェリーは価格が高いと棚からはずされるだけ。販売市場は大幅に縮小し売れ行きもさっぱりです。
”作柄”や”市況”にはどうにも勝てません。
こういう環境下で我々がすべきことは二つあると考えています。一つは粘り強く少しでも数字を積み上げていくように努めること。
どうあがいても予算達成は不可能な状況ですが、それでもゴールに少しでも近づくよう尽力してこそプロフェッショナル。
もう一つが来季以降に向けて成長の種を蒔いておくこと。その成長の種の一つが当社のプライベートブランド(以下PB)である『桜宝』です。
『桜宝』はワシントン産レーニアチェリーのプレミアムブランド。色回り・サイズなど高品質のスペックを定めています。
どれを食べてもはずれがない『美味しい!』と感動してもらえるような商品を作りたいと考えています。
弊社はこれまで良い園地・生産者を囲う事で商品供給の優位性を高めてきましたが、今年はさらに踏み込んで生産者とコラボで商品開発に取り組みました。
サプライヤーとの共同作業は決して順調ではなく道中擦り合わせにいろいろな苦労がありました。まだお互いに納得出来ていない部分も残っています。
しかし、これから何度も修正・改善を加え3年ぐらいの時間軸で商品の完成度を高め『桜宝』というブランドの認知を拡げて行きたいと考えています。
話が変わりますが、現時点においてコロナ禍は収まる気配がなく、戦争の終結も見えません。そして歴史に類を見ないほどの全世界的なインフレが続いています。
我々を取り巻く外部環境はまさしくVUCAというべき足元も不安定で先行きもまた不透明な状況です。
こういう時こそ時代や環境に関係なく人々から求められる、謂わば普遍的な価値をもつ商品を作らなければなりません。
そこで青果物、とりわけ果物における普遍的な価値とは何か?・・・まずは”食味(美味しさ)”と”健康効果”でしょう。
そして”外観(美しさ)”も感動を創出する重要な商品価値だと思います。
チェリーは三つの価値全て揃えている貴重な果物だと思うのです。
この事が『桜宝』ブランドひいてはチェリービジネスに当社が、そして私が大いに情熱を傾ける理由です。
当社は昨年からオンラインショップ(YAO EXCELLENT)を立ち上げましたが、夏のギフトで最も人気があり、最も喜ばれるのがチェリーです。
一方、チェリービジネスにも大きな弱点があります。今期に象徴されるように業績のボラ(浮き沈み)が大きい事です。
従って看板商品と言いつつも売上など事業ポートフォリオ上に占める割合は10年前の半分以下となっています。
それでも我々はこのビジネスの覇者を目指していきたい。なぜなら食の企業として人々に感動と喜びを与える存在であり続けたいからです。