著者である横川竟氏は、スカイラ-ク創業者(横川家4兄弟)の一人で外食産業の発展に大きく貢献された人物。 現在はスカイラ-クグル-プから離れ、外食産業の人材作りを目的した、”きわむ元気塾”の社長ととしてご活躍されています。

実は、横川社長には2月にお会いできる機会がありました。 東京オフィスのスタッフの元上司というご縁にてランチをご一緒させて頂きました。  
   
横川社長は私の父と同世代の75歳と高齢にありながら、バイタリティ-に満ち溢れた大変魅力的な方でした。 スカイラ-ク時代、商品開発で世界中を飛び回っていた話など、成功談は謙虚な趣きで、失敗談はユ-モラスな語り口で話相手を飽きさせない・・・・しかし、私のような小僧が話すときでも熱心に耳を傾けて頂き、同氏を慕う人が多い理由がわかった気がしました。 

横川社長は外食産業の衰退に憂いを感じています。 外食産業は97年の29兆円をピ-クに、11年には23兆円まで縮小しています。 縮みゆく外食産業の中でとりわけ、客単価¥1000~¥1200に位置するファミリ-レストランは苦境に立たされているようです。 


ファミリ-レストランの不振は最近10年ぐらい低価格戦略を重んじ過ぎたために、商品・サ-ビスの改善が停滞してしまった・・・しかし、その間、食品加工メ-カ-の技術力が著しく向上し、ス-パ-マ-ケットに並ぶ商品を家庭でひと手間かけるだけでファミリ-レストラン並みの料理が作れるようになった。 


家庭で簡単に安くファミリ-レストランと同等の味を楽しめる・・・つまり、ファミリ-レストランの存在意義が薄れてしまった事に衰退の原因があったと同書では述べられています。


横川社長によるファミリ-レストラン復活への処方箋は、まずは、MD力(商品力の)向上・・・・家庭ではできないレベルのメニュ-開発を行なう。 そして、現場主義を徹底する。 社内FC(フランチャイズ)制度にて店長に仕入れやメニュ-開発等の権限を大きく与え、地域ニ-ズあった商品提案ができるようにする。 そして、現場の裁量が大きくなることにより、店長他現場スタッフのモチベ-ションも上がる。 


我々の経営にも参考になる施策です。 特にMD(マ-チャンダイジング/商品政策)力が生命線を握っている点は我々の業界も同様かと考えています。


数日前の新聞記事で、ロイヤルホストが”おいしさ”追求で復活しつつあると。 メニュ-政策を見直し、「家庭では作れないコックの味」をキャッチフレ-ズに商品力アップに傾注した結果との事。 その象徴例が黒毛和牛と黒豚を使った「黒X黒ハンバ-グ」で販売開始から大ヒットを飛ばしたそうです。 まさしく横川社長が提唱していた通りの展開。


横川社長は外食産業の指南役としてこれからもっと必要とされる・・・・いや、ひょっとしたら再度、表舞台(現場)に戻って来られる日がくるかもしれない。 そんな思いに駆られてロイヤルホストの復活スト-リ-を読んだ次第です。



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