つづき☆(その3から見て下さい)
最初は、ちょっといじわるな顔で笑ってたおばあちゃん、でも気が付くと、すごく優しい顔して笑ってる。おばあちゃんが子供のころ、お父さんが厳しくて、歌に興味がない人だったこと、お母さんは歌が好きで銭湯にいったときによく一緒に歌を歌ってたんだっていう話、息子さんも歌うのが好きなんだという話、沢山話をしてくれた。
おば:親の用意してくれた座布団はな、借り物やで。いつまでも座っとったらあかん。もっとええもんにして返したらなあかん。
おば:大事なんは今日と明日やで。
おば:明日はどこに行くん?
俺:明日はね、三重だよ。
おば:そか、明日はおらんのか。これあげるわ。
ビニールに入った何かをくれた。
俺:ありがとう!
おば:明日もおったら来たけどなー。でもな、滋賀はあかんで。あたしはアイポッドの歌聴かしたくてもな、音楽聴くんは孤独や言われてな、誰にも聴かしたことないで。みんなな、あたしには適切なことしか言わんねん。
俺:そうなんだ。ねえおばちゃん、手拍子やってよ。
おば:あかんあかんこんなクソババアが一人でやったんなんか寂しいやろ。売れんでー!
俺:いや、おばちゃんやって!
おば:誰か呼んで来たろうか?一人じゃあかんのやろ。
俺:ううん、一人が大事なんだよ。おばちゃんと仲良くなったからおばちゃんのじゃなきゃ。
おば:ほな、ええよ。…あんたは売れるで。
俺:ありがとう!じゃあ行くよ、よーお!
ぱん!
俺:おばちゃん上手やん(←関西弁)!
おば:あんたの名前書いといてや。
俺:あんね、僕CD出しててね、1000円なんだけど高くなかったら、名前も書いてあるし、歌も聴けるからどうかな?
おば:ほなそれ買うわ!
俺:アイポッド入れてね!そんで誰かに聞かれたら友達の歌聴いてるって言ってね!
おば:ホンマはいくらや?あんた安く言ってるやろ。
俺:みんな同じ値段だよ!
おば:嘘や!
この会話三往復。
おば:そか、じゃあええわ。ほなサインもしてや。ここの場所と、日付入れてな。
俺:わかった☆
おば:あんたの歌、ホンマに良かったで?頑張ってな。
俺:うん!ありがとう!おばちゃん名前は?
おば:あたしは明日死ぬかもしらんからクソババアでええわ。
俺:名前は?
おば:ふみ子や。
俺:長生きしてね。長生きしなきゃだめだよ。理由なんてないよ。1日でも長く生きなきゃダメだよ。
おば:はよ売れてな!
俺:急ぐけど、売れてからも応援してくれないと困るからおばちゃんもまだまだ長生きしてね!
おば:わかった。陰ながら応援してるで。
外はすごく寒かった。
おばあちゃんは多分俺より寒かったと思う。ヒザを痛めて杖をついてるおばあちゃん。
寒かったら余計ヒザが痛むだろうな。
俺:気をつけてね、ありがとうね!
おば:楽しかったわ。ありがとうな。
俺:おばちゃん握手しよか。
おば:こんなシワシワの手としたら売れんで!ええ!ええ!
俺:それがおばちゃんの手でしょ!握手してや!
おば:そうか?ほな。
俺:気をつけて帰ってね。
おば:ありがとう。ほなな。
おばあちゃんがゆっくりゆっくり歩くのを見てた。見えなくなるまで何分もかかった。
もらったビニールの中身なにかなーって思った見てみたら、551(横浜でいう崎陽軒)の肉まんが入ってた。
お腹空いてたから、手にとったら、まだほんの少し温かかった。
美味しくて、その冷たいような温かいような肉まん食べてるときに涙が出てきた。
手拍子を頼んだ時のおばあちゃんの言葉がよみがえってきて。
おば:誰か呼んで来たろうか?
おばあちゃんが本当に喜んでくれたんだってことがその一言を思い出したときにわかった。
一年前から滋賀に来て、まだ誰とも話したりしてないって言ってたのにさ、大津の駅前で、誰か呼んでこようしてくれたんだ。
そして、あまりに寒くて、俺も引き上げ。
こんな夜もいいでしょ?
最初に、夢を隠さないで話して良かった。
おばあちゃんが言った、大事なんは今日と明日や。
おばあちゃんにとっても、明日を今日よりいい1日するための何かきっかになったらいいな。
そして、お互いにとってそうなれてると信じられる言葉たちを忘れたくなくて、ブログに書きました。
※滋賀県の皆さんは、決して音楽に興味がないとは思っていません。ノンフィクションにこだわってああやって書かせていただきました。失礼がありましたらすみません。暖かくなったらまた来ます!その時またライブ聴いて下さい☆