スピードメータの表示はアテになるのか? | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

県道で“速度110キロ”車4台事故で20代男女死亡
 千葉県市原市の県道で、乗用車が対向車線にはみ出して4台が絡む事故になりました。20代の男女2人が死亡し、1人が重傷です。
 16日午後4時半ごろ、市原市の県道でスポーツタイプの乗用車が対向車線にはみ出して車にぶつかるなど、合わせて車4台が絡む事故になりました。この事故で、乗用車に乗っていた21歳の男性と22歳の女性の2人が全身を強く打って死亡しました。そして、別の車の73歳の男性が胸を強く打って重傷です。現場の道路は法定速度60キロですが、大破した乗用車のスピードメーターは110キロを指していました。事故当時、雨が降っていて、警察は乗用車がスピードを出し過ぎてスリップし、対向車線にはみ出した疑いがあるとみて詳しく調べています。【3/17(土) 5:57配信 テレ朝news】


千葉の市原で乗用車が対向車線に飛び出し、20代の男女が死亡した。
この事故では、スピードメーターが110km/hを指していたと報道されている。
ただ、私が観察する限り、そこまで速度が出ていないように感じられてならない。
衝突物の形状にもよるが、この事故で、衝突時の速度は70~80km/h程度であろう。
仮に110km/hであれば車体は折り曲がるからだ。
そもそも、スピードメーターはタイヤの回転を速度に換算して表示している構造である。
肝心なことは、スピードメーターの指針は必ずしも事故時の速度とは限らないことだ。
例えば、事故時に車体が浮揚すれば、路面との抵抗が喪われるため、針は跳ね上がってしまう。
また、湿潤路面でハイドロプレーン現象が生じても、同様にメーター値は跳ね上がる。

交通事故鑑定で分析すると、メーター値と衝突速度が一致しないことは往々にしてあることだ。

これは、小職、鑑定人イシバシが肌で感じてきたことである。
報道だけ見るとあたかも110km/hの速度で走っていたかのように感じるだろう。
ただし、メーター指針値と実際の速度は往々にして異なるので注意が必要だ。

末尾になりましたが、この事故でお亡くなりになられた故人様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

また、交通事故被害者となられた方におかれましては一日も早い回復をお祈り申し上げます。

合掌

 

FAL