フザケルナ! と電話口で激怒した話 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

知り合いから交通事故を起こしたと電話が掛かってきた。

本人は完全なパニック状態。

 「ブタを轢き殺した」 

としかいわない。

いくら、体型が太っているからといって故人様を蔑むことは赦されない。

私は電話口で 「不謹慎だろ! ふざけんな!」 と激怒する。

救急車を呼べと言っても 「死んでるから無理」 という。

警察への電話もしたがらないし、その場から立ち去ってイイかと聞くのみ。

「てめぇ! 自分の立場わかってんのか!」

と、私は思わず激怒した。

しかし、彼は電話口で 「だからブタだって!」 と繰り返すのみ。・・・・

被害者を蔑む・・・・・救護はしない・・・警察への通報も渋る・・・・確実に実刑コースだ。

ご遺族の心情も憤怒しかなかろう。

事故現場まで、車で約1時間の距離だ。

私は、所轄の警察に電話して現場に向かった。

 

現場に到着すると、知人が轢いたのは 「動物の豚」 であった。

養豚場の豚であれば耳にイヤータグがあるがこの豚にはない。

おそらく、養豚場から逃げ出して野生化した「野良豚」であろう。

少し遅れて警察も来たが・・・・「リアル豚」 とわかると保健所に通報して帰って行った。

「だから豚って言ったじゃん・・・・」

との、知人の言葉が胸に刺さる。

憤怒した私だけが何だか惨めな気持ちになった。・・・・・