ラピダス社とは?


半導体の日本企業、ラピダス社が、話題となっています。


半導体の製造受託を最先端の2ナノプロセスで行うと表明して、2022年8月にできた日本の会社です


2ナノは2メートルの10の−9乗という小さな値です。(1mmの百万分の1です。) このとても細い線で、半導体の回路を描きます。

 

線が細くなるほど、半導体は小さくなります。

小さくされば、狭い中に沢山の回路を

書き込めます。


その結果、1個当たりのコストが下がります。


日本は、この半導体微細化の国際競争に負けてしまいました。時代遅れの、太い線でしか、回路を書けません。


ラピダスは、米国のIBMと技術提携してこの技術を導入します。


出遅れた日本の半導体業界にとって、最後の切札とでもいう存在。日本政府の補助金に加え、トヨタ、ソニー、ソフトバンクら、日本の一流企業が株主となりました。


 

話題なので、株を買ってみたいと思う人もいるかもしれません。株価は、幾ら位でしょうか?


実はまだ非上場です。株価はわかりません。株も普通には買えません。






  悲観論が渦巻く半導体業界の関係者


経済や株価のレポートには、最近このラピダスがよく出てきます。ラピダスが2027年に先端2ナノの工場を稼働させるので、そこから日本の半導体は復活するという論調です。



半導体業界に縁のある私の知人には、悲観論が多いのです。


2nmなんていきなり出来る訳がない。


今の日本はルネサスの40nmが最先端。


先日発表されたTSMCの熊本工場も20ナノ程度。


インテルもサムソンも何兆円と投資してきた。今回の日本政府の補助金は、1兆円足らず。


人間も何千人、何万人というエンジニアが、制作に関わった。ラピダスはたった数百名の組織。


私も、悲観論が正論だと思います。普通に頑張っても勝てないのは確か。


マスコミが正しく伝えていない点が問題です。よく読むと、あくまで新しい工場ができることによる経済効果をアピールしています。 識者から見ると、読むに堪えず、そのまま目を閉じたくなるような薄っぺらい記事ばかり。 






  今のラピダスは不動産株


私見では、今のラピダスは不動産株です。


千歳の工場団地に半導体の製造工場を建てます。北海道の経済活性化に役立ちます。雇用も生まれるでしょう。


不動産景気にすり替えた議論は、熊本のTSMC工場も同じ。菊陽町の地価が上昇しました。でも、まだ何も半導体を作っていないのです。


一方半導体に詳しい識者の方が、極端な悲観論に傾くのも、こうした子供だましの宣伝記事のせいだと思います。


よく考えると、ラピダスは製造工場です。

半導体を作るには、建物と同じで設計製造(建設)があります。


半導体の設計は顧客企業です。回路図を書いて、これを作って下さいと、ラピダスのような製造工場に委託するのです。例えば、先日提携した米国のAI設計企業のTenstorrent社は、顧客企業にあたります。欧州の画像処理研究所のiMECも同様です。


自社設計を自社工場で賄おうとして失敗したかつての日本の電機メーカとビジネスモデルが異なります。多くの悲観論者はこの点を見落としているように思います。


また、おそらく実験室レベルで2ナノの技術を持っていると思われるIBMがいます。TenstorrentやiMECのような試作品の顧客とIBMが、ラピダスに協力すれば、試作品は作れるのではないかと思います。


問題は、その後です。

先行する韓国のサムソン、台湾のTSMC、米国インテルが先に実績を上げる中で、どうやって仕事を取ってくるか?でしょう。


特に3社の中では後発の、インテルのファンドリビジネス(製造受託部門)とは、TSMCとの差別化の方法で、激しい競争があるはずです。


おそらく日本の公的プロジェクトか、株主企業が最初の量産顧客となるのでしょう。その後が本当の勝負です。工場を稼働し続けるには、大量に数が出る量産品の注文を顧客からとらねばなりません。


外野で悲観論を言うよりは、果敢にチャレンジするラピダスを、応援したいと思います。2025年には、大勢は、みえてくるはずです。


2024年7月3日記、


(ファイナンシャルプランナー、日本FP協会CFP認定者、介護職員向け実務者研修を修了)



最後に、一言です。

※ここに書かれているのは、筆者の知見に基づく一般論です。例にあげている実際の金融商品の原稿作成時点のデータです。実際の投資で同様のリターンが得られることを一切保証しません。投資は、ご自身の判断に基づいて行って下さい。また、このブログでは特定の金融商品を推奨、勧誘することは一切ございません。